十月尽
十月はたそがれの国尽きにけり (拙句)
10月もきょうで終わりです。この日当地では、あいにくの曇りの一日となりました。いささか寒くはあっても大快晴だったきのうとはうって変わって、雲が全天に低く垂れこめ、何やら街全体が沈んだようにもの悲しい感じに包まれているような、いよよ晩秋、深秋との感を深くした一日でした。
当地は以前お伝えしましたとおり、湘南海岸から十数キロくらいの、相模川右岸沿いの沖積平野に開けた、首都圏外縁の町です。もちろん冬でも、めったなことでは雪は降りません。それゆえ、何ヶ月も根雪に閉ざされる我が郷里とは違って、年中を通して過ごしやすいとは言えるのです。
しかしその分、メリハリの効いた季節感がなかなか味わえません。ですから、人並み以上に季節感を感じたい私は、街の中のわずかばかりの自然に、つかの間の「小さい秋」をつとめて感受しようと心がけております。
と言うわけで。外に出てまず真っ先に感じるのは、急に寒さが加わり出したここ何日かで、虫の音がめっきり少なくなったことです。3、4日前までは真夜中でもリンリンと賑やかだったのに、今では日中でもとある草むらの方から時折り、チリリリリーンというような鳴き音が聴かれるのみです。まして夜中ともなるとそれはいっそうか細くなり、どこか遠い処(ところ)から「さよなら」を告げるもののようで、聴く者の哀れを誘います。
また曇天のきょうは、近所の遊歩道の花壇のコスモスや菊や野菊などの秋花が、小寒い風に頼りなげに揺らいでいます。そんな中夏の名残りのダリアの、幾つかの小さな橙色の花を咲かせている姿が、通る者の印象に残ります。
ところできょうはまた「ハロウィン」だそうで、夜たまたま最近オープンしたばかりの、主に若者向けのコジャレたレストランを通りました。店の前両側に小さな置き物があり、そこに例のカボチャの絵が掲げられております。店内を見るともなしに見ると、店員もお客もとんがり帽子をかぶったり動物のぬいぐるみを着たりして、だいぶ賑わっていました。
十月尽とはいっても、私のような年代の者と、自然にアメリカナイズされて育った彼らとでは、およそ受ける感じがだいぶ違うのでしょう。
思えば私が当ブログを開設してから、既に半年以上が経過しました。折りにふれて季節の便りを記事にしてきた私としては、例年にもまして季節の推移に敏感にならざるを得ない月日でした。
例えば桜の木一つを取ってみても、開設当初の四月末は既に桜の花は散って、初々しい桜若葉が、木毎に繁茂しつつある季節でした。それが青葉繁れる盛夏も過ぎて、8月下旬頃から少しずつ葉が落ち始め、今では枝々にその2、3割を残すのみです。
また街行く人の服装も、ゴールデンウィークに向いつつあったあの頃のカラフルな装いが、今では全体的に地味でシックで厚手の服装に変わりつつあります。
きょうは曇天ですから、夕方5時前にして外はだいぶ暗くなってしまいました。ちょうど5時に当市お決まりの、『夕焼け小焼け』のチャイムが鳴り響きました。そして3分ほどたってから、女性の声が聞こえてきました。『ん?何だろう』。耳を澄ませて聴いてみると、どうやら「11月1日から(つまりあしたから)夕焼け小焼けのチャイムは、4時30分に変更になります」との告知のようです。
こんなことからも、『もうじき冬だなあ』との感を深くします。そういえば、一週間後の来月7日は、暦の上ではもう「立冬」です。
(大場光太郎・記)
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