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ビニール袋

  とある夜更け
  車道の端を
  どこからか風に
  小さな白いビニール袋が
  ツツッツツッと運ばれてきた。

  ビニール袋は
  誰かに中身を取り出され
  もう用済みとばかりに
  ポイッと打っちゃられたのだろう。

  もちろんビニール袋ごときに
  関心を寄せる人はいない。
  自分でも一体何の自然成分の
  合成なのか解らないアスファルトも
  同類のはずのビニール袋に
  あっちへ行けとばかりな迷惑顔だ。

  ただ私が少しばかり同情したので
  小さなビニール袋は
  車道の縁(へり)をツツッと乗り越えて
  私の佇んでいる舗道の
  間近までやって来た。

  しかし私とてまさか
  愛猫にしてやるようにやさしく抱き上げて
  そっと頬ずりもしてあげられまいし…
  そ知らぬ気に知らんぷりする。
  
  それを察知してビニール袋は
  またツツッと車道へと遠ざかり
  肩身が狭そうに縁(へり)で
  身の置き所なくうずくまる。

            (大場光太郎)

   (注記) ビニール袋は私の気持ちの推移と共に、偶然とはいえ
    この詩と同じ動きをしたのです。そうでなければ、このような
    題材の詩を作ろうとは、思いもしなかったでしょう。          

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コメント

この詩にこころ惹かれました。
日常のごくありふれた一瞬のスナップを、このような素敵な詩の結晶に変えられる大場様の感性と詩才に乾杯!
私のような散文人間には、詩の創作などは到底無理です。しかし、「創作」は無理でも、せめて「編曲」ぐらいは出来ないものかと、乏しい語彙を総動員して、試しにこんなものを書いてみました。もし差し障りがあるようでしたら、すぐに削除してください。
 
  とある夜更けの 車道ぎは
  きまぐれ風に さそはれて
  小さき白き ポリ袋
  ひとりさびしく 舞ひにけり

  中身はもとより いづかたの
  ひとの許にや  在りぬべし
  袋ばかりは 要らぬとて
  いとも安げに 捨つるらむ

  心に懸くる 人は無く
  近きたぐひの アスファルト
  己れの性(さが)を 知りてかや
  彼の視線を 避けてけり
 
  かすかに動く 我がこころ
  袋ぞそれと 気付きしや
  舗道をさして 佇みし
  我が足もとに 慕ひ来つ

  さりとて猫を 愛づるごと
  ひとつの愛撫も 出来かねて
  こころ冷たく 我れもまた
  あらぬ方をば 見やるなり

  やがて悟りし かの袋
  つと車道へと あとずさり
  寄るべなき身と うずくまる
  うしろ姿ぞ あはれなる

いやはや、原詩の繊細な香りや気品が吹っ飛んでしまいました。無礼をお許し下さい。 

  

   

投稿: くまさん | 2008年7月28日 (月) 22時21分

 くまさん様。貴重なコメント大変ありがとうございました。その上拙詩を格調高い文語体の詩にリニューアルしていただきまして。
 削除などとんでもない! 既にご覧のとおり、御詩もったいないので「パートⅡ」として公開させていただきました。なにとぞあしからず、ご了承ください。
 また公開不都合の場合は、その旨コメントください。直ちに削除致します。今後とも畏兄の光ったコメント、お待ち致しております。そして今後とも私が、『これは皆様に広くお読みいただきたい』と思った御文は、申し訳ありませんが、公開させていただくことがあるかも知れません。その旨も、あしからずご了承ください。

投稿: 大場光太郎 | 2008年7月29日 (火) 00時32分

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