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田母神論文をめぐって(2)

 田母神俊雄氏の最近の動向

 本考とは直接関係ありませんが。本日の12月3日付日刊ゲンダイに、同論文の発表者である田母神俊雄氏(以下敬称略)の最近の動向が紹介された一文がありました。大いに興味をそそられましたので、本シリーズの番外編として、私の所見をおりまぜながら以下にご紹介させていただきます。
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 田母神俊雄前航空幕僚長(60歳)は、12月1日(つまりきのう)日本外国特派員協会で国内外の大勢の記者を前に講演をぶったそうです。日本外国特派員協会といえば、これまでもその時々に日本国内で話題になった「時の人」がここに呼ばれては、何がしかの講演を行うことで有名です。
 今回その場に田母神が呼ばれたということは、彼の発表した論文『日本は侵略国家であったのか』が、いかに世間の関心を集めているかの証明でもあろうかと思われます。

 田母神俊雄は先ず、「危険人物の田母神でございます。私と5分話せば、いかに物分りのいい人か分かると思います」と、軽口交じりで自己紹介したそうです。田母神は、同論文を出すことによって国内世論が注目し、騒然となるであろうことを計算し狙っていたフシがあります。思惑通りに事が進んで、『してやったり !』という得意満面が透けて見えるようなオチャラケた冒頭の挨拶です。
 以後田母神は約1時間半、10月31日の身分降格処分の上退職、また11月11日の参議院外交防衛委員会に参考人招致されたことの重みなどどこ吹く風とばかりに、性懲りもなく以下のような屁理屈をこね回したそうです。

 「どこの国にも光と影がある。『お前の国は悪かった』とか持ち出すべきではない」。
 ―これは我が国の政府要人たちが、中国や韓国等に対して時に刺激的な言動をすることがありますが、そのたび敏感に反応するそれらの国を意識した発言なのでしょう。日韓併合も中国大陸進出も「侵略ではなかった」とする田母神からすれば、「中国よ、韓国よ。アンタらの国にも触れられたくない過去があっただろ。だからおらが国が言うことに対して、いちいち口出しすんじゃないよ」ということなのでしょう。

 「日本も原爆について、アメリカが言い出さなければ、こちらから言うべきではない」。
 ―これは何を言いたいのかよく分からない発言です。確かにアメリカは、広島・長崎への原爆投下について自国を正当化して、未だに我が国に正式謝罪していません。もしかしてそれを踏まえて、日本は「原爆のこと」つまり「核廃絶の訴え」などはすべきではない、ということなのでしょうか?どうやら田母神は、ガチガチの「核武装論者」でもあるようなので、彼の発言の真意は案外そういうところにあるのかもしれません。
 また同時に、昨年の久間元防衛大臣の「原爆投下はしかたなかった発言」を擁護する意図があるのかもしれません。
 (冗談ではなく、これは正真正銘の「危険人物」だ !)

 「歴史は勝者の都合のいいようにつくられる。私は論文で『日本はいい国だった』と言った。なのに政府は『日本はロクでもない国だ』と、『お前はクビだ』となった」。
 ―まあ、これまた何という言い草なのでしょう。この一文だけでも、今回の同人への一連の国家的処分に対して、反省の「はの字」も示していないことを広くアピールしたような手前勝手な発言です。
 軍人、民間人合わせて約310万人(推定)もの死者を出したかつての戦争をほぼ無条件で賛美し、かつそんなオレ様を首にした現政府は自虐史観に凝り固まった度し難い政府だ、という論法です。
 それにしても、こんな男が航空自衛隊・防衛省のトップに君臨していたとは。『この国のシビリアンコントロールは本当に大丈夫なの?』と、思わず耳を疑いたくなるような、言いたい放題の大放言のオンパレードです。
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 それに何の符合なのか、同講演の翌日のきょう(2日)は、懲戒免職でなかった田母神は、退職金7000万円をまるまる受け取る日だそうです。とんだゴネ得ですが、その前に公衆の面前で一席ぶつことによって、自分を正当化し堂々と退職金を満額受け取るつもりなのでは、という声もささやかれているようです。
 また今月8日(よりによって太平洋戦争開戦の日)には、問題のアパ論文の第1位賞金300万円の授与式も開催される予定で、そこでも田母神は一席ぶつのだそうです。もちろん同賞金もちゃっかりいただこうという魂胆なのでしょう。

 1日の外国特派員協会の講演の後、外国人記者から「今後の予定は?」と聞かれて、「講演やエッセイの依頼が多数あり、今は考える暇がない」と、ホクホク顔で答えたとか。この者は憂国の愛国者の仮面をかぶった、「計算高い銭ゲバ」なのでは?と疑ってしまいたくなります。
 皆様の中にも、田母神論文を支持する方がおいでかもしれません。しかし同氏の人物、識見、人間性について、慎重に見極めるべきなのでは?と私は考えます。
 (大場光太郎・記) 

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