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いい加減にせよ。御手洗キヤノン !

 年の瀬だというのに、派遣社員のクビ切り、正社員のリストラ、内定取り消しと、雇用悪化のニュースが流れています。そんな中、つい先日それに関連したあるニュースが流されました。
 それは、大分県杵築(きつき)市が、地元の「大分キヤノンマテリアル」と「大分キヤノン」を解雇される請負社員約1,200人を臨時職員として雇用することを決め、今月16日から募集を始めたというものです。不況風が吹き荒れ、ただでさえ財政が厳しい地方都市としては大英断であり、拍手を送りたくなります。

 ただ最長1ヶ月という短期雇用のようですが、クビを切られた非正規社員を自治体が直接雇用する例は近年はあまり聞いたことがありません。期間は来年3月までで、道路舗装などの補助が主な仕事で、市内の研修施設を緊急宿泊施設として提供するほか、5,400円の日当を支払うとのこと。一人当たり月収11万円前後になる見込みで、事業費はおよひ2,000万円程度になるそうです。
 市は予備費などを充てる計画ですが、一般会計で30億円ほどの小規模自治体に、支出する金額としては決して小さくはないと思われます。

 それにしても問題なのは、キヤノン側です。
 同社は「生産数量の減少に伴う雇用調整のケースが出ている」としています。しかし何と、キヤノンの「内部留保」は9月末時点で、約3兆円にも上っているのです。今回解雇される1,200人の社員の全収入を合算しても、必要額は0.1%程度。850年間雇い続けられるのです。

 キヤノンは、ボロ儲けするために、違法な「偽装請負」までやって労働者を安くコキ使い、去年国会でも問題視されました。キヤノンの現在の総帥の御手洗富士夫(73)はまた、「財界総理」と言われる経団連の会長でもあります。その経団連会長のお膝元で、白昼堂々違法行為がまかり通っていたのです。
 国会で民主党などから追及されると、「派遣法を変えろ」と開き直る始末。その御手洗富士夫の年収は、何と2億円だそうです。アンタさん、財政難の自治体に尻拭いさせずに、この非常時、自分の取り分の半分でも拠出して解雇者の雇用を守ってやったらどうなんだ !

 キヤノンの創立は、戦前の1937年(昭和12年)だそうです。創立者である吉田五郎は、観音菩薩を熱心に信仰していたことから、「キヤノン」という社名になったことは有名な話です。創立後しばらくは、創業の精神は大いに生かされていたのでしょう。戦後特に急成長し、現在ではカメラ、プリンタ、複写機をはじめとする事務機器、デジタルマルチメディア機器などを製造する、日本を代表する精密機器メーカーにのし上がりました。
 アメリカ、中国、オーストラリアなどに現地外国法人を有し、今や「キヤノン」は世界的に通用するブランドです。

 ところで観音様は、正式には「観世音菩薩」です。すなわち、老若男女一切衆生の祈り、希求、苦悩などの「世音」を如実に「観じ」給い救い給う、慈愛溢れる菩薩なのです。
 それが何たる所業だ。御手洗富士夫 !
 よりによってこんな寒空の師走に、多くの善男善女を路頭に迷わせて。これでは菩薩業どころか、血も涙もない悪鬼羅刹の所業ではないか ! 観音様のみならず、創業者の吉田五郎、それを後援したそなたの叔父上の御手洗毅も、泉下で泣いておられるぞ !
 
 (今回の記事をまとめるにあたり、「12月18日付日刊ゲンダイ」などを引用、参照しました。)
 (大場光太郎・記) 

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