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夢の話(1)

 「夢」―いわゆる眠っている最中に脳内世界で見ているストーリーは、私にとって大変興味深いテーマの一つです。
 ちなみに以前、当ブログに「詩」としてご紹介した『星の荒野にて』『オリオン落下譚』は、40代初めの頃見た鮮明な夢のほぼそのままの再現です。そして『逃げろ!』は『オリオン落下譚』と同じ夢の続きですが、この詩はだいぶ創作が入っております。
 更に申せば、土手から転げ落ちて下に草原が広がっていたのはその通りですが、実際の夢では彼方の山並みから昇ってきた太陽は一つではなく、何と「四つも」等間隔でぬっと現れたのです。それに驚いてハッと目が覚めたのでした。今回詩として公開するにあたって、いくら何でも「四つの太陽」では皆様に奇異な感じを抱かせると思い、変えたような次第です。

 古城→オリオン星座の変容→オリオン落下→逃げ惑う私→土手上からの転落→青々と広がる草原→四つの太陽の出現。『星の荒野にて』もそうでしたが、四十代前半の一時期、そんな「霊夢」といってもよいような夢をけっこう見たものです。
 しかし今ではそのような霊的な夢は先ず見ません。見るとしたらどちらかというと、日常の延長にありそうな俗っぽい夢で、何か困難な事態に遭遇して『困ったなあ。どうしようか?』と思い悩む、そしてハッとして目が覚めるというようなバターンがほとんどです。
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 例えば今朝六時前、以下のような夢を見ました。
 四十代前後の男が、私の目の前に登場します。その男は面長で知的、幾分ニヒルな感じの男です。私は今の実年令のままのようですが、なぜかこの男には絶対服従で、どうも逆らってはまずいと思っているようです。
 …途中、ある男が運転する小型トラックの荷台に何人かで乗って、かつて私が住んでいた家に通じる道(のような道)を夜中に走っています。道が左にカーブする右手の空き地に、見ると私の愛猫二匹が突っ立ってこちらを見ています。『何でこんなとこにいるんだ?』と思って、トラックがその曲がり口に差しかかったのでよく見てみると、愛猫たちはいつの間にかチーターのような大きさになっています。驚きましたが、飛びかかって危害を加えるでもなく、ただその場でこちらを見ているだけです。

 …そのような行動が、いちいち件の男の気に障ったようです。(その他にも別の理由があったようですが、思い出せません。)私は男の家に呼び出されて、厳罰を申し渡されます。『一体どんな罰なんだろう?』と恐れていると、部屋の壁に大きなポスターが貼られています。そこには「○○阿じゃ梨の護摩供養」というような文句と共に、その阿じゃ梨と思しき姿が描かれています。私は『あヽこの修行かあ』と観念します。だいぶ前プロ野球選手の清原らが、シーズンオフに九州のある密教系の寺に籠もって、燃え盛る炎のすぐ間近で護摩を焚く修養をしていましたが、あのような修行なんだろうか?

 …しかし実際はその修行ではなく。男の家から道に出て、明らかにチンピラ風の若い男三、四人に取り囲まれました。『コイツらに、ボコボコにぶん殴られるのか』と思っていたら、そうでもなく。結局彼らと共に、古い街並みの道を歩きました。するととある古ぼけた木造の家の前まで連れてこられて、ボス格の男が身振りで「中に入れ」と促します。仕方なく、中に入ります。私だけで、男たちはついてきません。
 靴を脱いで赤いスリッパに履き替え、階段を登って二階に入っていきます。意外と明るく、広い集会室のようです。「これから何かお話していただきます」と誰かから言われました。『そうか。スピーチが苦手なオレにとって、これは一番の罰ゲームだな』。しかしこうなったからには、と腹を決めて中に入っていきます。

 部屋には長いテーブルがずらっと並べられており、既にかなりの人たちがイスに座っています。私は部屋の中央のテーブルの真ん中くらいのイスに座るよう促されます。斜め向いに七十前後の恰幅のいい人が座っています。その人に挨拶しながらイスに座ると、私の対面には何と久米宏が座っているではありませんか!
 『えっ。話術の天才の前で何をしゃべれっていうんだよ』。しかし仕方ありません。私は今一度腹を固め直します。
 久米宏は例の身を反った少しぞんざいな格好で座っています。顔をよく見ると、その鼻は、かのシラノ・ド・ベルジュラックの鼻のように異様に長いのです。しかし久米宏はそれを気にするでもなく、笑いながら機関銃のように何ごとか話し続けています。
 すると久米宏の鼻は、いつの間にかアゴのあたりまでいったん垂れ下がり、それからまた上を向いたUの字のような鼻に変形していました。
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 かなり長い夢で、見ている最中は鮮明にその筋書きをたどれていたはずなのに…。夢から覚めた途端、いつものならいで潮がスーッと引くように、夢はたちまち断片になってしまいます。それを必死で思い出して書き留めてみると、それでもこんな長文になってしまいました。
 今後とも実際に見た夢のご披露、「夢全般」についてのとりとめのない所見、夢解釈などを、折りにふれてシリーズとしてご紹介していきたいと思います。
 「いやあ。夢って本当に面白いですね !」
 
(大場光太郎・記) 

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