インナーチャイルド
ぼくの中の子供は
しきりに広い世界に出たがっている。
広い世界で存分に飛び回りたがっている。
ぼくがたとえ幾つ年を重ねようと
永遠の子供が
ぼくの中に在り続けるのだ。
その子供は
やんちゃ坊主で
茶目っ気たっぷりで
いたずら好きで
遊びたがりで
好奇心旺盛で 冒険的で
妖精的で 天使的で
何より純粋無垢な知恵の子供 !
*
ああ大人であることは
内なる子供を
心の奥なる座敷牢に閉じ込め
この世の滞在期間中ずっと
固く施錠して外へ出さないこと。
私は立派な権威者です
私の中に「子供」などおりません
知りません 存じません。
この世限りのペルソナかぶり
とりつく島なきお澄まし顔で
国会議員の○○でございます。
大学教授の○○でございます。
評論家の○○でございます。
…… …… ……
何と痛ましいこと !
ペルソナかぶった当人と
夥しいペルソナ人(びと)が
創り上げてきたこの世界は。
何より 牢に閉じ込められっ放しの
内なる子供は !
(大場光太郎)
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コメント
2008年7月1日公開の詩です。このたび『中勘助「銀の匙」』末尾でこの詩に少し触れましたので、今回トップ面に再掲載します。
この詩をたたき台に、「インナーチャイルド考」をまとめようとも考えましたが、私自身インナーチャイルドという概念への把握が不十分で適いませんでした。
その後思い出しましたが、今年1月初旬の『「トム・ソーヤーの冒険」を読んで』でも、「インナーチャイルド」に触れたのでした。男の子ではトム・ソーヤー、女の子なら(『赤毛のアン』の)アン・シャーリーが、世界的に知られた「インナーチャイルド表出」の格好の見本だと思います。
『「トム・ソーヤーの冒険」を読んで』
http://be-here-now.cocolog-nifty.com/blog/2012/01/post-5a92.html
投稿: 時遊人 | 2012年9月13日 (木) 13時03分