夜霧の街
奥深い闇を退けて
虚飾の光りに溢れた街を
慈悲深い夜霧がやさしく包む。
不夜の街には大勢の人が流れ
絶えず行き交う
皆一様に押し黙りながら。
すれ違いざま
互いの想いが交錯する。
とても混じり合えない想いは
シンパシーを感じる暇(いとま)とてなく
むしろ敵意の冷たい風を
互いに感じてそそくさと
真反対に歩み去る。
誰もが孤独で
誰もが寂しくて
誰もが分ってもらいたいのに…。
硬質で冷ややかな街のどこかに
あヽ共通の心の言語など
とうの昔になくしてしまって。
皆心に傷を負いながら
人が流れていく街を
夜霧が静かに包み込む。
(大場光太郎)
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