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薬物汚染の拡がりを憂う(23)

 この国は特権階級優遇社会 !?

 私としては(21)(22)記事を作成しながら、『このまま迷宮化しそうだった押尾事件、何とかまた動き出したぞ』と密かに喜んでいました。押尾学の再逮捕、現場に駆けつけたエイベックス元社員のマネージャーたちの逮捕、そしてその先のあっと驚くような新展開を思い描き、大いに期待もしていたのです。
 しかしその後何日経っても事態は一向に進展していません。先週数回事情聴取され、そのまま逮捕かとみられていた元マネージャーたちの逮捕もなく、押尾自身の再逮捕の動きもなく。今月23日の、押尾の麻薬取締法違反という軽微な罪を裁くだけの初公判を待つばかり。大いに落胆させられます。

 警視庁捜査一課の、最近のさもやる気まんまんの捜査は一体何だったのでしょう。やはり田中香織さんの遺族から民事訴訟を起こされそうで、そうなるとそれまでの怠慢捜査が浮き彫りになっては困る、そのためそれを思い止まらせるための単なるポーズ、偽装捜査だったのでしょうか。
 もしそうだとしたら、事件の真相解明を望む遺族や国民をなめ切った姿勢というべきです。事件発生当初から追い続けてきた私としては、何ともやり切れない虚しい思いがします。

 そこで素朴な疑問が沸いてきます。それは今の日本は、本当に「民主主義国家」といえるのだろうか?ということです。もちろん「民主主義とは何か?」という定義は大変難しい側面があります。しかし簡単に言えば、読んで字のごとく「国民主権主義」ということだろうと思います。それでなくても「主権在民」は現憲法が保障する基本的概念なのですから。
 この基本的なルールが今守られているのだろうか。政治、経済など各分野で詳細に検討するとなると、大論文になってしまいそうです。ですから今回は押尾事件だけに絞ってみてみたいと思います。

 押尾学が保釈されて間もなくのネットアンケートでは、「これで事件が解決したとは思わない」という人の数が、70%以上にも達していました。以前述べましたような諸事情により、新聞、テレビなどマスコミ各社のこの事件の報道には、かなりの情報操作、隠蔽があります。だから「押尾隠し」「総選挙隠し」のため連日酒井事件の方を過熱報道したマスコミは、この問題で世論調査などするはずがありません。あくまでもネットでの結果ながら、いずれにしても多くの国民がこの事件に疑問を持っているのは間違いないと思います。
 田中さんの遺族のみならず、「もっときちんと捜査して、事件の全容を解明してもらいたい」というのが「民意」なのではないでしょうか。
 主権在民というのに、これまでも民意は幾度となく無視され踏みにじられてきました。押尾事件でも同じように民意を無視して、単なるポーズだけの捜査で終わらせるというのでしょうか。

 当初から所轄の赤坂警察署などが捜査に二の足を踏んできたのは、これまで本シリーズで述べてきましたように、とてつもない「大きな闇」が暴かれることになるからです。その大きな闇を抱えているのは、一般大衆つまり国民でしょうか。
 さあ、そこが問題です。六本木ヒルズに“やり部屋”を幾部屋も開放し、売春まで斡旋し、自らが薬物を使用していた疑惑のある、ピーチ・ジョンの超資産家の野口美佳社長。そのやり部屋に出入り自由で、事件発生当時問題の一室にいた疑惑のある、森元総理の長男祐喜や北島康介など。それをもみ消すために捜査当局に圧力をかけた疑惑のある、森元総理…。

 押尾学という二流役者を身代わりに立てすべての罪を彼におっかぶせて、上に挙げた連中を守ろうというのが、今回の事件の基本的構図なのではないでしょうか。彼らは「一国民」でしょうか。確かにある側面ではそうだともいえます。しかし国民の多くは決してそうは見ないことでしょう。
 超資産家、オリンピックの金メダル級のアスリート、県会議員、国会議員、元総理。彼らは明らかに「特別な人たち」です。それが証拠に、一般ピープルが立ち入ることが難しい六本木ヒルズに、彼らは出入り自由なのですから。

 社会的に特別な立場の人たちは、例えどんな罪を犯しても守ってやらなければならないということなのでしょうか。いつからそんな法律が出来たのでしょう。
 すべての人間は「法の下に平等」のはずです。もしそうではなく、「いやぁ、あの人間をしょっぴくとなると社会的影響が大きくなるからねぇ…」では、それを基本理念の一つとする「法治国家」が根底から揺らぐことになります。
 それのみか、そんなことをすればするほど、国が根っこの所からどんどん腐っておかしくなっていってしまいます。

 むしろ社会的立場が上であればあるほど、己の身は何倍も厳しく律するべきなのです。もし仮にそういう立場の人間が法を犯した場合は、当局は取分け厳正に取り調べ裁くべきです。そうでなければ、法治国家を保っていくことは出来ません。「上乱れれば下乱れる」のが道理です。

 問題のやり部屋に、県会議員や国民栄誉賞を受賞しようかという人間が昼日中から入り浸っていて良いはずがないのです。そこで当然に薬を使用していたわけですから、それだけで立派な犯罪です。しかもこの度は、事件発生当時問題の部屋にいた疑惑がかけられているのです。『なのに何のお咎めもなしとは、アンタら何様だ。金正日の息子たちか』。
 二世議員。二世タレント…。硬直化し活力が失われていく一方の、格差社会、階級社会。この国はもはや民主主義など名ばかりの、特権階級が好き勝手にのさばる国になってしまったのでしょうか。
 そんな国が、北の将軍様の国を批判できるのでしょうか。

 警視庁捜査一課によるこの事件の真相解明を、改めて強く要望したいと思います。

 (大場光太郎・記)

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