田母神論文をめぐって(1)
先週土曜未明、お決まり月1回のテレビ朝日『朝まで生テレビ』がありました。今回のテーマは「田母神論文について」。
私は現在大新聞の購読を止め、故筑紫哲也氏がTBSの『NEWS23』を降板してからテレビの報道番組もあまりよく見ておりません。しかしこの『朝まで生テレビ』だけは今もって関心があり、月1回のテーマに沿った討論を楽しみに待っています。
本題からは逸れますが。先ず私と『朝まで生テレビ』との関わりから少し述べさせていただきます。
同番組はもう20年以上続いている長寿番組です。確か私は、番組スタート当初から見続けてきたように記憶しています。司会の田原総一郎の、司会者としての立場を忘れて興奮のあまり討論者を怒鳴りつけたりする型破りな進行役も面白ければ、時々に出席した討論参加者(今では「パネリスト」というシャレたネーミングのようです)の発言も、我々一市井人などが知りえない内容があったりして大いに刺激を受けてきました。
当初から、大島渚、野坂昭如、西部邁、渡部昇一、栗本慎一郎、猪瀬直樹、桝添要一などといった錚々たる論客が、本音で口角泡を飛ばして舌鋒鋭く相手の論に切り込んでいました。栗本や猪瀬などは『もうアンタらとはやってらんねえや』とばかりに、議論途中で退場する騒ぎも起きました。
このような一テーマを長時間徹底議論することで、では何か有効な結論が得られたのかといえば、なお問題は議論のその先に積み残されている様に思われて、何か虚しい感じになったことも再々です。
しかしだからといってこのような議論自体は、決して無駄ではなかったと思います。それまで一般人があまり関心を持たなかったことが、このような議論の場を通してそれに対する関心の目が開かれていっただろうからです。
同番組でこれまで取り上げたテーマは、実に広範多岐に亘ります。やはりメーンは時々の政治的テーマだったかと思います。しかし時には、それまで公共メディアが取り上げることなくタブー視されてきた問題をも取り上げました。
例えば、「天皇制問題」や「被差別部落問題」などは何度か討論の対象になりました。またアダルトビデオが流行の兆しを見せ始めた頃は、当時人気AV嬢だった黒木香がトレードマークの腋毛をチラッと見せながら、セックスについてのポリシーを熱く語ったこともありました。
また時には、俳優の池部良などかなり高齢の、太平洋戦争を実際に職業軍人として直接体験した人たちばかりが出席して、同戦争について論じたこともありました。その中である陸軍幹部だった80代の人が、「南京大虐殺は確かにありました。私はこの目でその光景を実際に目撃したんですから。今回この討論に参加したのは、後の人たちにそのことをお伝えしたかったからなんです」という、大変衝撃的な証言などもありました。
その議論で大変興味深かったのは、実際戦場で戦ったそれらの人たち全員が、「あんなヒドイ戦争はもう二度と起こしてはならん」と言っていたことでした。
更には、まだ駆け出しの教団だったオウム真理教と幸福の科学のメンバーによる、激しい宗教論争もありました。オウム側は、教祖の麻原彰晃自らが出席していました。当時私は、客観的に判断して『オウムの主張の方がどうやらまっとうだぞ』という率直な感想を持ちました。
その時のオウムや麻原の議論からは、後の地下鉄サリン事件につながるような兆候は微塵も感じられませんでした。その後オウムはどこでどう変質してしまったのか。その変質は、同教団と日本社会の両方にとって、大変不幸なことだったと私は考えております。
以上のような「歴史」を持つ『朝まで生テレビ』が今回は、今各方面に波紋を広げている「田母神論文」を巡って、10人ほどのパネリストによって議論されるというのです。 (以下次回につづく)
(大場光太郎・記)


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