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中津川寸描(4)

   川の面(も)に目を凝らしをり梅雨晴れ間   (拙句)

 11日午後県厚木合庁からもう一つ別の役所に寄り、それから帰路に着きました。中津川側道ルートを通り、久しぶりでいつもの中津川堤防に降りてみました。(午後3時半頃。)

 すぐ下流側の大堰は早春の頃早々とまた堰き止められ、こちら側はさながら湖水のように満々たる水を湛えています。それに最近の雨続きで、水量はことのほか豊かです。去年よく鴨が一羽ずつ蹲(うずくま)っていたテトラポットも、今は再び頭だけ水面に出て、二列で飛び飛びに見えています。残念ながら、本日鴨たちの姿はありません。
 堰の方からはゴーッと大量に流下する水音が絶えず聞こえています。が、それとても自然の音声、さほど気になりません。

 本夕河原を渡る風はそよ吹く風で、コンクリート堤防中ほどの突起に腰を下ろしている私を、爽涼とかすめて吹き過ぎていきます。町場から持ち来たった蒸し暑さが払われます。
 そよそよ風のせいか、きょうの川面(かわも)は少し揺らいではいるものの、いたって穏やかなようすです。私が位置しているより数メートル上からそのままずっと上流に伸びている中州にも、目路(めじ)の限りの対岸にも、葦が繁茂していて一面青葦原といった感じです。その葦群と対岸に飛び飛びにある木々と、さらに川向うの工場の建物なとが、鏡のような水面(みなも)にほぼそのまま逆さに映じています。特に、濃淡の緑の上下対称形は絶妙です。

 空模様はと見上げますと、なるほど梅雨空らしく一面雲で覆われています。しかしそれはおおむね薄い横すじ雲の集まりで、雨雲のたぐいではないようです。それに時たま背後の西の方から日差しが漏れ出し、河原全体を明るく照らしたりしています。

 改めて川に視線を下ろしますと、こちら側(右岸側)の堤防面は、早春の頃はきれいに刈り込まれ丸坊主のように視界良好でしたが、今は雑草がびっしりです。ともすれば、堤防中ほどまでの古いコンクリート護岸の四角い枠の割れ目伝いにさえ、草は根を生やしています。
 まして私のすぐ前に見えている、土を締め固めネットで連結した堤防下部は、それはもう伸び放題です。その中に何という草花なのか、丸い小さな(よく見るとほんの少しうす紫がかった)花がいっぱい咲いています。こんな名もない花でさえ、こうして今まさに花の命を咲いているのかと、健気(けなげ)に思われます。

 その先はもうこちら岸の青葦の連なりです。水際(みぎわ)に葦が浸っているさまは、何ともいい水辺の風情です。
 今月1日から鮎解禁のはずですが、やはりこの辺一帯は禁漁区になったのか、昨年同様ずっと下流の方まで釣り人の姿はまったく見かけられません。そんな中、上流百メートルほど先に一本の釣竿が認められました。白くて細い竿がしなって放射状に上向いています。葦原にうまく隠れて、釣り人の姿はまったく見えません。

 時折り上流の遠くから、ピィーーッ、ピィーーッとやや節の長い鳥の鳴声が聞こえてきます。そちらの方に耳を澄ましていますと、今度はピッピッピッという何鳥かの声。また時折りうぐいすの声まで聞かれます。
 すぐ前の草むらの上を、上流からひらりひらりとモンシロチョウが下流の方に飛んでいきました。と次の瞬間、堰の方から白鷺がゆったりと羽ばたいて川の中ほどの上空を上流に向って飛んでいきます。川面はその優美な白い飛跡をつかの間映し出していました。

 (大場光太郎・記)

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