暮色スケッチ
遠くの杜(もり)で鐘が鳴っている。日暮れを告げる鐘の音(ね)は、韻々(いんいん)として物悲しい。西の山々の一峯に、大輪の日は静かに静かに落ちていった。それでもなお、辺りの空一面に、いっそうのあかね色をとどめている。薄暗く青い山々と、燃えんばかりの空との侘しい釣り合いの切れる大空の一角に、黒い影をともなった青白い三日月が、不気味に下界を見下ろしている。
―下界は今風ひとしきり強く、木々や足もとの草むらがさながら生きているものの様に、戦(そよ)いでいる。
…… * …… * …… * …… * …… * …… * …… * ……
(追記) これは昭和38年10月、私が中学2年の時に作った、作文とも散文詩ともつかぬものです。それを、昭和41年8月高校2年の時直したとあります。いずれにしても、人様にお読みいただけるような代物ではありませんが、私が残している最初の文章です。懐かしさと、当時の記念のため、今回公開させていただきました。 (大場光太郎・記)
| 固定リンク
「詩」カテゴリの記事
- (諷刺詩) 白カラス族(2014.03.15)
- 春風の詩(うた)(2009.03.22)
- オリオン賛歌(2008.12.18)
- 群衆の一人として…(2008.11.26)
- フォーマルハウト(北落師門)(2008.11.09)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント