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鷹桜同窓会報(2)

 直江杉のこと

 私の母校のある山形県長井市の北端の、あやめ公園に隣接する鎮守の森として長井一の宮、總宮(そうみや)神社というのがあるそうです。私は初めて聞く神社です。
 但し「あやめ公園」は、3,3haの公園内に500種100万本ものあやめが咲き誇る日本有数のあやめ公園で、私が子供の頃から近郷では有名でした。今は地方の時代なのか、たまにNHKテレビなどで長井市挙げてのエコロジーの取組みなどが紹介されることがあります。そんな時決まって同公園の映像も流されます。
 
 まったくの余談ですが。高校1年時所属していた体操部(ものにならず1年の秋に退部)で親友になったS君と、ちょうど「あやめ祭り」の日曜の同公園を見て回ったことがあります。屋台も多く立ち人でごったがえしていたあやめ祭りもさることながら、前夜長井市近郊の彼の家に一泊したことの方が、より印象深く覚えています。
 S君の家は田んぼの真ん中の一軒家の農家でした。しんしんと夜が更けていく中で、周り中からうるさいほどの蛙の鳴声が聞こえていました。また夕方着いてすぐくらいに、彼の妹を紹介されました。2歳年下というその妹さんは、ほの暗い隣の部屋からそっと現われました。S君とは似ても似つかない色白の美形なのにギクッとし、寝てからも彼女の面影をたどったりしていました。

 さて今回の同窓会報記事は、總宮神社総代会長・安部新一氏(昭和29年卒)の「直江杉のこと」という寄稿文からです。
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 總宮神社の歴史は古く年号は定かではないものの、大和か飛鳥時代に遡るそうです。「日本武尊命(ヤマトタケルノミコト)」が、父景行天皇の命による東夷征伐の際に、吾妻(あづま)の麓最上川上流の暴れ川・松川の水源となる「赤崩山(あかくずれやま)」の山腹に御剣を立て、度々起こる洪水を鎮定したという伝説があるようです。
 平安時代の延暦20年(801年)征夷大将軍の坂上田村麻呂(さかのうえのたむらまろ)が、この神徳を追尊して「白鳥の社(しらとりのやしろ)」を創建しました。さらに永承6年(1051年)「前九年の役」が起こり、鎮守府将軍源頼義(みなもとのよりよし)が尊の神徳を敬仰して社殿を再造し、「赤崩山白鳥大明神」として崇められてきました。
 文禄2年(1593年)米沢城主となった蒲生氏郷(がもう・うじさと)は、長井郷(ながいごう)の44ヶ村の神社を廃し、これらの神号をすべて合祀(ごうし)し長井郷総鎮守として社号を「總宮」に改め、神領二百石を与え長井郷の氏神としました。

 さてこの總宮神社の「参の鳥居」の両袖に、目通り幹回り4m20と3m30の2本のほかに7樹、何れも幹回り3m以上、幹高20~30mの杉の古木が社を守る形で植えられているそうです。これが、慶長3年(1598年)米沢藩初代藩主・上杉景勝の重臣・直江山城守兼続が、戦勝を祈願して刀剣を献上し手植えをしたと伝えられている「直江杉」なのだそうです。最上川舟運盛んなりし頃、船頭たちはこれを「宮の一文字杉」と呼んで、これを眺めながら長井の里に入ったことを実感したものだそうです。
 参の鳥居付近の写真も添えられています。なるほどその手前両脇に、亭々として鬱蒼と葉を繁らせた立派な大杉が認められます。

 安部氏の文は続いて、直江兼続の人となりに言及していますので、それも以下にご紹介してみます。
 名将言行録(幕末期の館林藩士・岡谷繁実の武将列伝)で、「長高く姿容美しく言語晴朗なり」と兼続を評しています。武道、学問にも優れた文武両道の名将で、漢詩にも造詣が深い一流の文化人でした。特に、都を去る時の心情を詠んだ漢詩
  春雁吾に似て吾雁に似たり
  洛陽城裏花に背いて帰る
は、名詩として知られています。

 慶長5年(1600年)、豊臣秀吉の死後、徳川家康の増長に異を唱える主君・上杉景勝の心情を汲んで、兼続が家康に送った『直江状』が家康の逆鱗に触れ、関ヶ原合戦勃発の発端となったとされています。
 景勝と兼続主従の上杉軍は、盟友・石田三成に同調してその戦いに敗れ存亡の危機に立たされたが、兼続の機知と才覚により、会津120万石から米沢30万石に減封されるに留まりました。その窮地の中にあって直江兼続は、家臣に情厚く倹約を重んじ米沢藩繁栄の礎を築きました。
 
 今に残る築堤「直江石堤」や銅町の「直江釜」、農業指南書の「四季農戒書」などはその遺産であり、「直江杉」もまたその大きな遺産である。
―と、安部氏の文は結んでおります。私としては上記に何も加えることはありません。ただ願わくば、現在進行中の大河ドラマ『天地人』において、このような重厚な直江兼続像を是非見せてもらいたいものです。

 (大場光太郎・記)

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