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東京、五輪招致に失敗

 東京など4都市が立候補した、2016年の第31回夏季オリンピック開催地を決める国際オリンピック総会(IOC)の第121回総会が、2日(日本時間3日午前零時すぎ)デンマークのコペンハーゲンで行われました。
 ‘64年東京オリンピック以来“再び東京で”と、石原東京都知事を先頭に3年前から招致運動を繰り広げて、今回の決定の日を迎えました。結果は第1回目投票でシカゴがいきなりビリになる波乱の幕開け。当初から「2回目に残れれば勝機あり」と読んでいた関係者にとって、望みどおりに2回目の投票に望みをつないだその結果、あえなく東京は落選してしまいました。

 そのため残りの2都市、ブラジルのリオディジャネイロとスペインのマドリードで3回目の決選投票が行われ、その結果本命のリオディジャネイロがマドリードを34票差で引き離し、‘16年の開催地に決定しました。
 南米大陸では初のオリンピック開催だそうです。五輪のマークは五大陸をシンボライズしたもの。最先進国都市のシカゴ、東京が真っ先にふるい落とされたのも時流かなと感じます。そして最終的に開発途上国のリオに決まって良かったのではないかとも思います。
 それにブラジルは、既に2014年のサッカーワールドカップの開催地にも決定しています。同国にとっては二重の喜びといったところですが、‘16年五輪ではW杯の施設をそのまま流用できるメリットもあるようです。

 ただリオ市街は狭くてホテルも少なく、交通渋滞もひどいようです。それらを解消するための都市インフラの整備が求められます。さらにその上900ヶ所ものファベーラ(スラム)があり、麻薬密売組織が暗躍し、勢力争いによる銃撃戦が絶えず発生しているようです。殺人発生率は東京の37倍にも上るといわれ、治安の安定化も強く望まれるところです。

 問題は招致に失敗した「我が東京」です。天邪鬼な私は、招致話が持ち上がった3年前から『できればやってほしくないな』と思っていました。しかしそう考えているのは私だけではなかったようで、都民からも国民の間からも「何が何でも再び東京で !」という大きな盛り上がりに乏しかったことも事実です。
 ただ一人盛り上がっていたのは石原東京都知事で、後の関係者はつられて盛り上がっただけ。今回は「石原の石原による石原のための招致運動」との感を深くします。石原都知事には当然招致を成功させ、歴史的名知事として名を残したいという政治的野望があったことでしょう。また新東京銀行の破綻問題、築地の移転問題のこじれなどその失政が明らかになる中、汚名挽回策という一面もあったことでしょう。
 それに以前少し触れましたが、加えて今回の招致の根っこにあったのは経済効率です。東京招致は極論すれば、経済界やゼネコンを喜ばすだけのものだったとも言えるのです。

 東京が落選するのは、当初から分かり切っていたという見方すらあります。アジアで夏季五輪が開かれたのは‘64年の東京‘88年のソウルそして‘08年の北京の3回です。同じ地区で20年に1回招致できれば御の字と言われているのです。その常識からすれば昨年北京で開催したばかりなのに、8年後にまたアジアでの開催などあり得ないことだったと言うのです。
 
 しかし石原都知事以下は強硬に招致をもくろみました。先ほど述べましたように、それは石原の政治的野望が発端です。そのために使われた税金は150億円。その中には招致活動と称して海外に行った際の1泊10万円以上の石原の高級ホテル代も含まれます。招致失敗によって都民の血税がムダに消えてしまったのです。
 東京都民はこの際大いに怒るべきなのではないでしょうか。そして石原都知事を相手どって、150億円返還のための損害賠償の訴えを起こしてもいいのではないでしょうか?

 それに解せないのは、最初から勝つ見込みのない招致なのに、鳩山首相がわざわざIOC総会に乗り込んで行ったことです。民主党は石原都知事に何か恩義でもあったのでしょうか。話は逆で、石原は政権交代前の民主党や鳩山氏をボロクソにけなしていたのです。
 そもそも鳩山首相は、9月16日の首相指名の際の衆院本会議の直前、あの森元総理から「IOCへの参加、何とか頼むよ」と耳打ちされ憮然としていたそうです。確か民主党としても招致には消極的だったはず。党の姿勢を示す意味でも、その時きっぱりと断ってしまえば良かったのです。

 なのに、先の好評だった国連演説の二番煎じを狙ったのか。国民に受け狙いのポピュリズム(大衆迎合主義)に走ったのか。小沢や菅や岡田だったら、まず出かけることはなかったでしょう。
 まだ基盤脆弱な新政権、それも発足して間もないのです。確かに「YUAI(友愛)」もいいけれど。それは世界向けのアピールにとどめ、国内的には不用意な友愛など禁物です。本来なら招致失敗で辞任必至だった石原都知事に、「時の首相が行ってダメだったんだから…」と、任期いっぱいまで居座る絶好の口実を与えてしまったではありませんか。またこれで、新東京銀行破綻問題での石原の責任追及は難しくなり、民主党が主張する築地市場移転中止もこじれるのではないでしょうか。
 今回のIOC総会出席が、新政権にとっての「躓(つまず)きの石」にならなければよいのですが。

 (大場光太郎・記) 

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