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新田義貞の銅像盗まる

 いやあ、世の中にはとんでもない罰当たりな輩(やから)がいるものです。
 南北朝時代の武将として名高い、新田義貞(にった・よしさだ)の銅像が盗まれたというのです。盗難があったのは19日、場所は群馬県太田市の生品(いくしな)神社境内。そこにあった新田義貞の銅像がなくなっているのを、近くの住人が見つけたのだそうです。
 通報を受け県警太田署員が駆けつけると、銅像は台座から丸ごともぎ取られており、同署は窃盗事件として調べているとのことです。銅像は高さ約80cm。約1.8mの高さの台座に、足元がボルトで固定されていたそうです。

 今回の新田義貞公銅像もそうですが、近年どこぞの由緒ある寺院などの国宝級の仏像が盗難に遭うなど、通常人の感覚では信じられないような事件が起きています。彼らの最終目的は、盗んだ超骨董品をどこかで知られずに売りさばく、つまり「カネほしさ」なのでしょう。(ちなみに銅像の推定価格:240万円)
 何も仏教にかこつけるわけではないけれど、「末法濁世極まれり」「世も末なり」と思わせられます。

    七里ガ浜の 磯伝い
    稲村ヶ崎 名将の
    剣(つるぎ)投ぜし古戦場
 これは昔の小学校唱歌『鎌倉』の一番の歌詞です。ここで歌われている「名将」こそが、新田義貞です。せっかくの機会ですから、新田義貞公の事跡を簡単にたどってみることにしましょう。

 新田義貞は元弘3年/正慶2年(1333年)5月、後醍醐天皇の「鎌倉幕府討伐」の呼びかけに応えて、郷里の上野国(こうずけのくに)新田荘(現群馬県太田市新田)から挙兵し、一路鎌倉目指して“鎌倉街道”を馳せ上ります。その時はわずかに150騎ほどにすぎなかったといいます。
 義貞は途中、幕府軍と「小手指原の戦い」(現埼玉県所沢市)「分倍河原の戦い」(現神奈川県川崎市)で勝利し、勢いに乗ります。
 そして次の「関戸の戦い」(現東京都府中市)では大勝利を収め、一気に藤沢まで攻め込みます。その頃では新田軍は何と数万の大軍になっていたといいますから、時の勢いとは凄いものです。

 そこから鎌倉まではもう指呼(しこ)の間です。当初義貞は鎌倉に突入するルートとして、順当に陸路を想定しました。つまり化粧(けわい)坂切通し方面、極楽寺坂切通し方面、巨福呂(こぶくろ)坂切通し方面の3ルートです。
 しかしその頃の鎌倉は、三方を山に囲まれ一方は海に囲まれた、さながら天然の要塞都市の様相です。そのため北条幕府は地の利を生かして、籠城戦に持ち込もうとしたわけです。
 確かに新田軍がいざ陸路から攻め込もうとしても、いずれの切通しも狭隘(きょうあい)な山道で行軍が容易ではありません。

 そこで新田義貞は陸路をあきらめ、奇襲作戦を思いつきます。それは稲村ヶ崎を海沿いに迂回して、鎌倉に攻め入る作戦です。しかし見れば、稲村ヶ崎の切り立った断崖には、潮がひたひたと押し寄せています。とても大軍を進められる状況ではありません。
 その時新田義貞は、七里ヶ浜で待機している軍勢を前に、一人粛々と浜辺の渚(なぎさ)すれすれの所まで進んでいきます。そして海に向かって、やおら先祖伝来の家宝の剣を取り出して両手に捧げ持ち、海神(わだつみの神)に祈りを捧げたかとみるや、剣を一気に海中に投げ込んだのです。

 その途端うそのように潮がスーッと引き、大軍がちょうど通れるほどの俄か道ができたではありませんか。あらたかな海神の霊験を目の当たりにした全軍は、欣喜雀躍なだれを打って鎌倉に攻め入ったのでした。
 幕府軍は潮が引いたおかげで、戦艦が沖の遠くに流されるは、予期せぬ新田軍の襲撃で総崩れになるはで、あっという間に壊滅してしまいます。遂には幕府の執権・北条高時(ほうじょう・たかとき)の一族を、その菩提寺である東勝寺で自害させ、義貞は挙兵からわずか14日で鎌倉幕府を滅亡に追い込んだのです。

 唱歌『鎌倉』と共に、新田義貞が海神に祈りを捧げ海に剣を投げ込んだ故事は、ご年配の方ならどなたもご存知の日本史上の名シーンの一つです。しかし冷静に考えれば、軍略の天才だった義貞は、地元の漁師などからの情報収集により、予め引き潮の時刻を正確に把握していたに違いありません。
 これから攻め込む北条幕府はかなり手ごわい相手です。何とか全軍の士気を鼓舞する必要があります。そこで編み出したのが、海に剣を投げ込むセレモニーだったと、今では考えられています。

 なお、今回盗まれた銅像は、その時の新田義貞が剣を両手に捧げ持っている姿だったようです。どうぞ一日も早く、無事銅像が戻ってきますように。

 (大場光太郎・記)

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