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薬物汚染の拡がりを憂う(27)

 「のりピー介護の道」にエールを送る

 のりピーこと酒井法子は26日の初公判の場で、「今後は介護を勉強し仕事にしていきたい」と言明しました。その時は『えっ?ホントかよ』と率直に思いました。初公判を注目していた多くの視聴者もそう思ったことでしょう。
 そんな素人の世間の風評はともかく。介護の現場を誰よりも知る専門家からも「介護を安直に考えてもらっては困る」「本当にのりピーに介護が出来るのか?」というような批判の声も多く挙がっているようです。
 今回は薬物問題はひとまず置いて、「のりピー介護の道」を少し考えてみたいと思います。

 覚せい剤、詐欺、窃盗などの刑事被告人が、裁判官に「今後どうするんですか?」と尋ねられた場合、「介護や福祉の仕事がしたいです」と答えるのは常套句のようです。たいがい弁護士がそう言うように勧めるのだとか。ですから裁判官はすっかり慣れっこになっていて、それを情状の判断材料にしないのが普通だと言われています。
 今回の酒井事件では、ことさら介護を強調しなくても「執行猶予3年」判決は確実とみられています。だから後は、「介護の道に進みたい」という酒井自身の本気度が試されるだけなのです。

 しかし酒井法子は意外にも本気のようです。11月9日執行猶予判決が出るのを待って、介護福祉士資格取得のための手続きを開始する方向のようなのです。群馬県高崎市にある「創造学園大学」の「ソーシャルワーク学部」に、願書を提出する手はずを整えつつあるというのです。同学部は、社会福祉や介護のスペシャリスト育成を目的とした学部で、現在約100人の学生が在籍しており、介護を専攻するコースもあるということです。

 酒井は同大学の通信教育プログラムを利用しての履修となるようです。同プログラムはスタートしたばかりで、利用している学生は十数名とまだ少ないのが実情のようです。同プログラムでは、卒業単位の大半は在宅受講が可能となります。英語、文学などの一般教養科目講義を、パソコンを通しての「eラーンニング」で受講出来るシステムです。卒業単位の残りは介護などの実習を伴う専門科目が中心で、この単位取得のため合計2週間程度東京校に通えば取得可能とのこと。
 これならマスコミに執拗に追いかけ回される心配も少なく、酒井としては願ってもない学習環境と言えそうです。

 同コースを卒業出来れば、4年制大学卒業資格と共に、介護関係の資格として准介護福祉士資格、介護福祉士国家試験受験資格が与えられるとのこと。
 同校を見つけてきたのは情状証人にもなったサンミュージックの相澤正久副社長で、既に同大学学長とも直接話をつけているようです。酒井がもともと人と接することが好きなことなどを考慮して、勧めたのだそうです。14歳から見守り続けてきた相澤氏の、「本当にまっとうに更正してくれよ」という親心がにじむような話です。
 大学側も酒井側の思惑と一致しているとみられます。というのも、同大学はここ数年入学者の減少で経営的に厳しい状況にあり、これが「のりピー入学」となれば宣伝効果は計り知れず、受験、入学希望者の大幅アップが期待出来るからです。

 酒井法子は、初公判を終えた26日夕方、8月3日未明の逃走劇以来久しぶりで都内南青山の自宅マンションに戻りました。同マンションは酒井名義になっており、近日中に継母の酒井智子と10歳の長男と新生活をスタートさせる予定のようです。
 思えば同マンションは、覚せい剤使用の舞台でもありました。しかし長男の学校生活を最優先に考え戻ってきたようです。ともかくここが新生のりピーの生活と学業の拠点となるわけです。

 ところで。亡母を6年余自宅介護した私の乏しい体験からしても、介護は本当に大変です。はっきり言って介護は3K(キツイ、キタナイ、キケン)の仕事の一つです。
 “下の世話”も喜んでしなければなりません。私の場合は「要介護5」で完全寝たきりの状態でしたから、かえって手がかからず楽な方でした。これが「要介護1~3」のまだ体が動くし歩けもする患者の扱いでは、手を焼くケースがけっこうあるようです。それに寝たきり老人は意外と重いのです。体位交換の場合など、けっこう体力も要求されます。さらに半ば痴呆状態にある患者が、介護者の目の前で自傷行為に及んだり、身近なモノを掴んで介護者に襲いかかる危険性が皆無とは言えません。

 超高齢化社会を迎えつつある我が国にあっては、さらに多くの介護従事者が必要とされています。しかし上記のような理由からなかなか人が集まらず、慢性的な人手不足状態です。その上3K仕事の割には賃金も安いのです。
 このような介護現場に日常的に生で接している関係者が、「のりピー介護の道」に批判的なのは当然なのです。とにかく介護の現場は、机上の空論が通用しない問題がどっさりあることを覚悟しなければなりません。要は実際の生きた介護体験を重ねて、一つ一つノウハウを蓄積していくしかないのです。

 ともあれ。そのようなことを十分覚悟した上での「のりピー介護の道」なら、大歓迎です。上に述べたように、介護従事者は慢性的に不足状態です。それが酒井法子が腹を決めて介護に従事し、立派に実績を積み上げていけば、世間の介護に対する見方が変わる可能性もあります。
 「私もオレも。介護の道に…」と殺到してくるかもしれません。それを見た厚労省も改めて介護対策を見直し、もっと働き甲斐のある賃金体系に組み直すことだって考えられます。

 もしそうなれば、今の社会が最も必要としている一分野での、絶大な「のりピー効果」と言うべきです。それはひとり介護分野にとどまらず、薬物から更正しようとしている者にも希望を与えます。のみならず、社会の広い範囲に好影響を及ぼす立派な“菩薩業”です。今回の薬物事件など完全にチャラになります。いや社会貢献の面から見れば、過去のそんな問題など取るに足らなく思われるほどの大貢献となることでしょう。
 酒井法子よ。虚名、虚像、幻影ばかりの芸能界へは、もう二度と戻るな。今後は介護一本で歩んで行ってくれ。悪女のりピーから聖女酒井法子への変身、変容だ。

 (大場光太郎・記)

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