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薬物汚染の拡がりを憂う(1)

 元グラビアアイドルの小向美奈子容疑者(23) が、今月22日夜警視庁大崎署に覚せい剤取締法違反(所持)の疑いで逮捕されました。かつてあどけない顔に似合わぬグラマラスボディでグラビア界の話題をさらったアイドルの、まさかの逮捕劇です。小向容疑者は22日午後7時すぎ、東京都港区の六本木3丁目のビルから出てきたところを、警視庁の捜査員に身柄を確保されたとのことです。

 調べによると小向容疑者は、知人の30代男性とともに、東京都新宿区にある男性の自宅マンションで微量の覚せい剤を所持していた疑いです。
 そもそもその知人男性は、昨年6月住居侵入の現行犯で逮捕され、その時男の自宅を家宅捜査の結果、覚せい剤を吸入するパイプが見つかり男を調べたところ、微量の覚せい剤反応が出たそうです。取調べの中で男と小向美奈子が一定期間同じ部屋で生活していたことが明らかになり、「一緒に吸った」と供述したため、小向の逮捕状を取り行方を追っていたということです。

 テレビに映し出された最近の小向美奈子は、年の割りにだいぶやつれて見えました。ここ数年体調不良、精神的不安定、音信不通状態などが何度もあり、仕事上で支障をきたすことがあったようです。所属事務所であるR・I・Pは、そのような事情を踏まえた上で再起に向けたサポートをしてきたようですが、「…我々の予想以上に(小向の再起が)困難な状態となりこれ以上本人の芸能活動を支えることが不可能」と判断し、昨年9月契約を解除しました。

 それ以来1ヶ月半ほど小向は沈黙を守っていましたが、昨年11月「週刊ポスト」に「私は見た『副業は売春の悪夢』」というタイトルで、芸能界特にアイドルなどを狙った売春ネットワークがあるとの告白記事を掲載し話題となりました。
 また小向にはダウンタウンの浜田雅功との不倫疑惑や、グットウィルグループの折口前会長との怪しい関係も取りざたされました。

 「覚せい剤」については、小向美奈子のみならず、過去に所持、使用によって逮捕、取調べを受けた芸能人は数知れません。主な者だけでも(一部「大麻」を含む)
 井上陽水、内田裕也、研ナオコ、長淵剛、高橋祐也(三田佳子二男)、清水健太郎、美川憲一、田代まさし、萩原健一、桂銀淑(ケイ・ウンスク)…。
 「覚せい剤所持」「売春ネットワーク」…。私のような一庶民には、芸能界は阿片窟(あへんくつ)ならぬ「巨大な魔窟(まくつ)」に思われてきます。

 (以下は本考とは直接関係ありませんが)
 「スター(あるいはアイドル)」という輝きを夢見る無数の卵たち。その中から幾粒かをすくい取り、押し上げる役目のこれまた無数の大人たち。そんなシステムの中で、いつの時代にもごく一部の者だけが栄えあるスターの座を勝ち取って、つかの間人々の賞賛を浴びます。
 しかし人々(つまり一般大衆)はいつまでも称えてはくれません。特に移り気なこの時代は。きょうのスターは、明日のスターにあっという間に取って代わられます。
 そんなスターというものの、危うさ、際どさ、虚しさ。それはしょせん虚名に過ぎないと心のどこかで分かっているのかいないのか。なおもそれを求めて、燃える火に吸い寄せられる夜の蛾のように、汚れない10代たちが今なお芸能界に群がってきます。

 しかし一方では、小向美奈子のように賞味期限が切れてしまうと、容赦なく使い捨てされていく者も数知れないわけです。スター(アイドル)の絶頂にいる時、誰が覚せい剤などに手を出すでしょうか。落ち目、転落とともに、ぽっかり空いた心の空洞にそれらの魔手がさっと忍び込むのでしょう。
 1のスターの輝きを支える100、1000、10000…もの、芸能界のブラックボックス。そこでは物欲、金欲、性欲、虚名欲ありとあらゆる人間の欲望が、巨大な渦となってうごめいているのでしょう。

 そうしてみると、小向美奈子はそんな得体の知れないものの犠牲者のようで。『若い身空でとんでもない地獄を見て、可哀相に…』と思わずにはおられません。    (以下次回につづく)
 (大場光太郎・記)

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