« 詩人の魂―バイロンに寄す | トップページ | ひばりそしてつばめ… »

子供の情景(2)

                          2

 次もバスの車中でのことです。ある晴れた日の午後。私は所用で横浜に向かうべく、本厚木駅下車のバスに乗りました。あと一つのバス停で駅という地点の、厚木市役所付近の交差点の信号待ちで停まった時のこと。

 隣の右折車線に、ある幼稚園の園児送迎用のマイクロバスが、私の乗っているバスに並ぶように停まりました。何気なく見てみると、数人の園児たちが乗っています。
 『子供たちを家まで送っていくんだな。きょうはもう幼稚園終わりか。早いなあ』。そんな取りとめもないことを考えました。すると、私が座っている後部最前列右座席にちょうど並行する位置に、男の子が座っているのが見えました。この子だけぽつんと、マイクロバスの最後部近くの座席です。
 その男の子と目が合いました。私はおどけた顔をしてみせました。すると男の子は喜んで、にこっと笑いました。私は味をしめて、次々に百面相をしてやりました。その子はそのつど大喜びです。

 信号が青に変わり、互いのバスが動き始めました。男の子は私に『バイバイ』と、手を振ってくれています。私は後ろにかなりの乗客がいる手前、少しだけ手を上げて『バイバイ』と返してやりました。
 送迎バスの方が先に進みました。それでも男の子は私の方を振り返り、なおも手を振っています。私も再度手を上げて『バイバイ』。
 そのうち向うのバスは右折し、私を乗せたバスは駅を目指して直進し…。

                          3

 連休が明けた日の、夕方5時少し過ぎ。所用を済ませて車で帰宅途中でのこと。
 私の居住地近くの、信号のない裏道の横断歩道の所で、小学4、5年生くらいと思われる女児たちが、5人ほど自転車に乗って横一列に停まって何やら話こんでいるようすです。この季節にふさわしく、女の子たちの服装も自転車の色も何とカラフルなこと。

 『何話してるんだろ?』。少し興味をもって彼女らのようすを見ながら、その横断歩道を左折すべく徐行して近づいていきました。すると彼女らは、やおら互いに右の手を出し合い、
  グー チョキ パー  ジャンケンポン  あいこでしょ  ジャンケンポン ……
と言って、ジャンケンを始めたのでした。私は左折してどんどん遠ざかったので、結果がどうなったのかは知りません。
 しかし思うに。彼女らの家は多分、そこから別々の方角なのでしょう。そこが一緒でいられる最後の地点。それでジャンケンをして…。
 『へえ。あんな遊びがあったんだ』。
 私は今まで知りませんでしたけれど、それが子供たちの間の「別れの儀式」なのでしょう。

 それが面白くて、その後道々その意味を考えました。そうやってジャンケンで勝った者から先に帰っていく。ビリだった者が一番最後まで残り、みんなを見送る…ということか。
 それにしても。子供って、本当に「遊びの天才!」。
 (大場光太郎・記)

 

|

« 詩人の魂―バイロンに寄す | トップページ | ひばりそしてつばめ… »

身辺雑記」カテゴリの記事

コメント

この記事へのコメントは終了しました。