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当世大学生就活事情

 “早苗買い”は企業のエゴ、学生も日本経済もダメにする。直ちに改めるべきだ。

   温暖化 なのに就活 氷河期へ   (金魚姫)
 今年の“サラリーマン川柳”では深刻な「就活」に関する悲哀を詠んだ句も多く、引用したのはそれをテーマに優秀作にノミネートされた作品です。そんな“就活氷河期”の実情を表わすように、厚労省と文科省の発表によりますと、今春就職予定の大学生の就職内定率は、2月1日時点で80.0%と、前年同期よりも6.3ポイント低下しているようです。
 これは今年だけの傾向かというと、どうも来春の採用計画も低調らしいのです。朝日新聞の調べでは、主要100社のうち48社が「前年並み」、21社が「減らす」と回答しているといいます。

 ところで昔なら大学4年の春に就活を始めるのが一般的でした。それが最近では3年で企業を訪問するケースがほとんどだというのです。年々就活の時期が早まってきているわけです。
 こうした事態に財界の大物も声を上げ始めています。例えば伊藤忠商事の丹羽宇一郎会長は、3月8日の東京新聞夕刊のコラムに「企業側が狭い採用枠の中で優秀な学生を求める結果、“就活”時期はどんどん前倒しされている」「3年生から就職活動を始めてしまうと、専門科目の勉強ができるのは実質的にゼロになってしまう」と指摘しています。

 丹羽会長は早まる就活のせいで、日本の最大の資産であるマンパワーとしての「教育と技術」がおろそかになると懸念を示しながら、「“知”の力が落ちる日本の将来は暗い」と、大学生の知的レベルの低下に警鐘を鳴らしているのです。
 必ずしもこれだけが要因ではないとしても、国際的に見た日本の大学レベルは年々低評価されていく一方のようです。我が国トップの東京大学ですら、国際的なランキングでは19位、同評価がシンガポール国立大学です。アジアでは北京大学が14位に食い込んでいます。以下京都大学が29位、大阪大学が70位。100位以内は我が国ではこの3校のみです。ちなみに世界ベスト5は、ハーバード大学(米国)、ケンブリッジ大学(英国)、オックスフォード大学(英国)、マサチューセッツ工科大学(米国)、イェール大学(米国)の順となっています。(06年“THES調査結果”より)

 大学の就活に詳しいジャーナリストの石渡嶺司氏は、「20年前は“青田買い”でしたが、今は“早苗買い”です」としながら、「日本経団連は03年に学生の選考は4年生の4月1日以降にしようと倫理憲章を出した。でもこれは全くのザル法で、企業は3年生を対象に会社説明会を行っています。その時期も早まる一方で、3年生になるとすぐに企業側からのアプローチを受ける。不景気のため、企業が少しでも優秀な人材を確保しようと焦っているからです」と続けます。
 その結果、3年生が説明会を駆け回り、4年生の4月から6月にはもう内々定を受けるという現象が起きているというのです。

 特に大学側との協定を無視し出す企業が急増したのがバブル全盛の頃だといいます。1990年代の半ばには協定自体が廃止され、今日の無残な姿に到ってしまったのです。
 この問題については、国会でも何度となく取り上げられてきました。昨年2月には当時の塩谷文科相が就職協定を復活させたい意向を示し、文科省もそれなりの動きをしたものの実態は改善されなかったようです。
 大学の教員や職員も「これでは学生が学業に専念できない」として、08年に就活の是正を求める要望書を経団連に提出しましたが効果はありませんでした。さらには大卒の求人を撤回する企業が出てきたことも、大学生を不安にしているといいます。

 いずれにしても“早苗買い”の横行は、長い目で見れば日本経済にとってもマイナスでしかないはずです。人材コンサルタントの菅野宏三氏は「文系も理系も3年生は専門知識を身につけ、自分の研究分野を決める時期。就活に専念していたら、学生は一般教養を学んだだけで社会に放り出されてしまいます。また自分の方向性を熟考する前に就職先を決めるため、新卒者の3人に1人が就職後3年以内に離職してしまう。これは日本経済にとってデメリットです」と訴えています。

 すべては企業側の身勝手さが招いた問題です。こういうところにも「企業エゴ」が露骨に現われているのです。今頃になって「どうやらこういうエゴが自分たちの首を締めかねないぞ」と悟って、今回財界の大御所・丹羽伊藤忠会長の提言となったというわけです。
 いささか遅きに失した感は否めませんが、企業側から初めて改善の意思表示がなされました。これで事態が大幅に改善され、大学生たちは安心して4年間みっちり専門分野の勉強、学問の習得ができ、日本の各大学が世界ランキングのトップテンに幾つも名を連ねる環境が再び整えられることを願うばかりです。

 (注記)本記事は3月11日付「日刊ゲンダイ」記事などをもとにまとめました。

 (大場光太郎・記)

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