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美しすぎる女スパイ

 - マタ・ハリ、川島芳子など、美貌の女スパイの系譜に連なるアンナ・チャップマン -

 米連邦捜査局(FBI)は6月28日、ロシア人スパイとしてニューヨークやバージニアで一斉逮捕した男女10人のうち、アンナ・チャップマン(28)が今、全米中で「美しすぎる女スパイ」として話題になっています。逮捕後全米メディアで連日取り上げられ、映画や小説さながらの暗躍ぶりに、米国民の熱い視線が注がれたのです。
 動画サイト「YouTube」にはチャップマンがNYで撮影したものとみられるインタビュー映像もアップされアクセスが集中、米紙『ワシントンポスト』も「魅惑的な女スパイが米国内のネットを席巻している」と伝えました。

  一躍世界的な「時の人」となった感のある、アンナ・チャップマン とはどんな女だったのでしょうか?
 アンナは2003年、ロシア諸民族友好大学で経済学の学位を取得した後、イギリスの航空会社や投資銀行のバークレイズを経て、ヘッジファンドのマーティング部長として勤務。なかなかのキャリアウーマンぶりがうかがえます。
 2001年にロンドンのダンスクラブでイギリス人のアレックス・チャップマン氏と出会い翌年学生結婚し、チャップマン姓を名乗り、イギリス国籍を取得しました。2006年に離婚するも姓は変えず、投資会社やベンチャー企業を立ち上げ活躍していたようです。

 その後活動の拠点を米国に移し、同国でのビジネスのかたわら諜報活動に携わっていたとされています。
 チャップマン被告は、米国で核弾頭開発計画などの情報を収集し、街角の喫茶店で窓際の席に座り、ノートパソコンを使って店の外のミニバンに潜んでいるロシア当局者とデータ通信しながら、ロシアの対外情報局(SVR、旧KGB)の指示を受けたり、報告したりしていたとされるのです。
 FBIは7年以上前から彼女の動向を把握、捜査の目を光らせていたといいます。ということは、今まではさんざん泳がせていたわけで、何でこの時期に?という疑問は残ります。

 ともかくメディアがそろって驚きを隠せないのが、チャップマン被告の「開けっぴろげ」な姿勢だそうです。インターネット上で不動産事業を手掛ける女性実業家としてNYで活動しながら、会員制交流サイト(SNS)の「フェースブック」や「リンクトイン」で自身の写真や映像を多数公開していたほか、前述のようにYouTubeにも映像を残していたのです。従前のスパイのイメージとは大きくかけ離れた、目立ちたがり屋な女であることがうかがわれます。

 国際ジャーナリストで名古屋大特任教授の春名幹男氏は、次のように述べています。
 「かつてのスパイは、ロシア外務省の外交官やタス通信記者、技術者の肩書きを持っていた。表の仕事からスパイじゃないか、と想像できたものです。ところが今度のチャップマンは、どこにでもいる普通の女性、ロシアのスパイ網が市民レベルまで広がっているということで驚きました。冷戦終結後、東西スパイ戦争は沈静化しているように見えたが、裾野が広がっていたことになります。ロシアがこういう活動をしているのであれば、当然中国もやっている。普通の市民を装って諜報活動をしている人物がいるのでしょう。スパイは新しい時代です」

 米司法省は8日、アンナ・チャップマンを含むロシアスパイ団事件で起訴した男女10被告について、「欧米のスパイとしてロシアで服役していた4人と交換することで米ロ両国政府が合意した」と発表しました。10被告は同日、NY連邦地裁で開かれた公判の罪状認否で全員が罪を認め、強制送還処分を言い渡されました。
 AP通信は、10被告の弁護士は10人は数日以内に空路でロシアに出国する見通しだと報じています。
 これについて前出の春名氏は、「(スパイ交換の)背景にあるのは、米ロ戦略核兵器削減交渉の批准でしょう。裁判になって、ヘタな事実が出てくると、外交交渉の障害になる。オバマ、メドベージェフ両大統領にとって、お荷物になるのでしょう」と述べています。

 ただチャップマン被告は、米国の暮らしにかなり未練があるらしく、「アメリカで居住できなくなっちゃうの?」と弁護士に泣きついたそうです。
 アンナ・チャップマンよ。あなたの大先輩のマタ・ハリも川島芳子も、捕らえられて銃殺刑だったんですよ。「命あっての物種」じゃないの。ここはおとなしく母なるロシアへ帰りなさい。しばらくおとなしくしていれば、そのうちハリウッドから声がかかるかもしれないよ。映画『美しき女スパイの逆襲』の主演でどうかって。
 
 (大場光太郎・記)

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