梅雨の爪跡
空一面希望の色に夕焼けぬ (拙句)
気象庁は17日(土)、九州北部から関東地方に及ぶ列島の広い範囲で「梅雨が明けたとみられる」と発表しました。また18日には東北地方の梅雨明けも発表され、これで明けていないのは意外にも九州南部だけとなりました。
もっとも関東地方の一部、東京、神奈川、千葉など太平洋沿岸部は、2、3日前から太平洋高気圧の圏内に入り、お天気図でもその部分だけはぶ厚い雲が切れていて、実際晴れの暑い日が続き既に梅雨明けを思わせました。
神奈川県県央地区に位置する当地でも、連日30℃を超す真夏日が続いています。ただ救いといえば、いずれの日も少し強めの風が吹いていることです。そのため体感として、外を歩いていても少し涼しく感じられます。まだ幾分は梅雨前線の名残りがあるということなのでしょうか。
いずれにしても、暑いさ中の風はまさに“涼風”、特に通りを歩いていて西寄りの片陰に入ると風の効果はてき面です。汗まみれの全身を、つかの間颯(さっ)と冷やしてくれます。
とそんな悠長なことを言ってばかりもいられない事態が、梅雨明け1週間前くらい各地で起こりました。列島各地で集中豪雨、ゲリラ豪雨が発生し、甚大な被害がもたらされたのです。
これは例年梅雨の終わり頃起こりやすい、いわば年中行事的なものらしいのです。しかしここ数年は特に被害の度合いをより激甚化、深刻化させているように思われます。
大河川の氾濫による住宅地や各住宅への浸水、裏山の土砂崩壊による家屋倒壊並びに生き埋めなど人的被害、一山の円弧滑り的大規模崩落による土石流により部落全体の壊滅的被害、その他竜巻や突風による家屋被害等々。
年々より凶暴化して襲いかかってきている印象すらあります。
このような自然災害は、いかに気象観測が発達しても、今もって予測が出来にくい側面があります。今年も梅雨前線と太平洋高気圧のせめぎ合いから、気象レーダーなどにより九州地方、四国地方、中国地方などのどの辺がより多量に降雨し、被害が出やすいかおおまかには分かっても、ピンポイントで特定河川の護岸が崩壊しそうな個所、がけ崩れが確実な個所の特定などはおよそ不可能に近いわけです。
そしていざ災害が起った時には、まったく地元の方々も防災関係者も寝耳に水に近い状態で、どうしても対応が後手後手となってしまいがちです。
特に痛ましいのは、近年この時期あるいは台風時期の豪雨や家屋倒壊によってお亡くなりになるのは、後期高齢者の方々が多いことです。まさか自然災害もそれらの方々を狙い撃ちしているわけでもないでしょう。
これは行政上防災の対応が未整備な過疎地、限界集落に、災害が集中しやすいということなのかもしれません。菅総理が就任時訴えた「最小不幸社会」とは、経済のみならず災害でも格差を生まない地方救済、弱者救済を目指す、まさに民主党的理念といえます。
ただ菅政権発足1ヵ月余で、早くもこのような立派な理念を放棄したのでは?と見受けられるのは大いに気になるところです。
反面自然災害は、「都市」の意外なもろさや弱点を露呈することもあります。
今回で言えば大河川の大増水によって堤防が決壊し、そこから市街地に大量の川水が流入し、住宅地や田畑は一面湖のような状態。その中に車が埋没している、人が足の半ばや腰まで浸かってやっとこさ歩いている、地下鉄が入り口まで水で満々と溢れている、救命ボートが各戸を訪ね回っている、住宅や店舗が床上何十cmも浸水し後片付けに1ヶ月もかかる、というようなことです。
そのような光景は何やら、黙示録の一バージョンを見る思いがします。
末尾ながら。被害に遭われた地域の方々には心よりご同情申し上げます。またお亡くなりになられた方々には深くお悔やみ申し上げます。
(大場光太郎・記)
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