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映画『CHE』について

 映画『CHE(チェ)』は、キューバ革命の指導者、チェ・ゲバラの半生を描いた長編大作です。その前編「チェ 28歳の革命」が今月10日から、後編「チェ 38歳別れの手紙」は31日から公開されます。

 監督はスティーブン・ソダーバーグ(1963年1月14日~)。アメリカの映画監督、脚本家、プロデューサーで、ジョージア州アトランタ出身。1986年初めての長編映画『セックスと嘘とビデオテープ』でサンダンス映画観客賞とカンヌ映画祭パルム・ドールを史上最年少(26歳)で受賞しました。また『トラフィック』でアカデミー監督賞を受賞しています。

 そしてゲバラの20代から39歳までを演じているのは、ベニチオ・デル・トロ(1967年2月19日~)。プエルトリコ出身のアメリカの俳優です。両親、祖父が弁護士だったため、自身も弁護士になるつもりが大学在学中演技に目覚め、役者の道を志した異色の俳優です。1988年の映画デビュー以来長い下積みが続いたものの、今回の『CHE』の監督であるソダーバーグの映画『トラフィック』に出演し、アカデミー助演男優賞を受賞しました。

 チェ・ゲバラを演じるデル・トロに、ソダーバーグ監督は「ゲバラを演じ切るなんて無理だ。でも挑戦する価値はある。それこそが革命だ」とアドバイスしたそうです。また今回の日本での公開に先立って来日した際、「ゲバラの人生は数多くの文献などで語られている。どう映像化を試みたのか?」という質問に対して同監督は、
 「彼の人生すべて、全人格を表現することは不可能だ。だから2つの出来事に絞って描くことで彼のイデオロギーと行動を凝縮して表現しようと決めたんだ」と。
 
 ゲバラは、生涯2度命を賭けて「革命」に挑みました。キューバ革命とボリビア革命です。今回の映画では、この2つの革命に挑む姿に焦点を当てて、全4時間半の映像にまとめたそうです。
 前編の『チェ 28歳の革命』はメキシコからキューバに渡りゲリラ戦を展開するゲバラを。そして『チェ 39歳別れの手紙』では、キューバを去り新たな革命のためボリビアへ向うゲバラの姿を描いたものです。
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 革命の途中、ゲバラが志半ばで処刑されたのが39歳の時でした。それは1967年10月9日、つまり昭和42年秋のことです。まったく関係ないものの、私が高校3年の頃ということになります。その頃国際的な出来事や政治的なことにはあまり関心がなかった私は、当時その事実をまったく知りませんでした。
 しかしその後我が国でも70年学生運動の広がりと共に、「革命の英雄」として次第にゲバラの名前やエピソードは、当時の若者の間に浸透していったものと思われます。トレードマークのベレー帽姿のゲバラの格好良すぎる風貌は、とにかく長く記憶に残ります。

 思えば激動の20世紀は、また幾多の歴史的な人物が出現した時代でもありました。その中でも、20世紀最大の出来事であった第二次世界大戦の頃の、ルーズベルト、チャーチル、スターリン、毛沢東などがその代表と言えるでしょう。しかしそんな英雄たちも、(チャーチルは例外としても)多くが晩節を汚す所業によって、その人物の総体的評価を下げることになりました。
 そんな中で「遅れてきた英雄」であるチェ・ゲバラは、何という鮮烈な生涯だったのでしょう ! アメリカ国民の記憶に今でも強く残っている、あのジョン・F・ケネディが1963年11月22日ダラスで凶弾に倒れたのが46歳。ゲバラは、ケネディより更に若くして世を去ったのです。

 さながら夜空にひと際光芒を放ちながら、一瞬にして消えていく流星のような生涯でした。そこに、心ある若者たちは惹きつけられるのだろうか。今でもたまに、街中でゲバラの顔をプリントしたシャツを着ている若者や、電車の中で『ゲバラ伝』を読んでいる若者を見かけることがあります。
 私は、公開中の『K-20怪人二十面相・伝』『252~生存者あり~』『私は貝になりたい』などを観たいと思いながら、まだ観ていません。この映画も是非観てみたいと思いつつも…。
 (大場光太郎・記) 

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