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新涼(2)

    新涼の川面の灯影(ほかげ)揺れてをり   (拙句)

 夕方4時過ぎ、北隣町の愛甲郡愛川町中津の某会社に伺いました。
 私の住居から北へ数百メートルも行くと、東西に走る道路を境に、それまではびっしり住宅が建て混んでいるのが、それから先はウソのような田園風景に変わります。その道路が、市街化区域と調整区域の境なのです。
 しばらく田んぼの中を突っ切って、数年前に造られたゆったりした車道を走ります。右も左も見渡す限りの青田が広がっており、たまにぽつんぽつんと(調整区域内に、専業農家の長男家にのみ建築が許可された)住宅やこんもり繁った木立が点在するのみです。

 とっくに雨は上がっていますが、全天を薄白い雲が覆っています。遠くの景ほど霞んでおり、遥か遠くの大山の姿は全く見えず、わずかに重畳たる丹沢の一番手前の小高い峰の連なりのみがうっすらと認められるだけです。
 「霞み」や「夏霞み」はあれど、「秋霞み」という季語はなく、秋は「霧」となります。しかしきょうのような場合は、どう見ても霧ではなくやはり「秋霞み」です。いえ、秋とはいってもそのとば口で、木々の葉が色づいているわけでもなく、あの春の霞みのさまを眺めているような錯覚すら覚えます。

 走るほどに緑豊かな田舎道の景色です。分けても、中津川の橋を渡る時などは。何度か近所の中津川のことは記事に致しましたが、ここはそのだいぶ上流になります。川の流れそのものは狭く、そのため川一面が青々とした草に覆われているような感じです。そんな緑をただ眺めるだけでも、心が落ち着きます。少し下流では、浅瀬に入り込んで鮎を釣っている人の姿も見受けられました。
 川の上流右岸側の、遠近(おちこち)の小山の連なりの墨絵ぼかしのようなさまは、さながら一幅の山水画の趣きです。

 橋を渡りきって左折して少し川側の道を走り、少しずつ川から離れていきやがて曲がりくねった上り坂です。その両側に高い木々が繁り、到る所からミンミン蝉もアブラ蝉も、かまびすしいほどの蝉声が聞こえてきます。本当にこの時期、蝉はその短い命の限りにと、昼も夜中も鳴き通しです。
 その坂を上り終えると街並みが始まり、目指す某社は後少しです。
 
(大場光太郎・記) 

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