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神奈川県庁本庁舎にて(1)

 25日(水)、久しぶりで横浜に行ってきました。行き先は神奈川県庁本庁舎です。以下にそのもようを小紀行文的につづってみました。
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 「冬は名のみの風の寒さや」のこの季節、ことに先週末頃から今週にかけては、曇ったり雨が降ったりのぐずついた寒い日が続いています。この日も午前中は雨がちで、午後当厚木市を出た時雨は降っていないものの、何となく湿っぽい冷気を感じ、横浜への遠出で途中どうなるか分からず、傘を持って出かけました。
 この日目指したのは神奈川県庁の本庁舎でした。海老名市内某建築会社の、一級建築士事務所登録の変更届提出が目的です。

 昨年10月の『横浜の秋風に吹かれて(3)』でもご紹介しましたが。神奈川県本庁舎は昭和3年に建てられた我が国初の帝冠様式による建造物です。外壁は茶色いレンガ張り。遠目から見ても、いかにも時代を感じさせるノスタルジックな外観です。
 また本庁舎は、建造からしばらくは横浜市内では図抜けて高かったため「横浜三塔」の一つとして市民に親しまれていたようです。三塔はそれぞれキング、クイーン、ジャックという愛称で呼ばれました。この本庁舎は、その筆頭格の「キング」の愛称です。ちなみにクイーンは横浜税関本関庁舎、ジャックは横浜市開港記念会館です。
 そういえばここに来るまでの途中に、「横浜三塔物語」というシャレたネーミングの布幟(ぬののぼり)がありましたっけ。

 横浜スタジアムからドーンと真っ直ぐ伸びているみなと大通りの鋪道を歩いて、あと少し歩けば横浜港という手前に本庁舎はあります。外観もさることながら、中もグレー系の大理石造りの四角て大きな柱が所々にあったりして、何かタイムスリップして戦前のさる大きな建物の中に迷い込んでしまったかのような錯覚すら覚えます。(建物内の角を曲がろうとして、ひょいと怪人二十面相に出くわしそうです。)
 目指すは、同庁舎5階の建築指導課。庁舎内は現在一つのエレベーターしか稼動させておらず(以前お伝えしましたとおり神奈川県もかなりの財政難です)、それに乗り込んで5階の建築指導課に行きます。この部署のチェックは至極あっさりしたもので、ものの数分で受付が終わりました。書類第一面上部余白に、丸くて大きな朱の収受印をポンと押して、それぞれの副本を返してくれました。

 同部署を辞して通路に出て、時計を見ると4時15分過ぎ。折角本庁舎に来たのですから、このまま帰るのももったいなく、6階の屋上に上ってみることにしました。
 雲が多目ながら、きょうはもう雨が降ることはないようです。それのみか、雲の切れ間から、早春の柔らかな西日さえ射してきています。さすが屋上に出てみると、老朽化はいかんともし難いものがあります。雨ざらしの床板の端辺りには深緑色の苔が生えていたり、屋上をぐるりと囲んでいる黒ずんだ防護コンクリート壁(高さ1m強)の、至る所にひび割れてコーティングした跡が見受けられ、痛々しいほどです。
 
 でもいいのではないでしょうか?このような老朽化した建物を役所の建物として使い続けても。耐震補強さへ磐石であれば。
 本庁舎と大通りを挟んで反対側には、10階建くらいの超近代的な新庁舎が建てられています。その無個性で冷ややかな外観と比較しても、「昭和は遠くなりにけり」の平成21年の今日、このような歴史的建造物を遺し続ける価値は大ありです。  (以下次回につづく)

 (大場光太郎・記)

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