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「Change」は出来るのか !?

 20日(日本21日)バラク・オバマが、第44代米国大統領に就任しました。
 -7℃という寒さにも関わらず、首都・ワシントンの連邦議会議事堂前での就任式には、前代未聞の200万人もの聴衆が押しかけたそうです。47歳としいう若さと初の黒人大統領になる、オバマへの期待の高さが裏付けられたかたちです。と同時に、これは政治的イベントではなく、何やら巨大な宗教的セレモニーの感すら抱かせられます。『でなきゃあ、こんなに人を集めるのは不可能だぞ』。そう言えば、新大統領は聖書に手を置いて宣誓しますし、超大聴衆で埋め尽くされた遥か遠くには妙な高いオベリスク(尖塔)が。登場し階段を降りるオバマの顔が、一瞬古代エジプトのファラオに見えたりして。

 ところでアメリカ大統領の就任式と言えば、これまでも壮大なイベントでした。今回もジミー・カーターまで遡って、存命中の元大統領、元副大統領のお歴々や元ファーストレディらが、一堂に顔をそろえました。テレビ中継では、議事堂内通路で父ブッシュとビル・クリントンが何やら談笑している姿が映し出されました。就任式では、共和党も民主党もないようです。この辺がいかにも「自由の国・アメリカ」らしい、およそ日本では考えられない一幕です。
 しかし少しうがった見方をすると、就任式でオバマが就任したその瞬間から、ジョージ・ブッシュはお役ご免となるわけです。そして「彼の8年間がどんなものであったにせよ、これですべて不問にしようじゃないか」というのが、この儀式の隠された意図でもあるように思われてきます。

 ‘00年の米大統領選は正当なものだったのか?9・11とは一体何だったのか?アフガン侵攻やイラク侵攻(私の認識では両方とも「侵攻」そのものです)は一体何だったのか?加えて、現下の世界を同時不況に陥れた最大の要因は、ブッシュ在任中のアメリカに他なりません。
 いずれを取ってみても「罪万死に値する」大問題のはずです。しかしこれを限りに、ブッシュはにこやかにホワイトハウスを後にし、故郷・テキサスの広大なお屋敷に帰り、ローラ夫人と悠々自適の日々を送るのだとか。いやはや何とも。

 さて、そんな前代未聞の聴衆の前で新大統領に就任したオバマです。CBSテレビによる調査でも、79%がオバマ支持と歴代の大統領の中で最高だそうです。
 しかし。どうするイラクからの米軍撤退問題 ! どうするアフガンへの米軍増派問題 ! どうする「100年に一度の危機」という米国経済の立直し問題 ! etc。最大の期待を背負って登場した若き指導者には、就任時から等量の成果が求められています。しかも期待は、アメリカ一国のみならず、全世界からですから。

 大熱狂の首都を横目に、同日のニューヨーク株式市場のダウ平均は前週末比332ドル安の暴落でした。早くもオバマ新政権の厳しい船出を予想させる現象です。
 「Change(変革)」は本当に出来るのか?どこまで出来るのか?
 私はテレビ中継を観ていて、オバマ演説が始まるとともに、ありがたくなってついうとうと…寝てしまいました。後で漏れ聞くところでは、なかなかの名演説だったようです。オバマの、聴衆を魅了するカリスマ的演説には定評がありますから。しかしこれからは、具体的な「政策実行力」こそが問われます。
 アメリカと世界とそして日本のために、真の「Change」を期待したいものです。
 (大場光太郎・記)

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コメント

Change(変革)とは、大統領選挙中だけの言葉でしたね。就任演説では一度も使われていません。共和党から民主党に変えようということだけだったのか?
アメリカにとっては初の黒人大統領の誕生だから、正に歴史的なことでしょうが、世界にとってはどれほどチェンジになるのか、これからの外交政策を見ていかないと、何とも言えませんね。保護貿易主義も強まると思います。
北朝鮮との関係が劇的に変わるのか、また対中国外交がどうなるのか、注目すべき点は多いと思います。

投稿: 矢嶋武弘 | 2009年1月22日 (木) 14時01分

矢嶋様。
 どうもありがとうございます。午後から所用で出かけ、たった今戻って来たばかりで、返信遅くなりました。そうですか、「Change」は今回の演説では使われていませんでしたか。何せ私は選挙期間中の、この言葉がすっかり気に入りましたので。近いうち、今回の演説全文じっくり読んでみたいとは思っています。
 もう「Change」はすっかり浸透してしまったので、今回は使わなかったのかもしれません。まあ米国内のチェンジは、これ以上世界に悪影響を及ぼさないようにしっかりと、としても。やはり気になるのは外交政策ですね。民主党お得意の保護貿易の方にチェンジされたら、我が国はいよいよ窮地ですから。
 極論では、米国経済がにっちもさっちも行かなくなったら、いかな平和主義者オバマでも、「戦争」という禁じ手を使わざるを得ないだろうなどと言われています。そうなると標的は、イランか、北朝鮮か?など甚だキナ臭いことまで。そんなチェンジだけは絶対にしてもらいたくありませんね。
(1/23AM1:40追記)
 貴ブログの「オバマ記事」読ませていただきました。さすが掘り下げ方が違い、勉強になりました。何かコメントをと思いましたが、貴ブログ訪問者は相当の論客も多いようなので、つい遠慮してこちらで一筆致しました。

投稿: 大場光太郎 | 2009年1月22日 (木) 20時37分

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