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我が懐かしのS&G

 1970年代前後一世を風靡したアメリカの音楽デュオ・サイモン&ガーファンクルが、当月日本公演ツアーを行いました。7月8日ナゴヤドームを皮切りに、10、11日東京ドーム、13日京セラドーム大阪、15日日本武道館、18日札幌ドームというスケジュールだったようです。
 サイモン&ガーファンクル(以下「S&G」と表記)は、私にとっても「我が懐かしの“青春のデュオ”」といっていいくらいです。今回の来日公演にあたっては、東京公演など4月頃から前売り開始していたようです。私も『行ってみたい』と思いながらも、諸事、雑事に追われがちな昨今、『どうしようかな?』と迷っているうち、気がついたらもう終わっていたという次第です。

 これはあくまでも私個人のことながら。当時20代の私にとって、S&Gはビートルズなど問題にならないほど深い影響を受けました。その音楽的水準の高さ、込められたメッセージ性、知的でクールで時に哲学的とも思われる歌の内容…。
 その音楽性が私の感性にフィットしたからなのでしょうか。私はアメリカをはじめ外国のミュージシャンの音楽はほとんど集中して聴いたことがないのに、S&Gだけはレコードやカセットテープなどをせっせと集めては、とにかく繰り返し聴いていました。

 S&Gが我が国で最初にヒットしたのは、昭和43年の秋以降。私が山形の高校を卒業して現居住地である厚木市にやってきた年でした。映画『卒業』のテーマソングでもあった『サウンド・オブ・サイレンス』が、日本でも大ヒットしたのです。しかしその頃私は度々述べましたとおり、仕事にも首都圏(ぎりぎり)での生活にも共になじめず、おろおろもじもじしていた時でした。何となく『いい歌だなあ』とは思いながらも、その時は特別な思い入れはありませんでした。
 『卒業』も同じ頃我が国でも上映され大評判だったものの、すぐには観ませんでした。観たのは、2年くらいたってからのリバイバルだったと思います。

 余談ながら、映画『卒業』について―。
 この映画は、その後相次いで公開された『俺たちに明日はない』『真夜中のカーボーイ』などと共に、「アメリカ映画を変えた映画」と評されました。何せラストにおいて、教会で他の男との結婚式の最中の恋人(キャサリン・ロス)を、大学卒業間もない主人公(ダスティン・ホフマン)が強奪するのですから。それまで「教会」といえば、キリスト教国・アメリカでは絶対的権威のシンボルのような所です。その神聖な場所で、今まさに「永遠の愛」を誓い合ったはずの花嫁を奪い去る。これは神の冒涜そのもので、とても許される行為ではなかったはずです。さあ当時のアメリカはさぞショッキングで、大センセーショナルを巻き起こしたことでしょう。
 非キリスト教国である我が国で、その衝撃の深さが本当に理解できた人がどれだけいたのだろうか?少なくとも私は、ただぼんやりこの映画を観ただけでした。
 なおこの映画でS&Gは、『サウンド・オブ・サイレンス』の他にも『ミセスロビンソン』『スカボロ・フェア』という名曲もカバーしています。

 私が本式にS&Gを聴くことになるのは、それから2年後の昭和45年以後のことでした。きっかけは何だったのか、今ではよく覚えていません。上記の歌以外にも『早く家に帰りたい』『ボクサー』『いとしのセシリア』『コンドルは飛んで行く』『アメリカ』などは繰り返し聴きました。20代のあの頃の私にとって、とにかくS&Gの歌は「もう聴きあきた」ということがなかったのです。
 その中でも私が特に好きだったのは、比較的マイナーな『四月になれば彼女は』でした。S&Gの楽譜集でこの曲を見ながら、下手くそなギターでコードを弾いて、これまた下手な英語で歌ったりしていました。また『アイ・アム・ア・ロック』という歌からは、生きる方向性が見出せないで苦しんでいた当時、「お前はお前のまま、今のまま強く生きるんだよ」という励ましをもらいました。

 我が懐かしの青春のデュオ・S&Gも、爆発的な世界的大ヒットとなった『明日に架ける橋』を最後にデュオを解消してしまいました。ポール・サイモンとアート・ガーファンクル。共にユダヤ系アメリカ人で、小学校時代からの親友だったものの、お互いの音楽観の違いからそれぞれソロ活動をすることになったのです。
 私はデュオ解散後もしばらく、二人のソロアルバムを集めてはそれも熱心に聴いていました。しかし30代になるとさすがにS&G熱も冷めて、徐々に遠ざかっていきました。
 これを機会にまたS&Gメロディ、じっくり聴いてみたいと思っております。

 (注記) 本記事は、「二木紘三のうた物語」の『明日に架ける橋』コメント(昨年2月14日)と一部重複しています。ご了承ください。

 (大場光太郎・記)

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