今は昭和初期と酷似 !?
ついこの前の日曜日(午前)のテレビ朝日『サンデープロジェクト』の中で、田母神論文が議論になっていました。その中で、ジャーナリストの某氏が「現在の我が国の状況は、昭和初期の状況とよく似ている」と指摘しておりました。出席の各氏もおおむね賛意を表していたようです。
問題の昭和初期は、1929年10月24日の米国ウォール街の株の大暴落が世界大恐慌の引き金になり、当時の我が国とて例外ではなく、一気に昭和大恐慌に見舞われました。大企業の倒産が相次ぎ、巷に失業者が溢れ、分けても農村部の疲弊は甚だしく、公然と子売りの看板を立てる農民まで現われたほどでした。
余談ながら。当時の「娘売ります」の写真が、高校の時の日本史の教科書に載っていました。実はその写真の現場は「伊佐沢(いさざわ)」という所で、私の高校のある長井市の一部落なのでした。そのため余計私は、昭和初期の深刻さがよりリアルに実感できたのです。
今回アメリカのサブプライム問題そしてリーマンショックが、全世界に飛び火し、各国の主要株式市場の株が一気に大暴落しました。世界的金融不安と呼ばれている現在の状況が、当時とまるで同じパターンだというのです。
次に当時は、世の中の不況感、閉塞感を背景に、政府要人等を狙ったテロ事件が頻発した暗い時代でした。主なものだけで、(既に当ブログ記事『万物備乎我(2)』で述べたように)昭和7年の5・15事件により、時の犬養毅首相が青年将校らに射殺。同年3月5日には三井財閥の団琢磨(だん・たくま、音楽家の団伊玖磨は孫)が右翼団体・血盟団の菱沼五郎に狙撃され暗殺。昭和11年には2・26事件により、時の岡田首相、高橋蔵相、斎藤内大臣が殺害。
ついでに申せば、正当な言論によらず対象とする要人の命を直接狙う、テロ、クーデターの頻発で、軍部の暴走に歯止めでかからなくなり、遂に破滅的な戦争へと突入していくことになりました。
この面でも現在は酷似しているのだろうか?それに対して、今は「シビリアンコントロール(文民統制)」が当時に比べ幾重にも確立されているから、余り心配はないというのが共通認識だったようです。
しかしそれにしては、「日本が侵略国家だったことは一度もない」とする田母神元空幕長の論文はどうなのでしょう?歴代の政府見解とは異なると現政府は弁明していますが、それを密かに支持する自民党議員や防衛省幹部はけつこう多そうです。防衛省をめぐっては、タガが緩みっぱなしと思われる不祥事が次々に明るみに出されています。
また田母神論文を扱ったネットにも、同論文を支持する内容のコメントも多く寄せられているようです。
そしてこの度、『本当に似てきたのかなあ』と思わせられる衝撃的な事件が起きました。厚生省元事務次官をターゲットとしたと思われる「連続テロ事件」です。テロにしては未だ犯行声明が出されておらず、現在捜査中でもあり断定は出来ないものの、「宙に浮いた年金問題」や厚生省や社会保険庁職員の相次ぐ不祥事への憤りが背景にあるものと見られています。
先行きの見えない不況下で、社会に広く蔓延する閉塞感のストレスと不満。荒廃する人心と人間関係。食品偽装問題などにみられる企業モラルの低下。異常事件の頻発。現麻生政権に顕著なとおりの政治的無策。広く醸成されつつあるナショナリズム的傾向。「盗聴法」や「有事法制」などの危ない法律がたやすく成立してしまう政治状況。シビリアンコントロールが効かなくなりつつあるかのような防衛省。……。
「歴史は繰返される」といいますが、『これはひょっとしていつか来た道をたどることもありえるぞ』と、私個人としては非常に危惧しております。
(大場光太郎・記)
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コメント
文中「防衛省」を「防衛庁」と間違えていました。3ヶ所ほど訂正致しました。後で本文を読み返して、『そういえば、確か去年省に昇格したんだったよな』と思い出しました。その時の初代防衛大臣は、久間氏で、そう言えば余りお上手とは言えない「防衛省」の入り口看板の文字も同氏が書かれたのでした。
個人的には、省への昇格は、安倍内閣のとんだ置き土産として記憶に残っており、未だに心のどこかで『省として認めたくない』という思いがあるのかもしれません。
なお久間元防衛大臣は、その後「原爆投下はしかたない」発言で辞任したり、防衛専門商社からの接待疑惑が持ち上がったりしたことも、記憶に新しいところです。
投稿: 大場光太郎 | 2008年11月23日 (日) 00時24分