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『天地人』について(9)

 今回(第16回)の『天地人』は「信玄の娘」。御館の乱で上杉景虎(玉山鉄二)を破った上杉景勝(北村一輝)が、武田信玄の娘(武田勝頼の妹)である菊姫を妻に迎える話が中心でした。前回自害して果てた景勝の妹・華姫(相武紗季)に代わって、菊姫登場という感じです。
 菊姫を演じているのは、比嘉愛未(ひが・まなみ-22歳)で沖縄県出身。菊姫を演じるに当たって、廊下の歩き方や曲がり方、身分によって頭の角度が違ったとされるお辞儀の仕方など、予め“お姫様修行”をしてから撮影に臨んだそうです。
 
 今後ドラマに頻繁に登場するのでしょうから、その菊姫について少し―。
 永禄6年(1563年)武田信玄の六女として生まれました。母は油川信守の娘で信玄の側室となった人でした。天正7年の御館の乱の折り締結された甲越同盟の、武田家と上杉家の同盟の証として同年景勝に嫁ぎました。戦国の世で頻繁に行われていた政略結婚だったわけです。それまで20余年間も敵国同士だったわけですから、いざ嫁ぎ先の越後に向う時はさながら戦いに赴く時のような行列だったと、今回最後の天地人紀行のナレーターで触れていました。その時菊姫16歳。(それより以降につきましては、後はドラマで。)
  
 御館の乱で折角盛り上がて面白くなってきたぞと思ったのに。乱が収束して平時に戻った途端、またつまらなくなってしまいました。
 以前も触れたかもしれませんが、直江兼続(妻夫木聡)の生涯そのものが、特に前半生はあまりよく分かっていないようです。そういう人物を主人公にして、一年分の大河ドラマに仕立て上げようとするとどうしても無理があり、戦国物に名を借りた創作ドラマ(つまり作り話)になってしまうからなのでしょう。
 上杉藩に少しは縁のある私などは、それだったら直江兼続物は半年にして、後の半年で上杉鷹山公の生涯をドラマ化してよ、と言いたくなります。

 今回特に「くさいお芝居」と思ってしまったのが、次のシーンです。
 ―景勝と菊姫の仲を案じた兼続は、仙桃院(高島礼子)に菊姫に会ってほしいと願い出る。仙桃院と菊姫が話しているとき、兼続が現われ、菊姫に見せたいものがあると執拗に言う。それは越後に春の訪れを告げる雪割草であった。兼続はこの花のように心を開いてほしいと菊姫に懇願、菊姫も打ち解けるようになる。(NHK天地人ホームページ・あらすじより)
 この中のお屋敷の庭の雪の間から花を咲かせた雪割草を、仙桃院、菊姫、兼続などが見守り互いに心にある思いを語り合うシーンです。演出・脚本では、それが今回の見せ場の一つだったのでしょうが、いかにも絵空事のお芝居然としていて、率直に「おもしろくない」と思いました。

 ところで最近「ココログニュース」で、『天地人』が取り上げられていました。そのタイトルは、 ブロガー唖然!?『天地人』 というものです。その内容は、ざっと以下のとおりです。
 ―滑り出しは去年の『篤姫』に迫る勢いだった視聴率も徐々に低下(第13回以降20%以下)、ブロガーの間でも辻褄の合わない展開や,リアリティを欠いた映像に不満の声が起こり始めた。御館の乱は、当時多大な犠牲を払った激戦といわれるが、戦闘シーンがほとんどなく「戦っているのは兼続とその仲間たちだけだ」「なんだか話し合いで片付いた」「他に重鎮がいるのに、19歳の主人公の言うとおりに事が運ぶ」など唖然としたブロガーは多いようだ。本来登場すべき重要人物を割愛するなど、史実に反した描き方にも批判の声があがる。(以下省略)

 私はそれまでの『天地人』に比して、数回にわたった御館の乱はまあ面白かったと思いましたが、私などよりもっとシビアにチェックして観ていたブロガーも多かったということなのでしょう。確かに上記した「雪割草のシーン」などは、リアリティを欠くこと甚だしいと思います。また織田信長(吉川晃司)の傍らに、常に架空の女忍・初音(長澤まさみ)がいるのは、史実に反した描き方の極みというべきでしょう。
 問題はNHKの番組制作局のドラマ作りの姿勢にあるのか、監督にあるのか、脚本・演出にあるのか分かりませんが、今年の『天地人』は少々欠陥ドラマであるように思われてなりません。今後ともあまり過大な期待を寄せることなく、それでも少しでも「おもしろい」内容にと、一視聴者として願うばかりです。

 (大場光太郎・記)

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コメント

 今回の 『天地人』について(9) を含む一日の訪問数、おかげ様で過去最高の120人になりました。昨年記事の『小室哲哉逮捕に思うこと』の時も同数でしたが、その時は私の数が含まれていました。今回は純訪問数ですから、わずかに1人分上回って過去最高ということになりました。
 『天地人シリーズ』既に9回を数えますが、それまでは行っても90台、100にどうしても届きませんでした。それが今回はなぜあっさり届き、過去最高数字となったのか?原因はよく分かりませんが、素直に嬉しく思います。アンチ巨人と同じで、いろいろ批判、批評はあっても、結局「天地人人気」はけっこう高いということなのでしょうか。
 本記事好評につき、本日の新記事公開は見送ります。ご了承ください。

投稿: 大場光太郎 | 2009年4月21日 (火) 01時19分

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