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田母神論文をめぐって(6)

 次に(6)後段の「その(東京裁判の)マインドコントロールは戦後63年を経てもなお日本人を惑わせている」というくだりについてです。
 少し長くなりますが田母神の戦後観をよく表わていると思われますので、上記に続く個所を引用してみます。

 「日本の軍は強くなると必ず暴走し他国を侵略する、だから自衛隊は出来だけ動きにくいようにしておこうというものである。(中略)諸外国に比べれば自衛隊は雁字搦めで身動きができないようになっている。このマインドコントロールから開放されない限り我が国を自らの力で守る体制がいつになっても完成しない。アメリカに守ってもらうしかない。アメリカに守ってもらえば日本のアメリカ化が加速する。日本の経済も、金融も、商慣行も、雇用も、司法もアメリカのシステムに近づいていく。」

 結局田母神が言いたいことの本質はここにあると思われます。今のアメリカ追随の社会のあり方では、日本社会が根底から変質させられてしまう、だから今のシステムのままではダメなのだ。それには田母神にとっての最重要問題である「自衛隊のあり方」を根本的に見直さなければならないという論法です。
 それにはどうしても、かつての戦争を擁護し肯定し、「濡れ衣である侵略」の戦争責任を問われた東京裁判は「不当である」と断罪せざるを得ないのです。

 自衛隊の問題は、憲法第9条との関連など大変複雑な問題ですので、ここでは触れません。しかし以下のことは指摘しておきたいと思います。
 田母神はその前に、ルーズベルト(コミンテルン?)政権のハル・ノートなど度重なる不当な要求と罠によって、日米戦争は不可避だったと述べています。そしてもし戦争を回避したとすれば、「白人国家の植民地である日本」になっていたであろうとも。
 しかしそれは、上掲の「日本のアメリカ化が加速」している戦後今日の我が国の状況と、極めて酷似していないでしょうか?

 日米戦争をしてもしなくても、結局同じような状況に日本社会が立ち至ってしまうのなら、再三繰返すように国内外に甚大な被害をもたらした戦争など、始めからしない方が良かったことにならないでしょうか?
 なお、詳述はできませんが、田母神の言うような植民地状態にならずに、完全独立を堅持したままの戦争回避も出来たのです。少し前『当代総理大臣事情』で触れましたが、アメリカのルーズベルト政権の謀略を見通せる心眼が備わり、なおかつ同政権を手玉に取れるだけの大指導者が、当時の政界にいなかっただけの話です。田母神が賛美しているのは、二流、三流の指導者連中の戦争行為です。  (以下次回につづく)   (大場光太郎・記) 

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