木枯らしを実感した日
枯れし葉のいよよ別れの輪舞(ロンド)かな (拙句)
きょうは朝から激しい風が吹いた日でした。私は、てっきりきょうのこの激風こそが「木枯らし一号」と思っておりました。それで『きょうの記事は木枯らしに限る』とばかりに少しまとめ始めて、『あれっ。ホントに第一号で間違いないの?』とにわかに気になり出しました。そこで早速ネット検索してみますと、何と今年の木枯らし第一号は、11月1日(土)だったというではありませんか。その日東京では冬型の気圧配置に覆われ、午前11時頃最大瞬間風速15.5mの北西の風を記録したのだとか。
そう気象庁が発表したのだから間違いないのでしょう。昨年より17日も早い第一号だったようです。そうなるともう1ヶ月以上前に第一号は吹いていたわけです。うかつにも「木枯らしは12月に入ってから吹くもの」と思っていた私は、完全に遅れをとってしまいました。
それで私の感覚では、本日午前中に吹き荒れた風こそが、私にとっての木枯らし第一号です。そういえば夜半から風が吹いているなあという感じはしていました。それが朝方から一段と激しくなりました。建物の中にいてさえ、ゴー、ゴーッ。ヒュー、ヒューッという絶え間ない風の唸りが周り中から聞こえてきます。
そんな中午前中所用で外出しました。一歩外に出てみると、風の激しさがいよいよ実感できます。まるでそのさまは、きょうこの日ばかりは「風」という五大(ごだい)のうちの一要素が、領する一日であるように思われました。木立も道の辺のススキ群も店先の布旗の類いも皆々、吹き荒れる巨大な風圏にすっぽり覆われ、その中で身悶えしているかのようです。
母の最後の花道となった、相模川沿いの桜並木を通りました。花見頃は満開の桜のトンネル、盛夏の頃は青木立の幽玄な趣の木下闇のトンネル。それがこの度は、葉はもうかなり落ちていて、並木の先の厚木市営グラウンドや対岸の海老名市側の景色なども透かし見られます。
路面に落ちた葉はこの容赦ない風に煽られ、路上をあっちこっちに転がされたり、空中に巻き上げられて瞬間的な枯葉の舞を披露しているようです。「こヽかしこ さだめなく とび散らふ 落葉かな」さながらの情景です。
国道246号線沿いに、私も何回か立ち寄ったことのあるコンビニがありました。きょう通りましたら、いつの間にか閉店になっていました。(不況がじわじわ押し寄せているからなのでしょうか。今はコンビニの閉店ラッシュの感があります)。閉店してがらんどうになった建物は、活気という活気を失い、オープン時よりだいぶ縮こまって見えます。しかもその建物の前面といわず側面といわず、早速例のスプレーによるいたずら書きのオンパレードです。建物に押し寄せるように、ここでも木の葉が思うさま舞い飛んでいます。
木枯らし吹き荒れるこの日、そこはひときわ陰惨な印象を与えていました。
昼少し過ぎ、帰りにいつもの中津川に立ち寄りました。川風は特に強く吹きつのっています。堤防中段の幅1m弱のコンクリート通路を、どこから集まってきたのか落ち葉がカサッ、カサッと音立てて、身をこするようにして下流から上流の方に飛ばされていきます。水際の枯れ葦もカサコソと激しく揺れています。
しかし下流は南の方向です。『ということは、南風なの?』。対岸の下流側にある工場の煙突を眺めると、なるほど確かに白い煙は南から北の方向に横なびきになびいています。道理でこんなに風が強いのに、さして寒さを感じないわけです。
そして嬉しいことに、きょうは鴨たちがいてくれました。堰のすぐ近くの、比較的水量が豊かな所で七羽ほど一塊りですいすい泳いでいます。と、下流からおおきな白いビニール袋が飛んできて、鴨たちの近くにストンと落下しました。鴨は驚いて、スウーッと対岸の方に逃げていきました。とにかく鴨は敏感ですから。よく「鴨の陣」といいますが、一群で逃げ去るさまは、本当に小さな艦隊のようです。
「逃げる艦隊」。いいじゃありませんか。我々人間だった、逃げてもいいんですよ。強がって戦い続け、致命傷を負うよりは。
(大場光太郎・記)
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