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悪運強い !?森元総理

 28日自由民主党の新総裁に谷垣禎一元財務相が決まりました。投開票直後の両院議員総会で谷垣氏は、「思い切った党改革も必要だ。もう一度国民の信頼を取り戻し、政権に復帰できるよう全身全霊を傾ける」と決意を表明しました。
 この決定に敵方の亀井静香金融相も、「今の自民党の中で最高のタマでしょう」とエールを送りました。私も森ー小泉ー安倍ー福田ー麻生と続いた過去の総裁よりはずっとマシな人選だと思います。(政権与党であるうちになぜもっと早く、そう出来なかったのでしょう?)

 しかし国民の多くがそうでしょうが、私は野党に転落した自民党の総裁に誰が就こうとさほど関心はありません。問題は谷垣氏が選出されるまでのプロセスです。その舞台裏を少しのぞいてみるとガックリ、『やっぱり自民党はダメだ ! 』と思わせられるのです。
 その一端がうかがえるシーンがあります。会場だった自民党本部8階ホールから1階玄関に現れた森喜朗元総理は、待ち受けたカメラに向かってにこやかに笑いかけ、右手でVサインまでしたというのです。
 森元総理は、総選挙時は終始ピリピリカリカリ。時には鬼の形相で記者を追っ払ったり、投票日当日の夜は石川2区の選挙事務所の前面にロープを張りめぐらせ、そこから中へは地元記者以外立ち入り禁止の報道管制まで敷いたくせして。
 なぜこの時上機嫌だったかと言えば、総裁選で谷垣氏300票と、河野太郎の144票をダブルスコアで圧勝したからです。『してやったり。オレの影響力もまだまだ捨てたもんじゃないわい』とばかりにご満悦だったわけです。

 台風の目候補の河野太郎は、総裁選の遊説先などで「そろそろ出所進退をお考えになるべきだ」「腐ったリンゴを樽(たる)の中に戻せば、全部が腐ってしまう」と、名指しで森元総理を痛烈に批判していました。それに森氏は怒り心頭、「河野だけは許せん」となったのです。
 しかし世論は党再生のためにズバズバ直言した河野太郎に拍手喝さい、マスコミの評判も上々でした。ムリもありません、河野が訴えたことは多くの国民が感じていることだったからです。

 ただ旧態依然たる自民党内の力学はそうではなかったのです。当初は森元総理とたもとを分かったはずの中川(女)-中川秀直元幹事長に対する記者用語。ちなみに中川昭一元財務相は、中川(酒)-や、もう少し気骨があると思われた菅義偉は河野支持に回っていましたが、終盤は森に遠慮して手を引く始末。それのみか、普段はテレビの討論番組に出まくって火のような正論を吐いている山本一太、世耕弘成、大村秀章らの若手議員もびびってしまったというのです。まさに恐るべき森元総理の影響力という感じです。暴力団顔負けの締付力、恫喝力を改めて見せつけられた感じです。

 今回の総選挙では、「美女のサメ退治」をキャッチフレーズに小沢一郎から送り込まれた田中絵美子は、大接戦及ばず選挙区で森の当選を許し比例区で復活当選しました。その田中は新人議員として注目度も高く、若い頃の乳房モロ出しのAV出演などが発覚し、話題、問題になっています。
 しかしそんな事は、森元総理の諸々の隠れた悪事に比べたらかわいいものなのではないでしょうか?それに良くも悪しくもAV女優は、とうの昔に国民に広く認知されていて、必ずしも「悪」とは言えないわけだし(強いて言えば「必要悪」?)。イタリアではかつて、チチョリーナという元ポルノ女優が国会議員を務めました(但し出身国はハンガリー)。選挙期間中その事実を公表しなかったという問題は多少あるにせよ、AV出演経験者が国会議員になっていけないということはないと思います。(少し余談でした。)

 森元総理の悪事の中で、特に問題視したいのはやはり例の一件です。これまでの『薬物汚染シリーズ』で何度も取り上げてきましたとおり、押尾学事件に関して森元総理サイドから捜査に圧力があった疑いが極めて濃厚なのです。六本木ヒルズレジデンス一室での、田中香織さん変死事件に森の長男祐喜が直接現場に居合わせたとされる、そのもみ消し疑惑です。
 今のところ確かな証拠があるのかどうか、私ごとき者には分かりません。一部の方からは「証拠もないのに変な情報流すなよ ! 」とお叱りを受けそうですが、ネットなどから日々洩れ伝わってくる情報はとにかくリアルで臨場感のあるものです。「火のない所に煙は立たぬ」で、特定の誰かが森氏を陥れるために作為的に流しているものではないだろうと思われるのです。

 それにしても。史上最低の支持率に喘いでいた元総理が、総理辞任後かくも長きに亘って隠然たる影響力を行使し続けられるとは。「今回は危ない」と言われながら、辛うじて選挙区当選してしまうとは。総裁選では森の思惑どおり、谷垣が河野に圧勝してしまうとは。押尾事件では長男の名前や森元総理自身の圧力など一切表ざたにならないとは…。
 森喜朗はつくづく「悪運が強い」御仁です。しかしこんな人物が無傷のまま影響力を行使し続けられるような政治システムは、(上の悪運の事例は「根っこが皆同じ」なわけで)とにかくいびつで異常です。その意味で、河野太郎の「引退勧告」は至極まっとうな主張だったのです。森元総理の引退はひとり自民党再生に必要であるばかりか、政界全体、ひいては日本再生のためにも是非必要だと考えるきょうこの頃です。

 (大場光太郎・記)

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