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どうなってんだ?今の政界 !!

― 鳩山総務相辞任に思うこと

 鳩山総務相は12日日本郵政の西川善文社長の更迭要求が受け入れられなかったとして、麻生首相に辞表を提出し受理されました。これまでの経緯から、これは表向き「辞任」の形を取ってはいるものの、事実上首相による「更迭」と見られます。
 日本郵政がいかに巨大組織で西川氏がそのトップだからとは言え、既に「民営化」され政府が100%出資している一民間企業です。片や鳩山総務相は同社を所轄する立場であり、麻生首相の盟友でもあり、派閥横断的「太郎会」会長として先の総裁選では麻生太郎新総裁誕生に貢献した恩人でもあります。

 なのに「時代劇で『御用商人が悪事を働いていて懐を肥やしている』と家老が殿様に進言したら、『お前が腹を切れ』と言われたようなものだ」(国民新党・長谷川憲正議員談)という喩えどおりの展開です。益々麻生首相の「バカ殿様ぶり」が強く印象づけられたような今回の一件でした。
 麻生首相は以前図らずも、「私は郵政民営化に必ずしも賛成ではなかった」とのたまいました。それなのになぜ民営化に懐疑的な盟友・鳩山邦夫を切ったのか、理解に苦しみます。それに恩人を自ら切ったことにより、党内支持基盤の更なる弱体化は必至でしょう。いくら「鈍感力」の鑑(かがみ)のようなお人でも、今回はさすがに苦渋の決断だったのではないでしょうか?

 そもそもことの本質は、国民の財産である「かんぽの宿」を、日本郵政が不当に安く売ろうとしたことに対する是非にあります。2,400億円で建設した施設をたったの109億円で売却しようとしたのです。これは(時価よりだいぶ安い)固定資産評価額でも857億円の価値があるものです。しかも売却先は西川社長とも親しく、郵政民営化推進派だった、宮内義彦社長率いるオリックス不動産でした。
 誰が考えても怪しい話なのです。そのため国会議員12人は、西川社長を「特別背任未遂容疑」で東京地検に刑事告発しています。(もっとも「西川留任」でまたあいまいな決着にされることでしょう。)

 今回もし反対に「西川更迭」の決断をしていれば、今週末に行われる各社世論調査で内閣支持率は急上昇していたかもしれません。というのも、だいぶ以前からくすぶり続けていたこの問題に対して、「辞任すべきは、鳩山、西川、どっち?」という世論調査では「西川社長が辞任すべき」が約7割にも達していたからです。今回の件を受けて、「国民感情からすると、鳩山大臣の主張の方がすとんと胸に落ちる」(井吹元幹事長)という党内からの声もあるほどです。
 しかし麻生首相は、「国民感情」からしても真逆の決断をしました。これによって、現在の支持率20%台からの下落は避けられないと思います。それを見て党内からは、「麻生では総選挙が戦えない」という麻生降ろしの機運が一層強まることも予想されます。

 上記諸々のマイナスが懸念されながら、麻生首相は今回なぜこのような決断を下さざるを得なかったのでしょうか?
 言わずと知れた、郵政民営化を推進してきた小泉・竹中一派の圧力に屈したからです。小泉元首相からは、「西川社長をクビにしたら選挙がもめるぞ」と直接脅されたなどという話も伝わっています。
 またそれ以上に、アメリカや財界を敵に回すことを恐れたとも言われています。(まあ麻生太郎は、漫画好き、ハードボイルド好きなくせして、あっちこっちの「脅し」にはいとも簡単に屈してしまう男だ)。どうも日本郵政を完全民営化させ、日本の郵貯、簡保資金を開放させるというのが、アメリカや財界の悲願であるようなのです。総額350兆円にも上る莫大な財産(言っておきますけど、国民から預った貴重な財産ですよ ! )を山分けしてボロ儲けしようとしているのです。
 そして西川社長は、民営化のシンボル的存在として小泉元首相が送り込んだ人物です。もし解任されたら、民営化がどうなるか分からなくなる上、郵政民営化にまつわる巨大な「悪」が一気に表面化し、疑惑は小泉元首相自身にも及ぶかもしれないと言われています。

 ホントに「いやはや何とも…」ではないでしょうか?組織に大きな不祥事が発生した。トップは、その不始末をきちんと片付けてその上で身のけじめをつける。これが一般社会の常識というものです。私はこれまで「社会通念の打破」ということを述べてきましたが、これは世の中がどうなろうとも決して崩してはいけないことです。
 しかし特に小泉元首相時代あたりから、とにかく政界をはじめとする各界トップの「けじめの無さ」「いいかげんさ」が目にあまります。「上の如く下もかく在り」「政(まつりごと)乱れれば民乱れる」で、この社会全体にそのような無責任の風潮が瀰漫(びまん)しています。今やモラルハザードは凄まじく、この国は根っこの部分からどんどん腐ってきているのです。結果、「今の世の中何でもありなんだ」とばかりに、詐欺、脅迫果ては殺人などの異常犯罪が増加する一方ではないですか。

 (大場光太郎・記)

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