『おくりびと』のことなど
20日夜、第32回日本アカデミー賞授賞式が東京都内で行われました。
その結果、13部門で優秀賞に選出されていた『おくりびと』が、作品、監督、主演男優、助演女優など最優秀10冠に輝きました。これは、1997年(第20回)『Shall we ダンス?』の13冠に次ぐ快挙です。
授賞式では、『おくりびと』がたっぷりと“贈られる”夜となりました。
『おくりびと』が受賞した最優秀各賞は、以下のとおりです。
最優秀作品賞 おくりびと
最優秀監督賞 滝田 洋二郎
最優秀脚本賞 小山 薫堂
最優秀主演男優賞 本木 雅弘
最優秀助演男優賞 山崎 努
最優秀助演女優賞 余 貴美子
最優秀撮影賞 浜田 毅
最優秀照明賞 高屋 粛
最優秀録音賞 尾崎 聡・小野寺 修
最優秀編集賞 河島 章正
ついでながら、その他の最優秀賞を―。
最優秀主演女優賞 木村 多江 (『ぐるりのこと』)
最優秀音楽賞 久石 譲 (『崖の上のポニョ』)
最優秀美術賞 桑島 十和子 (『パコと魔法の絵本』)
最優秀外国作品賞 『ダークナイト』 (ワーナー・ブラザース映画)
映画『おくりびと』は、葬儀の際に遺体を棺(ひつぎ)に納める仕事(納棺師)に就いた男性(本木雅弘)を主人公に、その目を通して生と死の尊厳を描いた物語のようです。米国ロサンゼルスで22日(日本時間23日)行われる、本場アカデミー賞の外国語映画賞にもノミネートされていて、そちらの結果がどうなるかも楽しみなところです。
近年邦画産業の衰退傾向を反映して、アメリカ・ハリウッド映画などの洋画が我が国映画界を長く席巻していました。しかし1月に発表された、‘08年の映画興業収益では、邦画が洋画を上回り、その差は300億円以上もあったとか。興収第1位は『崖の上のポニョ』で、昨年末で155億円のメガヒット。(そのかわり、二極化も進んでいるとのこと。)
ハリウッド映画の、CGを駆使した一都市丸ごと果ては地球全体の大パニック、大破壊もの。西洋のおとぎ話の焼き直しのような、ヒーローとヒロインがさざまな難局に遭遇し、次々にそれをクリアーし、最後に2人は固く結ばれる。『ホントかよ !? 』と絶句したくなる、およそ信じられない極限の状況に立ち向かう超人的ヒーロー。予め「善」と決められたスーパーヒーローが、これも予め「悪」と決められている側に不可能と思われるチャレンジをし、見事悪を打ち破る…。(余談ながら。ホントにアメリカは「善」で、タリバンやイラクは「悪」なの?逆の見方だって出来るでしょうに)。
それはそれで面白くて、一時的なストレス解消にはなるけれど。同じようなパターンを手を変え品を変えして、大量生産されて次々に送り込まれた日には…。終いには、ゲップが出てきます。
西洋のおとぎ話一つ取ってみても。それと我が国の昔話は、精神的深層からして根本的に異なっていると、ユング研究家だった故・河合隼雄は指摘しています。なのに若い人から、時にハリウッド映画の刷り込み(マインドコントロール)のような「善になり切り行動」を見せられて、愕然とすることがあります。
私は、我が国映画ファンの「ハリウッド映画離れ」は健全なことで、大いに歓迎すべきことだと思います。
今回の『おくりびと』などのように、CGなど一切使わず、どちらかというと地味で普段あまり注目されない社会の種々相を、内面的に深く描き切る。これこそが、真の映画ファンが求める方向性だと考えます。
『おくりびと』。機会があれば観てみます。
(大場光太郎・記)
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コメント
映画『おくりびと』はまだ観ていませんが、この映画の原作となった『納棺夫日記』は以前から注目していました。原作者の青木新門氏は富山市の作家であり、映画監督の滝田洋二郎氏は我が家の隣町である高岡市(旧富山県西砺波郡福岡町)出身の方なので、地元でもおおいに話題になっています。ところで、この映画のロケ地には地元の富山県ではなく、大場様の郷里の山形県が選ばれたと聞いています。山形のどのあたりなのでしょうか。
投稿: くまさん | 2009年2月22日 (日) 10時10分
くまさん様。大変貴重な情報をお寄せいただき、ありがとうございます。
原作者そして映画監督が富山県のご出身。そのロケ地が我が出身県・山形。奇縁ですね。この事実は全く知りませんでした。鋭意調べまして、追って今晩頃、追加の記事として公開できればと考えております。
そんな事情を知ればなおのこと。私にとって『おくりびと』は、どうやら必見の映画のようですね。
投稿: 大場光太郎 | 2009年2月22日 (日) 14時00分