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『天地人』について(10)

 『天地人』第17回は、「直江兼続誕生」でした。
 直江信綱の急死によるものです。ドラマでは直江信綱(山下真司)の死は、兼続等それまでの家柄によらない若手が家老に抜擢されたことへの、旧家臣たちのやっかみによるトラブルとして描かれています。しかし史実では、御館の乱を巡る恩賞などのもめごとに信綱が巻き込まれた、というのが真相のようです。

 いずれにせよ、跡継ぎがいなかった代々筆頭家老の名家・直江家を、小禄の樋口与六兼続が継ぐことになったことで、以後兼続は直江兼続(妻夫木聡)を名乗ることとなり、同時に上杉家における地位をゆるぎないものにしていくことになりました。
 ドラマにあったように、それは上杉景勝(北村一輝)からの主命によるものでした。御館の乱後、弱冠21歳の若さで家老に登用されたことといい、今回の直江家相続の主命といい、その若さで兼続の力量が衆に抜きん出たものであり、主君・景勝からいかに信任されていたかの証明だと思われます。

 直江家の息女でこのたび改めて兼続の妻となったお船の方(常盤貴子)を、これまでも度々主要な場面に登場させ、ことあるごとに兼続と絡ませていました。お船の方は史実としても、再婚した兼続をよく内助した賢夫人だったようです。今後さらに登場の場面はふえていくことでしょう。
 お船の方を演じている常盤貴子は、2003年秋のテレビ朝日(開局45周年記念)ドラマ『流転の王妃・最後の皇帝』で主演の愛新覚羅浩を演じたり、2004年にはなかにし礼原作(降旗康男監督)『赤い月』のヒロインを熱演するなど、それらの作品の中国ロケによって女優開眼し、更に演技に磨きがかかったようです。今回の『天地人』でもこれまで、好演技が見られました。今後の活躍が楽しみな女優だと思います。

 天正10年(1582年)。御館の乱がようやく終息し、兼続個人も直江家の後を継ぐなど、多事が続く上杉家にとって更なる難題が迫っていました。織田信長(吉川晃司)による、上杉氏の内乱による弱体化を読みきった上での越後への侵攻です。
 信長はその手始めとして、甲斐の武田を攻略します。武田の家臣は悉く信長になびき、武田勝頼(市川笑也)を裏切ります。信長は武田の菩提寺・恵林寺を自ら攻め、僧侶150人を焼き殺すなど、その苛烈さは鬼人のごとくでした。結局武田の軍勢はわずかに100人足らずとなり、勝頼は自刃して果て、名門武田家は400年の歴史を閉じたのです。

 そして次なる信長のターゲットは、いよいよ越後上杉領です。その侵攻を食止めるための最前線基地は越中の魚津城でしたが、重臣の吉江宗信(山本圭)と阿部政吉(葛山信吾)が自ら願い出て、魚津城の守りに赴きます。
 ところで魚津城に赴く前に、阿部政吉と直江兼続が話し合う場面がありました。安部を演じた葛山信吾(かつらやま・しんご)、私は初めて目にする役者ですが、なかなかいい味を出していました。横に妻夫木聡がおりながら、一瞬『この役者が主役の直江兼続だったらよかったのに』と思ってしまいました。

 軍略の天才・上杉謙信(阿部寛)は、信長による越後侵攻を見越して、晩年北陸に手を延ばし越中、能登に進撃しその領土としていました。もしここがなければ、一気に越後に攻め込まれていたところでした。
 越中に攻め込んだ信長の先鋒は、加賀の柴田勝家、越中の佐々成政、信濃の森長可らでした。上杉勢はたちまち苦戦に陥りますが、その辺のもようは次回のドラマで描かれていくことでしょう。

 今回のドラマの中で、信長が秀吉(笹野高史)の家臣・石田三成に対面し、信長の直接の臣下にならないか、と持ちかける場面がありました。三成は言葉巧みにその誘いを断わる場面です。吉川信長より年下であった笹野秀吉が、ずいぶん年寄りなのはご愛嬌として。『小栗旬の石田三成?さまになってねぇー ! 』という感じなのです。(小栗旬ファンには申し訳ありませんが)今に到るもピンとこない、妻夫木兼続以上の違和感です。NHKさん。重厚な役柄が要求される時代劇に、イケメン俳優を安直に使うのは本当にやめてください。

 ところで、初回、2回の幼少・樋口与六役で、お茶の間の人気をさらった子役の加藤清史郎君(7歳)を、この『天地人』でまた出演させる予定があるそうです。時期は来月6月頃とのこと。さて今度はどんな役なのでしょう。ひょっとして、兼続とお船の子としてなのかなあ?こちらは楽しみな話題です。

 (大場光太郎・記)

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