風薫る
久しぶりで良いお天気になりました。
空を見渡しても全天に雲一つありません。大快晴です。これぞまさに「五月(さつき)晴れ」。気持ちよい一日となりました。
外に出てみると時折りやや強い風が吹きつけて、木々のみどり葉はそのたびに小刻みに身をふるわせながら、日をいっぱいに浴びて諸葉(もろば)がツヤツヤと照り輝いています。 まさに「風薫る」にふさわしい一日の光景です。それにしては少し強風のようですけれど、まあそれによって暑さがだいぶやわらげられていますから。
外で見かける人々の姿もすっかり夏めいて感じられます。きのうまでとはうって変わって、おおむね薄着です。白い服装が目立ちます。日傘をさして歩いているご婦人がいます。半そでシャツで颯爽と自転車で飛ばしている、若者の姿も見受けられます。若いお母さんが押している乳母車の中の赤ちゃんが、身も頭も思い切り右に傾けた姿勢で、気持ちよさそうにすやすや眠っている光景にも出会いました。
陽光がすべての上に照り輝き、その分日陰の暗さもひとしおです。それが更にもっとくっきりと濃い影をつくり、日向との陰翳(いんえい)の際立ったコントラストを見せるようになると、いよいよ夏本番ということの指標の一つになることでしょう。 さすがに、五月の今はまだそれほどくっきりした、光と影のコントラストは感じられません。
ところで今は、季節感が微妙な時期です。暦の上では『けふ立夏』で述べましたように、今年はこどもの日でもある五月五日が立夏でした。そしてこの文のタイトルであります「風薫る」あるいは「薫風」も、まさに夏の季語です。
それからいえば今は「初夏」ということなのでしょうが、人はいざ知らず。個人的な感じでは、「晩春」「惜春」の感覚です。『まだもう少し春の余韻に浸っていたい…』。
いつも行く家の近くの中津川に、本夕も行ってきました。きのうはもろに台風一過そのままの、黄濁しだいぶ増水した流れでした。本日はまだいつもより水かさは多いものの、流れの色はやわらいでおりました。夕方の川辺は特に風が強く、両岸の葦や野草が激しく揺れています。心地よい涼しさです。
数十メートルの川幅のちょうど中ほどに、二年ほど前に上流から流れ着いた一本の木がそこで止まり、それに芥などが絡み合って直径一メートルほどのミニチュアな島のようになっております。ちなみにその木は、川の水だけで今もしっかり生きており、今年もいくばくかのみどり葉をつけています。
そこに一羽の白鷺(しらさぎ)が、私がいる間中、下流を見つめる姿でじっとしておりました。その真っ白い優美な姿は、私の目をしばらく惹きつけるに十分なものでした。
(大場光太郎・記)
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