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みどりのそよ風(2)

 以下少々理屈っぽい話しながら―。
 ここで「風」の気象学上の意味を確認しておきましょう。そのごく簡単な定義とは、地球上の大気の水平方向の流れを意味しております。その要素である「風向」と「風速」によって、「南南東の風、風速10m/s(秒速)」などと表記されます。また私たちは実際の風を受けた感じから、「突風」「強風」「微風」…などと体感するわけです。
 『みどりのそよ風』の歌の中の「そよ風」とは、そよそよと吹く微風、体に心地良く感じる風のことであり、この季節の風としては「薫風」と共に最もふさわしい風の表現といえましょう。

 それに致しましても。そよ風でも何風でも、風に色などついてはおりません。上記気象学上の定義は定義として、そもそも「風」は無色透明、実態が掴みづらい代物(しろもの)です。
 古代インド哲学では、この世界を構成する根本要素として、「五大(ごだい)」という五つの要素を唱えました。「地水火風空(ち、すい、か、ふう、くう)」の五つです。この五つの各要素は互いが密接に関連しあって、複雑極まりないこの世界を構成しているのだと捉えたわけです。
 それぞれの各要素に深遠な意味があるようです。例えば問題の「風」は、ごく簡単に申せば「成長、拡大、自由」を表すようです。実際風というものをイメージしてみると、なるほどそうだなあと思えてきますよね?

 以下はその「五大」についての、私の勝手な解釈です。
 どうも「地→水→火→風→空」と順序が進むにつれて、しっかりと固まり実体のあるものから、順々により実体の希薄なより精妙なものに進んでいくようです。それは例えば、「水」が氷という固体になっていて、それが溶けて水という液体になり、遂には蒸発して目に見えない気体に還元してしまう、というような…。
 どうやら五大は、この世界の根本要素であると共に、この順序は私たち人間の心(精神)の「進化のプロセス」を暗示しているもののようです。物、カネなどという目に見える手触りの確かなものばかりを必死になって求めているうちは、『オヌシはまだまだじゃ!』と、暗に諭されているような。

 ともかく『みどりのそよ風』は、「みどり色をしたそよ風」というよりは、新緑のみどりの山や林や木々などを目の当たりにしている作詞者の心に反映されたそよ風の色。あるいはまた「みどりの新緑世界に吹き渡るそよ風」というように捉えた方がよさそうです。

 風に色などないけれど。それでもやっぱり「みどりのそよ風」。うるわしの季節よ !
 (大場光太郎・記)

 (『みどりのそよ風』の歌詞と曲は 「二木紘三のうた物語」にあります。)

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