« 雪に埋もれし我が故郷(3) | トップページ | 『天地人』について(2) »

薬物汚染の拡がりを憂う(4)

 私としては「薬物汚染の拡がり」というテーマについて、早く結論に持っていきたいと思っています。導入部として小向美奈子容疑者(23)の件を取り上げたのは、汚染の拡がりについての最近の好例を示すつもりでした。そこに本考を開始した途端若麒麟容疑者(25)の事件が新たに起こり、ちょうどいいタイミングで格好のサンプルが見つかったのでそれを追いかけてみました。
 日本相撲協会は「国技」である大相撲を主催する、文科省所管のもと税制上も優遇されている財団法人です。同協会は、今回の大麻事件のみならず朝青龍の品格問題、八百長疑惑、新弟子暴行死事件など多くの問題を抱え、内外からその根本的な体質改善を強く求められている最中です。
 よって事の重大性にかんがみ、今回もこの事件をさらに述べていきたいと思います。

 特に今回の若麒麟逮捕は、角界として昨年のロシア人3力士の事件以来2回目で、しかも日本人力士としては初めてのケースです。
 相撲協会はロシア人力士の事件発覚後、全力士を対象に尿検査を実施しました。その際若麒麟は3回目でやっと「陰性」と確認されOKということにしています。1回目と2回目は陰性とならず、限りなくクロに近いグレーだったわけです。その段階で検査結果を知りえた協会関係者は『こりゃおかしいぞ』と思ったに違いありません。
 
 しかし結果的に「シロ」にしてしまいました。協会は何としても「日本人力士が大麻使用」という疑惑を公にしたくなかったのではないか、と勘ぐりたくなります。
 なおその検査の折り、疑わしかったのは若麒麟だけではありません。九重部屋の千代白鵬は尿検査すら受けていませんでした。このような相撲協会の対応ぶりを見ていると、『ひょっとして大麻力士は他にももっといるんじゃないの?』と、つい疑惑の目を向けてしまいます。
 若麒麟は逮捕直後、「以前から吸っていた」と常習性を認めながら、その後「六本木で外国人から買った」「吸引は2度目だ」と供述を翻したのは、仲間の大麻力士をかばうためとも見られているようです。
 これらのことから、大麻汚染は角界に深く広がっていると見られても仕方ないのではないでしょうか。

 また相撲協会は理事会での協議の結果、若麒麟容疑者を「除名」という最も重い処分ではなく、2番目の「解雇」処分に決しました。昨年のロシア人3力士と同じ処分です。そして退職金(協会名称:力士養老金)も支払う予定でした。それを支給することよって、相撲界の大麻汚染の実情やその他協会の不都合な真実をばらされるのを恐れての、口封じではないかという批判も挙がっていたようです。
 さすがにこの問題については、若麒麟容疑者の方から辞退するという形にして、結果として「退職金なしの解雇処分」ということで決着をみました。

 すべては角界の大麻汚染の捜査が、若麒麟からどこまで波及するのかにかかってきたようです。
 逮捕から1週間以上が経過して新たに分かったことは―。1月30日昼過ぎ神奈川県警は別件で、東京・六本木4丁目の雑居ビル内の「D.OFFICE」というCD制作販売の音楽関係会社を家宅捜索したところ、そこにたまたま若麒麟容疑者が居合わせたということのようです。同社はヒップホップ系の音楽を手がけ、社員らは「ラッパー」を称しているそうです。
 県警が踏み込んだ際若麒麟はソファに座り、別室に一緒に逮捕された自称ミュージシャンの平野力(30)もいて、共に大麻吸引中だった。そこに別の男が現われ、カバンから今度は新たにコカインらしき粉末も見つかった。県警はこの会社が音楽事務所という看板に隠れ、事務所内で薬物を日常的に使用していた疑いもあるとみて、捜査を進めているもようです。

 しかし角界の薬物汚染の実態について、若麒麟が取調べの中で他の大麻力士の名前を口にしなければ、今後どこまで切り込んでいけるかは疑問のようです。今回は瓢箪から駒のように若麒麟が逮捕されましたが、大麻取締法違反は原則として所持か吸引の現行犯でなければ逮捕出来ないからです。
 
 だからなおのこと。相撲協会は若麒麟と尾車親方の処分だけで一件落着とするならば、それは「トカゲの尻尾切り」で、真の角界浄化になるものではないと思われます。
 もう二度と大麻力士を出さないためにも、相撲協会は臭いものにフタ式の旧来の隠蔽体質から脱却すべきです。この際武蔵川理事長以下全理事が自分の進退を賭けるくらいの強い決意で、自らメスを入れて、角界の薬物汚染の実態がどれだけのものであるかを明らかにしてもらいたいものです。  (以下次回につづく)
 (大場光太郎・記) 

|

« 雪に埋もれし我が故郷(3) | トップページ | 『天地人』について(2) »

映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



« 雪に埋もれし我が故郷(3) | トップページ | 『天地人』について(2) »