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たなばたさま

  梅雨なるに小笹を持ちし少年よ   (拙句)

 折角の七夕(たなばた)なのに、きょうはあいにくの小雨がちの一日となりました。あらためて『そうだ、きょうは七夕だったんだ』と思い起こさせられた小さな出来事がありました。午後街の中で、小学校低学年と思しき男の子が、小笹の一枝を持って歩いていたのです。小雨の中、一方の手に傘を持ちながら、もう一方の手に笹を前に突き出すように持ちながら。
 まだ若そうな母親が連れ添うように、すぐ後ろを歩いています。

 小雨に濡れて笹の葉はよけい緑鮮やかです。それを見ながら私は、『あヽ残念なことに今晩の七夕は雨だよね』と、母子とすれ違いざま思ったのです。
 しかしたとえ雨で天の川や彦星、織女星は見られなくても、その小笹に少年や両親などの願いを書いた短冊やとりどりの飾りつけをして、玄関先辺りに掲げることでしょう。

   笹の葉さらさら             五しきのたんざく
   軒端にゆれる              わたしがかいた
   お星さまきらきら             お星さまきらきら
   きんぎん砂子(すなご)        空からみてる
      (『たなばたさま』 作詞:権藤花代/林柳波 作曲:下総晥一)

 この少年と同じ年頃、と言っても昭和30年代とだいぶ昔、私は山形県東置賜郡宮内町(現南陽市宮内)町立母子寮にお世話になっていました。同母子寮では毎年七夕の頃には、寮内にある集会場の一角にやはり七夕飾りが設けられていました。
 集会場は20畳ほどもある板敷の広い部屋です。当時母子寮には、東寮、西寮合わせて都合20所帯ほどの大所帯が暮らしていました。それくらいですから、七夕飾りも大きな竹で、寮の職員の方々が丹精込めて飾りつけした豪勢なものでした。

 確か七夕の夜は、寮内のお母さんたち、子どもたちがこの集会場に集まって、「七夕の会」のようなものが催されていました。それぞれにお菓子などが配られ、各自前に出て歌や俄かアトラクションなどを披露し合って、その夜を楽しく過ごしたのです。
 小学校5年生の頃、学校から同学年児童に縦笛が配られました。私はそれに夢中になり、そのうちドレミの音階はもとより、シャープ、フラットの半音もマスターし、学校で教わった歌は譜面なしでスラスラ吹けるようになりました。家の中でも練習していて、笛の音はよく徹りますから、寮内に私の笛の腕前(?)が知れ渡り、その年の七夕会で私は、フォスターの『故郷の人々』を披露しました。

 同母子寮は昭和50年代、その社会的使命を終えて取り壊されました。帰郷の折り訪ねてみますと、かつて建物があった所は今では何もない広々とした更地になっています。あの頃同じ屋根の下で共に暮らした人たちは、今いずこ。改めて「故郷の人々」のことが偲ばれます。

 (追記)
 夜になると本降りの雨がしばらく続きました。しかし深夜外に出てみましたら、何と雨は上がって雲も切れているではありませんか。
 そして中空には、こと座のベガとわし座のアルタイル、つまり織り姫星と彦星のペアが。またこの2星を底辺とした、「夏の大三角」の頂点に位置する白鳥座のデネブもくっきりと見えていました。夜通し明るい街灯などの光に消されて、さすがにベガ(織り姫星)とアルタイル(彦星)を隔てているはずの天の川はほとんど見えません。
 また東の中ほどの空には、新月になろうとする手前の眉月が、うすい雲を透かして冴え冴えと輝いています。
 雨上がりの深夜であるからか、夏にしてはやや肌寒いくらいの風が吹き渡っていました。

 (大場光太郎・記)

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コメント

はじめまして。
aostaと申します。
「ドナウ川のさざ波」を探していて大場様の音楽室にたどり着き、こちらのブログまで足をのばさせて頂きました。
私の好きなオランダのアニメーション映画「岸辺のふたり」に使われていたこの曲、昔は実家のSPレコードで何回も聴いたものですが、最近はほとんど耳にすることがありません。
こうして聴きなおしてみると、何とも言えない郷愁を感じる曲ですね。

梅雨なるに小笹を持ちし少年よ

今日も雨です。
私の中で過ぎ去った年月への想いと、それに照応するかのような少年の初々しさに不思議な哀感を感じました。
私の子供たちも成人し、笹を飾ることもなくなりましたが、ふと思い出したように「たなばたさま」のメロディーが唇に登った7日でした。

投稿: aosta | 2010年7月11日 (日) 15時57分

aosta様
 こちらこそはじめまして。お心のこもったご文をお寄せいただき、大変ありがとうございます。
 えっ?『ドナウ川のさざ波』をお探しになって、当ブログへですか?でもいずれにしましても、私も『ドナウ川のさざ波』は大好きな曲で、実は「お気に入り」に同曲の違うバージョンを三つほど入れています。ただ、30代の頃カセットのクラシック名曲集で聴いた、心の奥底から揺さぶられるような管弦楽による感動的演奏でないのが残念です。
 私も既に61歳、それに世はますますの世知辛さです。しかし『たなばたさま』を聴いて涙ぐむような「童心」をいつまでも忘れたくないものです。
 本日は午後から外出致し、7時前くらいに帰ってきました。その後お決まりの『龍馬伝』を観たもので、お返事遅くなりました。大変ありがとうございました。

投稿: 時遊人 | 2010年7月11日 (日) 20時14分

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