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けふ立春

    立春の雲東(ひむがし)に流れけり   (拙句)

 ぽかぽか陽気は節分のきのう一日だけで。きょうは立春だというのに、終日曇り空のやや寒の一日となりました。

    春は名のみの風の寒さや
    谷の鶯(うぐいす)歌は思えど
    時にあらずと声も立てず
    時にあらずと声も立てず
 
 叙情歌の名曲『早春賦』の一番の歌詞ですが、暦の上で「立春」とはいえまさに「春は名のみの風の寒さや」です。これでは、折角きのうの陽気に誘われて「角(つの)ぐ」みかけた木々の芽も、また引っ込んでしまいそうです。
 そういえばきのうは通りで、乳母車を押している若いお母さんをずいぶん見かけましたが、きょうは全くその姿がありません。

 「立春」とは太陽黄経が315度を含む1日で、春の初めとされる日です。江戸時代の『暦便覧』には、「春の気立つを以って也」と記されています。俳句の世界でも、この日を境に目にする自然界の事物に春を感受し、春の季語を使って句を読むことになります。そこで私も、しばらく冬眠させておいた、角川文庫版『俳句歳時記・春の部』を取り出しました。
 しかし暦の上では「春」でも、実際はきょうがそうであるように余寒が厳しく、大寒とともに最も寒い季節でもあります。
 
 現代では正月は元旦からですが、旧暦(太陽太陰暦)では一年の始まりは立春からと考えられていました。そうするときのうの「節分」は、大晦日の役割をもっていたわけです。そのほか、茶摘時として知られる「八十八夜」や、台風が襲来する可能性が高いため農家にとっての厄日であった「二百十日」などは、いずれも立春から数えた日にちです。
 またかつてキャンディーズの歌で注目を浴びることになった「春一番」は、立春以降に初めて吹く南からの強風のことを言います。

 ところで「立春大吉」という言葉があります。これはそもそもは立春の早朝、禅寺で厄除けのために門に「立春大吉」と書いた紙を貼る習慣からきているのだそうです。この文字は、縦書きすると左右対称となり一年間災難に遭わないというおまじないであるようです。
 道理で。と申しますのも、当家が所属しております郷里のお寺から、毎年1月にこの立春大吉のお札が送られてくるのです。ちなみに宗派は、曹洞宗(そうとうしゅう)です。当地に来てから無作法なことに、しばらく音信不通状態でした。それが母が4年前に亡くなったことにより、ご縁が復活したのです。
 それ以来毎年曹洞宗太陰暦やお便りと共に、このお札が送られてくるようになりました。
 
 ちょうど今、曹洞宗の開祖である道元禅師の伝記映画『禅 ZEN』が公開中です。道元の生涯をたどった映画で、道元役を歌舞伎役者の中村勘太郎が、ヒロインおりん役を内田有紀が、執権・北条時頼役を藤原竜也が演じています。道元は、親鸞や日蓮のように外的にドラマチックなことが少ないため、映画化されるのは珍しいことです。しかし道元は以前から関心があったので、そのうち観てみようと思っています。
 ついでながら。『K-20怪人二十面相・伝』の予告編で観た、洋画『マンマ・ミーア ! 』の評判が良いようです。ABBAの懐かしい歌声に乗っての主演のメリル・ストリープの熱演。それに美智子皇后が試写会でご覧になったことも、大きな宣伝効果になったのでしょうか。こちらの映画は、風光明媚なギリシャが舞台の、一足お先に春真っ盛りの映画のようです。
 (大場光太郎・記)

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