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薬物汚染の拡がりを憂う(38)

 麻薬取締法違反(譲渡)容疑で7日再逮捕された押尾学容疑者(31)、同時に逮捕された遠藤亮平(28)、泉田勇介(31)両容疑者らの拘置期限は、確か今月の18日までだったかと思います。一応の期限は過ぎてしまったものとみられますが、釈放されたという話を聞かないところを見ると、拘置を延長して取調べ続行中ということなのでしょうか?

 逮捕直後は、3人とも肝心の容疑事実については否認しているとのことでした。その後依然として否認し続けているのか、それとも少しずつ容疑事実を認め始めているのか?捜査に進展はあるのかないのか?ここのところ彼らに関する新しい情報がさっぱり入ってきません。これは警視庁、東京地検、東京地裁など関係機関による、厳しい「情報戒厳令」の一つなのでしょうか。小沢一郎現民主党幹事長関連政治団体の西松建設献金疑惑に対しては、1年近くにもわたってネチネチと執拗に、時にはとっくに時効を過ぎた古い事実を蒸し返してリークしているのとはえらい違いです。

 それに再逮捕以来、テレビなど各マスコミも押尾関連を取り上げません。これには理由があるようです。ズバリ「押尾では視聴率が取れない」からだと言うのです。再逮捕時各局とも大騒ぎで取材に駆けつけ報道したものの、軒並み視聴率を落としたらしいのです。そこで各局とも押尾事件からは手を引きはじめているというのです。
 国民視聴者からすれば、「押尾学というダーティイメージの三流役者の件など、もうけっこう」という気分があるのかもしれません。

 しかし「ちょっと待ってくださいよ」ではないでしょうか?同事件発生時から、テレビ各局などは完全に腰が引けた報道に終始してきました。以前お伝えしましたとおり、「この事件には複雑な問題があるから、報道は手控えるように」と上層部から通達されたテレビ局もあったよし。他局とて似たり寄ったりでしょう。そしてほどなく起きた、「押尾事件隠し」としての“のりピー失踪”を、これ幸いとばかりに一斉にそっちの方にシフトしていったのです。
 とにかく押尾事件は、単に薬物事件というよりも、政界、官界、財界、芸能界、スポーツ界、闇社会など、今の社会の腐敗を暴きこの国を再生させるための「一丁目一番地」のような重大事件です。この事件の背後には、とれほど巨大な闇があるか各マスコミは当初から分かっていたはずです。
 
 マスコミ界は、最初から「事件性なし」として早期決着を図ろうとした麻布警察署と同じ穴のムジナというべきです。各方面とのまずい癒着があるから、いざという時「正義の言論」「真実の報道」ができなくなってしまうのです。
 だから新聞、テレビでは、今もって事件が発生した部屋の所有者(借り主)のピーチ・ジョン社長野口美佳の名前も、そこに入り浸っていた森祐喜や北島康介なども一切名前が出てきません。ましてや押尾事件の「もみ消し圧力」に動いたと思われる森元総理などや、押尾学の背後にいるフィクサーたちの名前など知られるはずがありません。彼らの「やり得」「言い得」を許しているマスコミ界は、政権交代以前の旧自民党的悪しき体質からまったく脱け出せていないと言わざるを得ません。

 新聞、テレビなどが真実を報道しない以上、事件発生時六本木ヒルズの密室にいたのは押尾学と変死した田中香織さんだけ、事件は2人の間だけで起き、その後押尾の連絡を受けて遠藤や泉田らが駆けつけたくらいの認識しかないのではないでしょうか?だから「これ以上押尾関連を報道されてもつまらない、もういい加減イヤになる」ということになるのです。
 これが最初から押尾事件の真実をきっちり伝えていれば、視聴者もいかにこの事件の闇が深いものであるかが分かり、物情騒然、話題沸騰、捜査当局への真相解明圧力は信じられないほど大きなうねりとなっていたことでしょう。

 それにいざ再逮捕はしたものの、警視庁捜査1課は「本当に大丈夫なの?」と心配になってきます。当初は「逃げ得は許さない」と息巻いていたものの、遅々として進まない捜査状況に不安を覚えます。保護責任者遺棄、同遺棄致死罪での立件など遠のいた感じです。年の瀬もいよいよ押し詰まった頃、「嫌疑不十分で3人とも釈放」「今年のことは今年のうちに。はい、これで幕引き」などとならないことを切に祈るばかりです。

 (大場光太郎・記)

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