時の話題(8)
ここまでやるか !?生き残りをかけた風俗店の、えげつない“代理戦争”
今「日刊ゲンダイ」紙で、取材歴30年というベテランの風俗ライターによる『風俗界の闇』というコラムが連載されています。最近は特に風俗店はとんと縁がなく、“最新風俗事情”に疎い私などにはびっくり仰天の裏事情が紹介されており、『これも今の世相を映す鏡』と、週1回の同コラムを毎回興味深く読んでいます。
今回は同コラムの中でも、特に面白かった話を紹介したいと思います。
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風俗業界にはよく“仁義なき戦い”が起きることがあるそうです。
例えば、ある場所でA店が繁盛していたのに、近くにB店ができA店の売上げが激減したとします。こんな場合A店は、“みかじめ料”を支払っているケツモチのヤクザに相談するのだそうです。
相談を受けたヤクザは、「B店のヤツらを追い出してやる」と、早速嫌がらせを開始することになります。そういう相談を受けた時のための、ヤクザ側の対応は準備万端なのです。
まず地元警察に「B店は本番をやっている」とウソのタレコミをして、ガサ入れを促します。同時に客からの問い合わせが多い時間帯に、パソコンが自動的に“ワン切り電話”をかけるソフトを使って、B店の電話回線をパンクさせるのです。またネット上の掲示板に「B店は性病の巣だ」などとネガティヴ情報を大量に書き込んだりもします。
このような攻撃をされたB店は、同地に進出してから順調だった売上げが、A店以下にまて減少してしまいます。やられたB店も黙ってはいません。やはりケツモチのヤクザに報復を依頼しますが、その手法は相手であるA店よりも数段えげつないことになります。
A店の玄関にニワトリの死骸をくくりつけたり、縁起が悪いとされるわらじに血を付けて置いたりします。極めつけの例として、バキュームカーを店に突っ込ませ、汚物をまき散らしたこともあったといいます。
当然のことながら、これらの嫌がらせは無料ではありません。風俗店がヤクザに払う実行代は大変高く、相場は月に120万円前後だといいます。
引き受けたからには、ヤクザは相手の店が潰れるまで後には引きません。そのため頼んだ店は、嫌がらせ料の支払いがどんどんかさむことになります。代理戦争が終わった頃には、勝った店も青息吐息状態になってしまうのです。
そこを狙うのが別の大きなヤクザ組織です。大ヤクザはこの戦争を静観し、戦争が終わったのを見届けて、A、B両店のヤクザに「シマ(縄張り)を譲ってくれ」と格安の金額で持ちかけるのです。
しょせん大組織には逆らえず、小さなヤクザは承知するしかありません。こうして代理戦争を使いながら、大ヤクザは自分のシマを拡大していくわけです。
こうした現象は、「風俗界の漁夫の利」と呼ばれているそうです。
(参考)用語解説
「みかじめ料」 暴力団の“シノギ”(収入または収入を得るための手段のこと)の一種で、縄張り内にある風俗店や飲食店から毎月受け取る金品のこと。支払いを拒否すると、地元暴力団から威圧、嫌がらせをされることもあり、それを怖れて支払う店も多い。1992年に施行された暴対法により、こうした金品の授受は減少傾向にあるとされるが、潜在的問題であるため定かではない。
「ケツモチ」 ケツ持ちとは、問題処理のために動く組織や人間のこと。トラブル解決の際に出てくる暴力団組織やそれに相当する人物を意味する。
「代理戦争」 元々の意味は、米ソ冷戦時代核保有国同士は共倒れになる危険性があるため、直接の交戦が出来なかった。そのためそれぞれの陣営が支援する勢力へ兵器や資金の援助を行い、それによって局地戦が引き起こされた。例えば朝鮮戦争やベトナム戦争など。その構図を暴力団組織の抗争などに当てはめて用いられるようになったものである。
(大場光太郎・記)
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