春だより(2)
飛花落花ひとひらふたひらももち(百千)ひら (拙句)
今月に入って本当に春らしい暖かな日が続いています。そのため3月中はずいぶん足踏みしかけていた桜は一気に開花が進み、当厚木市では満開の桜の見頃は先週末。以後はピークを過ぎてにわかに散り急ぎ、日に日に地面に落花花びらの数が勝っていきました。落花とともに各枝には葉が芽生え初め、残る花と萌える葉とがせめぎ合う様相で、近目にも遠目にも『あヽずいぶん花の色が褪せてきたなあ』と感じられてきました。
そしてきのうきょうあたりは、もう残花はほとんどなく、すっかり葉桜の様相です。そんな時、地面に吹きだまる薄紅色の落花を見ては哀れ、手に取ってははらはらと手からこぼれて風に流されていくさまを見るのはさらに哀れを感じます。
桜の花の咲き具合を、ほかの春の万物はじっと息を凝らして見守っていたかのようです。というのも、その落花し始めたのを見計らったように、野山の木々の芽吹きがさらに加速していくからです。いえ、野山だけではありません。街の家並みの生垣や各地の公園の木々や本厚木駅周辺の大通りの街路樹なども同様、瑞々しい若葉を一斉に芽吹かせます。それはまるで、新たに生まれた喜びをいっぱいに表現しているような初々しさです。
それなのに2日ほど前、平塚市と秦野市の境の高台に位置する東海大学湘南キャンパス付近を目指して、車を走らせていた時のこと。富士山が麓近くまで、その秀麗な全容が眺められる場所を通りました。何と富士山は頂上から麓の方まで、未だ全山真っ白い雪化粧なのです。
純白の雪に覆われた富士山と、ずっと手前の若葉に覆われはじめた野山との、何ともいえないコントラスト。アンバランスながら、いわく言いがたい感動を覚えつつ車を走らせていました。
その手前の小田原厚木道路沿いには、けっこう田園風景が広がっています。その中には、一面がレンゲの花で覆い尽くされた田んぼも幾つか見られます。
また近郊を走ってみますと、(どの地域もそうでしょうが)小川や小河川が多いものです。その土手や河川敷には真新しい若草が見られるのは当然として、土手沿いにも川中の両岸にも川の中ほどの土の部分にも、菜の花がけっこう咲き乱れているのが、あちあちで見られます。
菜の花の種が風で運ばれ、そこここに自生することになったものなのでしょう。小河川における菜の花のまぶしい黄色が占める割合が、年々増えつつあるようです。
川といえば例の中津川です。冬の間は大堰が開けられて細い流れでしたが、今はまた堰は閉められ、満々とした豊かな春の川となっています。それとともに正直なもので、幾多の小鳥、水鳥たちも戻ってきて、チチチチッ、ピーィピーィとあちこちで春の囀りが聞かれました。
其の他当地では、既に10日ほど前に、モンシロチョウやツバメの姿も見られました。若草、葉桜、若葉山、菜の花、レンゲ草、初蝶、初つばめ…。もう盛春の条件は皆ことごとく揃ったな、と感じられる今日この頃です。
(大場光太郎・記)
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