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小室哲哉逮捕に思うこと

 11月4日、音楽プロデューサーの小室哲哉(49)が大阪地検に逮捕されました。トップニュースだったので既にどなたもご存知でしょうが、音楽著作権の売却を持ちかけ、兵庫県芦屋市の会社社長(48)から5億円を詐取した容疑だそうです。

 近年このような有名人による事件や逮捕劇が多いようです。2年ほど前は、ホリエモンこと堀江貴文が証券法違反容疑で逮捕されましたし、また村上ファンド代表の村上世彰もインサイダー容疑で逮捕されました。
 今回の小室容疑者もそうですが、いずれもあっという間に時代の寵児に上り詰め、そして転落して行きました。いずれの事件も、社会に与えた影響は大変大きなものがあると思いますが、私は今回の小室哲哉の場合は特にそうだと思います。

 それは彼が、音楽という国民に直接訴えかけてくる度合いの大きい芸術、芸能、文化に携わっていた人間だからです。1990年代飛ぶ鳥も落とす勢いの頃は、小室の手がけた音楽は出せば200万枚以上の売り上げを連続して記録していたそうです。安室奈美恵や華原朋美など主に女性ボーカリストの歌を軒並みメガヒットさせました。その中には、今でも結婚式によく歌われる歌もあるそうです。
 「歌は世につれ、世は歌につれ」という言い方がされます。当時音楽的カリスマだった彼の歌をよく聴いたり歌ったりした世代は、今回の逮捕をどう思うのでしょう。彼らにとって青春の懐かしい思い出に直結するであろう小室が手がけた歌の数々を、今後どのような思いで聴くのだろう。とても複雑な気持ちがするであろうことは、想像にかたくありません。
 その意味で、今回の小室の逮捕に到る一連の犯罪行為は、時代の音楽や文化全般に対する侮辱なのではないでしょうか?

 小室哲哉は、90年代後半頃全国納税者番付で2年連続4位を記録したこともあったそうです。その頃の年間所得は優に20億円以上だったとか。とにかくやることなすこと大当たりの絶頂期だったのでしょう。
 その頃でしょうか、彼は言っていたそうです。「アーティストはわがままでいいんだ。わがままが許されなければ、アーティストは本当の表現ができないんだ」。ある程度まではそうだとしても。それにしても、海外旅行の搭乗機のファーストクラスを全席押さえたり、都内の高級ホテルでスイートルームのあるフロア全部を借り切ったり等々は、財産を湯水の如く使い果たした歴史上の悪しき王侯貴族のような振る舞いだったのではないでしょうか。

 90年代前半社会全体のバブルは既に崩壊していても、小室個人のバブルはその頃なお膨らみ続けていたのでしょう。その頃彼は本当に「アーティスト」に徹する強い自覚があったのだろうか?いつの頃からかメガヒットやそれがもたらす巨利に目がくらみ、「商売人(ビジネスマン)」に変質してしまったのではないでしょうか。
 しかしこれは小室哲哉個人の特異体質というにとどまらず、芸能界や一部の音楽界がずっとバブル状態が続いていて、小室は単にその渦中で踊らされていただけなのかもしれません。その後彼は、アジアでの事業展開を狙って資本参加して香港で設立した音楽関連会社を巡る失敗などで70億円もの債務を抱え、これがその後の一落千丈の暗転のきっかけとなったようです。

 「驕れる者久しからず、ただ春の夜の夢の如し」。何やら平家物語の冒頭の一節が思い起こされてきます。とにかく今回の小室の逮捕劇で思うことは、人間虚飾・虚栄に惑わされてはダメだなということです。
 巨額詐取事件だけに、いくら上告しても5年乃至10年くらいの実刑は免れることはできないかもしれません。しかし彼は49歳とまだ若い。並の人間では到底経験することの出来ない「天国と地獄」を若くして味わい尽くせたことは、この世の善悪の尺度を超えて彼の魂の大きな財産になることでしょう。すべてが決着した暁には、今度こそ「真の我(われ)」に目覚めて、世のための有意義な働きをしていただきたい、心からそう願うばかりです。

(追記) 本文中でも引用しました、ホリエモンこと堀江貴文ライブドア元社長が、今回の小室事件についてコメントしています。興味のある方は、下記をご覧ください。
  「六本木で働いていた元社長のアメブロ」
  http://ameblo.jp/takapon-jp/entry-10160391144.html (←クリック) 

 (大場光太郎・記)

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