本性を現わしはじめた菅政権
-政権発足後の動きからして、心ある人々には、菅政権の「官僚主権」「対米隷属」の本性がはっきり分かってきたのではないか?-
私は菅直人が新しい総理に就任した4日直後、早々と『当面民主党支持を止めます』記事を出し、来る参院選では民主党に投票しないことなどを述べました。それ以降は一貫して菅政権を「クーデター政権」と位置づけ、その立場から批判してきました。
これはネットに数多くおいでになる「日本の真の改革」をお望みの方々の中でも、かなり早い段階で「反・菅政権」を明らかにしたものと、密かに自負しております。
菅政権が正式にスタートしたのが8日、まだ1週間も経っていません。にも関わらず、早くも菅直人という御仁の本性、同政権の正体が垣間見えてきたように思います。やはりこの内閣は支持すべきではないことが、より一層はっきりしてきたのです。
「彼は昔の彼ならず」。今の菅直人は社民連時代の清新な市民運動家でもなければ、薬害エイズ問題で官僚に真っ向から立ち向かった厚生大臣時の「戦う政治家」でもありません。
過去と現在の菅直人を断絶させている最大の要因は、やはり「変節」であり「転向」であるということです。菅直人は今回総理になるに当たって、昨年の政権交代時の「国民主権主義」から「官僚主権主義」へ、「自主独立、日米対等」から「対米隷属」へという、まっとうな立場からこの国を危うくさせる方向に変節、転向したのです。
菅直人は政治家としてのスタート時から、『総理大臣になりたい』という願望が人一倍強かったようです。結果としてだからこそ、こうして総理大臣になれたわけです。
しかし危急存亡の「今この時」の日本にあって、一政治家の願望、野望などどうでもいいことです。あえて言えばそれは、政治家としての「エゴ」に他ならないのです。エゴとは「利己主義」ということです。時の宰相は日本一の「利他主義者」でなければ真に優れた政治的業績など期待できないことを考えると、菅直人のようなエゴイストはむしろこの局面の日本にあっては、迷惑この上ないトップリーダーとも言えるのです。
鳩山前総理、小沢前幹事長のダブル辞任の真相はどうだったのか?辞めるのを渋っていた鳩山に、小沢が自分の辞任と引き換えに鳩山を辞めさせた。あるいは巷間伝えられるとおり、鳩山が「私も辞めます。幹事長あなたもお辞めください」と迫ったものだったのか?真相は当事者でなければ分からないところがあります。
しかし鳩山辞任直後から、次期総理として菅直人の名前が浮上していたことから、共に民主党を結党した絆で結ばれている鳩山、菅の間で、何らかの密約があったのは明らかでしょう。その際「小沢を外そう」と持ちかけたのは菅だったと言われています。
いずれにしても菅は、内閣の要の官房長官に仙谷由人を、党の要の幹事長に枝野幸男を当て、従来の「小沢-鳩山-菅」トロイカ体制に代わって、今後は「菅-仙石-枝野」新トロイカ体制で行くと宣言しました。盟友の鳩山とは“出来レース”なのかどうかは別として、政権交代の最大の功労者である小沢一郎を切り捨てる道を選んだのです。
小沢一郎なかりせば、頭でっかちの「お子ちゃま民主党」では100年かかっても政権交代できなかったことは明らかです。しかし政権交代成り、その上総理にまでなった途端、「小沢はポイ捨てだ」と言うのです。
マキュアベリスト・菅直人は、時として権力維持のためには何でもする、小泉純一郎並みの非情な政治家である。このことを国民は、今からしっかり記憶しておくべきです。
菅総理の冷酷な一面は、国民新党党首・亀井静香と交わした4日の「郵政改革法案は(今国会で)速やかに成立を期す」との合意を、いとも簡単に反故(ほご)にしたことにも見られます。
支持率60%以上というV字回復に欣喜雀躍し、「これならば会期を延長せず参院選は当初どおりに行うべきだ」との“風頼み”の党内の多数意見に押されて、公党間で取り交わした合意をあっさり踏みにじる。菅直人は何とも「信義にもとる政治家」である。このことも忘れずに記憶しておくべきです。
郵政改革法案は参院選後の臨時国会で本当に審議されるのか?これにはまたぞろ米国の圧力がかかっていて、ひょっとしていつの間にか廃案になるのではないか?などは別に論ずべき問題です。
そもそも発足間もない菅政権にこれだけの高支持率をもたらしたのは、普天間問題で行き詰まった鳩山辞任と共に、小沢一郎が辞任したことが大きかったわけです。
では鳩山内閣の支持率下落の最大の要因となった、年初以来検察と大マスコミが大騒ぎした小沢氏の「政治とカネ」とは何だったのか?小沢氏側には罪に問われるべき何の問題もなかったことくらい、民主党員なら内心では誰でも分かっていることでしょう。自党の幹事長がそれら旧勢力から、激しい攻撃にさらされているのならなおのこと、党は一致結束してこの問題を究明し、真実を国民有権者に訴えてしかるべきでした。
それを全くせず、「小沢一郎 = 犯罪者」というイメージが国民有権者に刷り込まれていく過程を、菅直人は「しめしめ」とばかりに見過ごし、菅が重要ポストに就けた仙谷、前原、枝野らは、むしろ積極的に「政治とカネ」で小沢前幹事長を批判し続けたのです。
マスコミにさんざん世論誘導され、実際は目的達成とはいかなかったけれども「真の改革」を志向した鳩山・小沢体制では支持率を下落させ、まだ何一つまともなことをやっていない、多分九分九厘「エセ改革」しか期待できない、こんなイビツな菅政権には高い支持率を与える。
つくづく「腐った国」になってしまったものです、この国は。おそらくかつての占領時代以上の深刻な事態に立ち至らないと、目が覚めないのでしょうね、我々国民は。
(大場光太郎・記)
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