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定額給付金をめぐって

 現政権は今「定額給付金問題」で四苦八苦です。
 10月30日の現下の金融危機を踏まえた総理会見で、麻生総理の肝入りで発表されたものでした。しかし総理の「全所帯一律支給」との方針にも関わらず、その直後から給付対象者をめぐって、お足もとの閣僚から「高額所得者への支給はいかがなものか?」という異論が出され、麻生総理も「言われてみれば確かに」とばかりに当初の見解をひるがえし。かと思うと今度は、違う閣僚らから「いや。やっぱり支給は全所帯公平にすべきだ」との反論があり、内閣発足後1ヶ月余という短期間に早々と閣内不一致が一気に表面化してしまいました。

 これを「それ。格好の、おいしい政治ネタだ」とばかりに、各マスコミが首相の二転、三転ぶりを連日報道したものだから、国民の関心がいやが上にも高まり、今や同問題の裏側まで広く知られることになりました。ここに到ってさすがに、『この問題をいつまでも未解決のままづるづる引っ張ってはいけない』と思ったのか、政府並びに与党間の協議でつい先日一応の統一見解を出しました。
 「給付の所得制限は1800万円。ただし同制限の設定は市区町村の裁量に委ねる」こと。「給付金は一人当たり12,000円とする(19歳未満と65歳以上は20,000円)」こと。「08年度内の実施に向けて制度の詳細を検討する」こと等々。これで一件落着かと思いきや、今度は自主裁量という名目の丸投げをされた各自治体が、これに噛みつきました。「この問題でのシステム変更に膨大な経費がかかる」「受給者が窓口に殺到することになるが、現職員数ではとても対応しきれない。かと言って、個人情報保護の観点からアルバイトなどは雇えないし…」等々、こちらは「ただでさえ大変なのに、変な難題押しつけないでよ」と不満たらたらです。
 それに08年度内支給のはずが、今国会では審議すら出来ず、来年冒頭の通常国会からになるよし。そこでも野党の猛反対が予想され、早くも同制度の年度内運用が危ぶまれています。

 一体全体この給付金制度は、政府の意図がどこにあるのかよく分かりません。先の見えない金融危機下での、「低所得者支援」なのか「景気浮揚策」なのか…。『あわよくばその両方とも』という意図があったのかもしれません。丸投げされた各自治体の多くは、どうせ面倒な高額所得者制限などは実施せず一律給付だろうし、まず低所得者支援の目的を失います。次に景気浮揚にしても、試算によると同給付金によるGDPの押し上げ効果は、たったの0.1%に過ぎないそうです。まるで効果なしということです。「同じ2兆円をつぎ込むんだったら、公共事業投資の方がずっと効果があったのに」と、自民党内から禁句も飛び出す始末です。

 そもそも今回の政策(と、大見得きって呼べるのでしょうか?)は、元をただせば福田内閣の時の、公明党からの「定額減税要求」が形を変えたものだったようです。以前小渕内閣の時の、悪評高い「地域振興券」も公明党が旗振り役でした。総選挙を間近に控えて、同党の集票マシーンである中低所得者が多い創価学会員への配慮が、そもそもの発端なのです。一つは学会票欲しさ、もう一つは一般有権者への選挙目当ての餌まき。麻生総理ら現政権の、真の狙いがここにあったことは明らかです。(こんな政教一致政党に、いつまでも与党の一角を占めさせておいていいのか?という問題はさておき。公明党支持の皆様、もしこれを御覧ならごめんなさい。でも政権与党ならこれくらいの批判は当然ですから、あしからず。)
 この問題について、最近国民新党の(元警察官僚だった)亀井静香代表代行が面白い見解を延べました。曰く、「(定額給付金は)国家権力による壮大な選挙買収事件だ。東京地検特捜部は(麻生総理を)検挙して、捕まえたらいい」。
 ことほど左様にこの問題は各方面に飛び火し、まだまだ収拾がつきそうにありません。

 よく考えてみれば、現下の世界的大金融危機の中、定額給付金などは取るに足らない問題のはずです。この先行き不透明な情勢を打開するために、やらなければならないことは他に山ほどあるでしょうに。なのに麻生総理を初めとする政府与党の、この問題へのブレぶり、周章狼狽ぶりはどうしたことなのでしょう。すべては、麻生総理がしっかりと基本方針を固めずに見切り発車的発表をしてしまったことと、総理の指導力欠如が招いた問題です。
 私は既に表明していますとおり、あの小泉元首相を当時も今も評価しておりません。しかし小泉氏がもし今回の問題を扱っていたとしたらどうだったでしょう?マスコミに弱みを握らせることになる閣内の異論を、表ざたになる前に有無を言わさず黙らせたことでしょう。そして出来るだけ間を置かずに、今国会中に制度の了承を取り付け、早速今年中にも各所帯支給実施となっていたかもしれません。
 
 とにかく国家として、こんな問題にいつまでも振り回されていてはいけないのです。麻生総理。仮にもっと大変な事態が発生したら、一国のトップリーダーとして、一体あなたはどう対応してくれるのですか?
 (大場光太郎・記) 

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コメント

お書きになっていることは、納得して読ませていただきました。麻生首相が選挙をできないままに、ズルズルと居座って年を越す政治状況。混迷の先に何があるのでしょうか。何か恐ろしいことが起きそうな、嫌な気分がしてきました。ではまた!

投稿: 牧場のはぐれ牛 | 2008年11月14日 (金) 13時29分

 牧場のはぐれ牛様。またコメントいただきありがとうございました。おっしゃるとおり、当今は政治状況をはじめ世の中全体が「混迷」のただ中にあるように思われます。
 話は変わりますが、今年も残すところ後1ヶ月余となりました。毎年恒例の「今年の漢字」が気になり出す季節です。そこで一昨日あたりから、私も『さて、何だろう?』と考えてみました。その結果昨日はたと思い至った漢字は、まさに「迷」。(何という偶然の一致でしょう!)
 その理由などを、近日中に記事として発表できればと思います。

投稿: 大場光太郎 | 2008年11月14日 (金) 18時25分

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