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「流行語大賞」に思うこと

 こういう話題を目にし耳にすると、『あヽもう師走か。今年も後わずかで終わりなんだな』と実感させられます。『09ユーキャン話題・流行語大賞』の表彰式が1日都内で行われたというのです。最終的にトップテン入りした中から、今年の流行語大賞に選ばれたのは「政権交代」。
 8月30日の総選挙で、民主党だけでも単独過半数を遥かに超える308議席という大勝利を収め、自公政権から民主党中心の鳩山連立政権へ。政権交代が現実のものとなりました。国民の圧倒的な支持を受けて誕生した新政権だけに、この「政権交代」が流行語大賞になるのは十分予測できました。

 そういえば選挙期間中は、我が街の到る所でも、「政権交代」という4文字を大書したポスターが掲げてあるのが目につきました。それにしても4年前は「郵政民営化、イエスかノーか」そして今回は「政権交代」。“ワンフレーズポリティックス”と揶揄(やゆ)気味に論評されたように、近年はこのような短くて分かりやすい政治用語が「国民受け」する傾向にあるようです。

 そもそも「ワンフレーズポリティックス」を最初に言い出したのは、誰だかご存知でしょうか?他ならぬあのアドルフ・ヒットラーなのです。確かヒットラーの自著『我が闘争』の中でだったかと思いますが、「大衆は難しい理論を訴えても分かりはしない。そこで、耳になじむ簡単な言葉を繰り返し呪文のように訴え続けることが必要なのだ」と説いています。
 それを文字通り実践したのが、ナチスの宣伝相だったヨーゼフ・ゲッペルスです。ゲッペルス演出のヒットラー演説に当時のドイツ民衆がどれだけ熱狂したか、そしてその後どうなっていったかは歴史の示すとおりです。

 小泉元総理の懐刀といわれた飯島勲総理秘書官あたりが、小泉政権を長期化するため『我が闘争』を参考にした形跡があります。その直接的成果が「郵政民営化、イエスかノーか」であり、「政権交代」もその間接的影響下にあったとすれば…。
 私たちは時々の権力者から「愚民」「愚衆」と侮られないためにも、ワンフレーズなコトバの繰り返しは今後とも「要警戒」と考えた方がよさそうです。

 今年の流行語大賞を受賞しましたが、政権交代がなって3ヶ月余経過した今、肝心の鳩山内閣は四苦八苦です。まず鳩山首相自身の偽装献金問題では、次々に新たな疑惑が明るみに出され弁明に大わらわです。野党に転落した自民党はこの時とばかりに、実母から5年間で9億円にも上る資金提供がなされた件を突いて、「まるで偽装こども手当てだ」と攻め立てています。
 それに対して、今や鳩山内閣中最大の名物大臣・亀井静香金融担当相は、「首相は政治献金の問題で辞めることは絶対ない。もしあるとすれば、景気対策を間違えた時だ」と妙な確信をもって断言しました。(ちなみに、早くも一部観測筋からは「鳩山の次は亀井だ」というような話も漏れ伝わってきています。)

 やはり何といっても、現政権にとって焦眉の急なのが「景気対策」です。他にも難問山積ですが、これ一つ取ってみても、ここに来て降って沸いたような「ドバイショック」がまたも全世界を駆け巡り、我が国も80円台前半という超円高、そして株価は1万円台を割り込んでしまって。その上またぞろデフレスパイラルに陥りそうだというし…。
 国民消費者の多くが、「近々二番底が来るんじゃないの?」と不安に怯えて消費を手控えています。新政権発足間もないので致し方ありませんが、(他の分野でもそうですが)とにかく「対応が遅い」気がします。特に景気対策の分野では、スピーディに有効な手を打っていかないと大変な事態も招きかねません。景気の不透明感によって国民消費が落ち込む、景気がますます悪化するという悪循環では困ります。

 時に「内閣不一致」と非難されるほど、各閣僚が自由に発言しています。それはいいとして、それをまとめ意見集約する「司令塔」となる人物が不在のようです。それが内閣としての意思決定が定まらず、もたついた印象を与える大きな要因のように思います。結局は鳩山首相のリーダーシップに帰着することながら…。

 その他流行語のトップテンには「こども店長」「事業仕分け」「新型インフルエンザ」「草食男子」「脱官僚」「派遣切り」「ファストファッション」「ぼやき」「歴女」が選ばれました。
 「こども店長」は、当ブログ記事『天地人シリーズ』でも度々取り上げましたが、直江兼続の幼少時代の与六を演じた加藤清史郎君。「こんな所来とうなかった !」の名ぜりふは全国のお茶の間の喝采と涙を誘い文句なしです。またそれに関連して「歴女」。しかしだからといって、「レキジョ(歴史大好きОL)」におもねって、大河ドラマにイケメン俳優ばかりをずらっと並べてはいけません。ドラマが壊れてしまいます。

 「草食男子」。若い頃から気弱な草食男子系だった私としては、「肉食女子」の恐るべきパワーと逞しさ、骨身にしみて分かっておりますです、ハイ。「脱官僚」。これこそがまさに政権交代の意義の一つでした。「官僚支配」では、世の中どうにも立ち行かなくなっていることはもう自明の理です。しかし政治家vs官僚のバトル、せめぎあいは当分続いていくのでしょう。「ぼやき」。野村克也ファンの私は、元監督の試合後の“名ぼやき”たっぷり聞かせてもらいました。残念なのは私が予想した、野村楽天vs落合中日の日本シリーズがとうとう見られなかったことです。原巨人と梨田日ハムという逆目になってしまって。結果読売巨人軍の7年ぶりの日本一だそうで、一応「おめでとうございます」。しかし漏れ聞くところでは、読売総帥の渡辺恒雄が何かの会で「巨人は“V10”する」とぶち上げたとか。これには「ぼやき」を通り越して「怒り」を覚えます。

 また結果としてトップテン入りはしませんでしたが。年初から『薬物汚染シリーズ』など事件モノを扱ってきた私としては、その関連のコトバも入れてほしかったなと思います。
 例えば「MADA」「事件性なし」「のりピー失踪」「結婚詐欺」「婚活サイト」「睡眠導入剤」「練炭」「市橋ギャル」等々。しかしそれでなくても暗い世相、これ以上暗くなるようなコトバを取り上げるのはマズイ、という高度な判断が働いた結果外されたものなのでしょうか?

 (大場光太郎・記)

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