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♪壊れかけのradio♪

 それまでの暖かい小春日和がウソのように、きのうあたりから一気に冷え込んできました。きょうも良く晴れたものの、街を吹き抜ける風は冷たく、いよいよ冬の到来を思わせられる一日でした。
 そんな中、また横浜に行ってきました。と申しましても、きょうは先月のように横浜港近辺の歴史的建造物をじっくり見て歩く余裕はありませんでした。

 今は私にとって、業務の繁忙期なのです。いえ、不況感が列島全体をじわじわと覆い始めている昨今、私如き者が繁忙であろうはずがありません。各社よりとうの昔に依頼されておりました各業務が、当職の怠慢でたまりにたまって、ここに来てどっと集中的に期限が迫ってきているだけの話なのです。
 本日横浜の役所に提出する申請書類を、本日ぎりぎりまでかかって何とかまとめ、午後1時半過ぎ頃外出しました。

 冬用のコートを着ていくべきか否か?今の季節は迷うところです。私は若い頃から、着るもののセンスがまるでなく、人より先に季節を先取りした物を着てやろうなどという野心もとんとなく。それで本日も、『夕方あたりから一段と冷え込むんだろうな』と思いつつ、背広のみで外に出ました。
 やはり外気はうすら寒く、暖かくてほっとするのは建物や電車の中だけです。相鉄線海老名駅は始発が出ますから、いつも座っていけます。横浜駅までの所要時間は、ちょうど30分くらい。電車が走り出し十分に冷えがおさまった頃、バックの中から提出書類を取り出して、チェックしてみました。
 すると、一社の方の提出書類の一つがビニールケースごと見当たりません。これでは提出することができません。慌て仕事は、本当にロクなことになりません。同社申請はとっくに出すべきだったのに、今まで延ばしに延ばしていただきました。その上きょうを逃すと、役所の日程により一週間先の提出になってしまいます。着く前から暗澹たる気持ちになってしまいました。

 『折角来たんだから、もう一方の方だけでも何としても受領してもらわなけりゃ』。気を取り直して関内駅に降り立ちました。同駅周辺のケヤキ並木の地面に散り敷く落葉の風情を味わう暇(いとま)もなく、横浜市庁舎を増設でもするのかその高い防護板が巡らされた舗道を歩き、近くの同市分庁舎のある民間ビルの中に入りました。
 何とかそちらの方は受付OKとなり外に出た途端、『そういえば朝方軽い食事をしただけだったなぁ』と思い出し、にわかに疲労感と空腹感を覚えました。そこで横浜スタジアムの反対にある、ヴェローチェというコーヒーショップに入り軽食を取り、つかの間の休息をしたり、提出できなかった会社の担当の方にお詫びの電話を入れたりしました。

 本厚木駅に戻ったのが、夕方6時半頃。改札を出て北口広場に向うと、何やら懐かしい歌声が聞こえてきます。
    ♪ 思春期に少年から 大人に変わる
      道を探していた 汚れもないままに
      飾られた行きばのない 押し寄せる人波に
      本当の幸せ教えてよ 壊れかけのradio 
 
 『うわぁー!「壊れかけのradio」だぁ!』。広場の噴水の手前に人がいっぱい集まっています。なお近づくと、きれいに豆ランプでアーチ型に電飾されているちょっとしたステージで、20代と思しき3人の男子グループです。いわゆるストリートミュージシャンによる、路上(広場)ライブというものでしょうか。
 小さな折り畳みイスに腰掛け、互いに電子ギターを弾いたりドラムをたたいたりしています。右の一人がボーカルですが、これがクリアーな澄んだ声で、徳永英明ばりのなかなかの美声なのです。こういう処で鍛えて、いつか全国デビューをということなのでしょう。歌といい演奏といい、本当にプロ級です。

    ♪ 華やいだ祭りの後 静まる街を背に
      星を眺めていた 汚れもないままに
      遠ざかる故郷の空 帰れない人波に
      本当の幸せ教えてよ 壊れかけのradio

 思わず聴き惚れ歌の終いの方で、不覚にも涙がこぼれてしまいました。年のせいか私は今時の歌はほとんど評価しない方ですが、この歌はそれまでのどの名曲にも負けないくらい良い歌だと思います。今日一日の労苦が、彼らの歌と演奏を聴いたおかげですべて報われ、心が洗われた感じがしました。
 まさか涙をぼろぼろこぼしながらバスに乗るわけにもいきません。そこでぐっとこらえて、歌が終わってひと際大きな拍手を送りながらバス乗り場の方に向いました。  

 (大場光太郎・記)

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