小沢氏出馬取りやめ !?
- 悪(わる)しぶとい菅直人は、今までさんざん喧嘩を吹っかけておいて、旗色が悪くなると「小菅会談を」だと。小沢氏は出来れば出馬してもらいたい -
「政界は一寸先は闇」は本当です。ついこの前までは、小沢一郎vs菅直人による代表選一騎打ちだと思われていました。しかし党の分裂を恐れ、挙党態勢を最優先に考える鳩山由紀夫氏がロシア訪問から帰国した29日午前から、事態は急転回しだしました。
その間菅氏と小沢氏の仲介役を買って出ている鳩山氏の動きは活発で、菅総理や小沢氏と個別に会談を重ね、事態の収拾を模索してきました。
その結果31日にも、対立が激化していた菅氏と小沢氏が会談する運びとなったというのです。これは甚だ理解しがたい事態です。それまでは全面対決の様相だったはずの両氏が、闘いの最中に一旦矛を収めて、話し合いのテーブルにつこうじゃないかというのですから。
しかし裏を返せば今回の菅直人vs小沢一郎の対立構図は、どちらが勝っても負けても、民主党が本当に分裂しかねない危機的状況にあったのだろうと思われます。
今回は小沢氏、菅氏の仲介役となっている、鳩山前首相の動きが目立っています。見方によっては、つい先日「小沢氏全面支持」を表明したばかりなのに、「鳩山はまた迷走か?」となりそうです。しかし今回の一連の調整は、鳩山氏個人や鳩山グループあるいは菅支持派というよりも、党内外からの分裂回避の声に後押しされて動いている側面があるようです。
例えば民主党最大の支持母体である連合の古賀伸明会長は、「このままいけば連合も真っ二つに分裂する可能性がある」との懸念を表明しています。
マスコミは「両陣営とも熾烈な選挙戦を展開しており、どちらが優勢かは予断を許さない」というような報道をしています。しかし実際は、小沢陣営が菅陣営を大きくリード゜しており、このまま代表選に突入すれば小沢氏の勝利は確実とみられています。
それに今の今まで菅総理自身が、頑なに「反小沢」の姿勢を崩さなかったわけです。そのためやむなく立候補表明した小沢氏にしてみれば、「今さら振り上げたこぶしを下ろせるか」となって当然です。しかしそんな小沢氏も、菅氏との会談を受け入れるもようです。
連合の古賀会長の要請には「菅総理がこちらの(挙党態勢の)申し入れを聞かないんだ」と突っぱねた小沢氏でした。それが会談受け入れに傾いた背景には、小沢氏とも親密な民社党の応援団長格の稲盛京セラ名誉会長が、事態収拾に乗り出したことがあったのでしょうか?
小菅会談予定を受けて各マスコミは、「小沢氏出馬断念の方向。菅氏無投票再選か」と嬉しそうに報道しています。もしこのとおりに推移するとなると、小沢氏は党の置かれた諸状況を勘案し、「勝てる戦(いくさ)」を自ら放棄してまで立候補断念することになります。
菅直人はそんな小沢氏の意向を汲んで、真の意味での挙党態勢を作っていくつもりがあるのかどうか。菅直人はこの3ヶ月の経過から、とにかく信用ならないマキュアベリスト、自己保身、政権延命のためなら何でもする冷酷な一面があることが明らかになりました。
そんな菅の「今後は元のトロイカ体制で」という口約束を本当に真に受けていいのでしょうか?何しろ先の代表選後、「今後はノーサイドだ」と言った舌の根も乾かないうちに、しれっとして露骨な「小沢排除」をしてきた人間です。今回も窮余の一策なのではないでしょうか?
それに菅総理は、小沢氏を重用するとは言いながら、肝心の「ポストの話はしていない」としています。また菅氏は30日夜、「人事権とカネ」つまり幹事長などのポストを小沢氏側に渡す考えのないことを周辺に伝えたともいいます。
また25日の鳩山氏との会談では、「最高顧問でどうだ」と小沢氏をおちょくるような発言をしたといいます。
今検討されているのは「代表代行」職らしいですが、いずれにしても菅氏の「挙党態勢」は名ばかりで、小沢氏や同グループを重要な政策決定の場に参加させる気はないのではなかろうかと思われてきます。
小沢氏が目下優位な選挙戦を展開している状況からすれば、菅直人の方こそ政権の大政奉還をすべきはずです。そんな「弱(ヨワ)菅」総理の力の源は、「菅氏の代表選勝利が望ましい…70%前後」という世論調査だけです。まこと怖ろしいマスコミ各社の世論調詐というべきです。
これらの諸状況を勘案した場合、小沢氏が立候補断念していいのだろうかと思われてきます。それにみすみす断念すれば、小沢氏は悪代菅の軍門に下ったようなかっこうとなり、小沢氏支持派は失望し、小沢氏の求心力は今後急速に低下していくことも考えられます。
31日小菅会談は行われるのか、もし行われた場合小沢氏は本当に出馬断念するのだろうか?目の離せない一日となりそうです。
(大場光太郎・記)
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