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やっぱり火を吹いた?首相談話

 -実力もないのに首相談話など出すから。それに円高。重大局面どう打開する?-

 案の定「日韓併合100年首相談話」が、各方面で本当に困ったことになりそうな雲行きです。今回はまたこの問題を中心に述べてみたいと思います。

 まずは「謝罪談話」を出された韓国の反応です。韓国マスコミは同談話を評価するものと反論と相半ばしていると見られています。しかし11日の韓国聯合ニュースでは、100年前に両国の指導者が日本が韓国を併合した時に調印した資料を示し、これは「日韓併合条約」が国際法に従っていない証明として十分だと指摘し、日韓併合そのものの無効性を訴えています。

 また在日本韓国大使は同日、談話で触れられた「朝鮮王室儀軌」を返還するだけではなく、「すべての朝鮮半島の文化財」を返還するよう要求しています。
 ちなみに韓国文化財庁の2010年2月の集計では、日本全国250ヶ所以上の自治体や個人が所蔵している韓国の文化財は6万点以上に上り、そのうち宮内庁所管だけで700点以上に上るそうです。しかし日本はすべての返還を承諾しておらず、韓国の文化財部門や民間の韓国文化研究所は、「朝鮮王室儀軌を返還するだけなら断固として反対する」としています。
 菅首相以下は、一点だけを返還すれば、必ずこういう要求が続けて起こることを予測できなかったのでしょうか?

 韓国では同じ11日に、ソウル市内の日本大使館前で、「首相談話の中には慰安婦問題の賠償が含まれていない」として、7名の元慰安婦が参加して集会が開かれました。その中では同談話を評価する李明博大統領への批判もありました。同日台湾でも同問題についての集会が開かれています。
 また韓国メディアの中には、「独島(ドクト-竹島)問題こそが日韓関係の火種であるのに、首相談話の中にそのことに言及していないのは問題だ」とする論評もあります。
 さらに韓国の独立運動団体「光復会」は、首相談話に反発し、「日本総理の偽りの謝罪より、日本の天皇の率直で具体的な謝罪を促す」と極めつけの声明を発表し、多くの韓国メディアが報道しました。

 反発は韓国だけではなく中国にも広がっています。菅首相の韓国への「お詫び」のニュースは、当然インターネットで中国全土にすぐに広まり、中国の環球時報が実施したオンライン調査では、98%のネット利用者が、「日本は中国の侵略で中国の国民に正式に謝罪して詫びるべきだ」と考えていることが分かったとしています。
 また中国の国際問題研究家の中には、韓国への謝罪会見を受けて「日本は中国に対して“反省”を表明したことはあるが、“お詫び”という言葉を使ったことはない」と話しています。
 さらにはこの問題で遂に北朝鮮も参戦し、10日夜のピョンヤン放送を通じて、日本の植民地統治を厳しく非難し、日本には謝罪と賠償を求めるとしています。

 以上のように近隣諸国からの反発だけでも大変な状況です。加えて国内に目を転じてみても、自民党や立ちあがれ日本は首相談話に「待ってました」と批判を強めています。
 12日には「日韓併合百年『首相談話』を許さない緊急国民集会」が東京・永田町の憲政記念会館で開かれました。これには城内実衆院議員(無所属)など国会議員、地方議員、有識者、市民ら250人が参加。「朝鮮統治時代を正しく認識していない談話の廃棄のために活動する」旨の決議を採択しました。

 その他ネットの2ちゃんねるでは、首相談話は厄介なことを引き起こすと非難する意見で溢れ返っているようです。「ネット上の意見など正式な世論ではない」と無視を決め込むこともできますが、反論は肝心の民主党内からも噴き上がってきているのです。そして実は9月の党代表選を見越した場合、菅政権にとってこれが一番厄介な問題になりそうなのです。
 例えば民主党の保守系議員が12日夜、勉強会を立ち上げました。同会合は松原仁国対副委員長が呼びかけ、約20人の中堅、若手議員などの保守系グループが参加しました。党内最大の小沢グループのほか、鳩山、前原、野田、旧民社党系などが横断的に参加しています。

 同勉強会では首相談話を批判する意見が噴出したようです。「中身にも手続きにも問題がある」「なぜ建設的な談話にならなかったのか」などと批判が相次いだのです。その上で同会として談話に対する考え方をまとめ、菅首相らに近く申し入れる方針を決めました。
 そして今後とも一致結束して行動することとし、注目すべきは9・14代表選にあたっては、候補者に首相談話に対する評価を問いただすことを確認したのです。菅総理の対応次第では再選反対に回る可能性も示唆しました。

 国外、国内、党内からこれほどの異論、反論が出ることを菅総理らはどれだけ織り込んでいたのでしょうか?政権基盤がいかに脆弱なものであるかの認識に乏しく、「歴史に名を残したい」「代表選に向けてポイントを稼ぎたい」、そんな姑息な思惑のもと、ロクな党内論議もせずに閣議決定をしてしまったのではないでしょうか?
 消費税発言の時もそうでした。十分に党内外の「影響評価」が出来ない、その上今回は近隣外交への深い洞察もない。このことが今回より鮮明に分かってきました。それはこの政権が国家的危機に直面した場合、有効なリスクマネジメントが取れないことを意味します。

 今米国や欧州の通貨不安が、日本にも円高、株安のダブルパンチとなって押し寄せています。米国、欧州、中国など主要各国は、経済防衛のための有効な手を既に打ち始めています。各国とも円高容認で一致しているのです。一番困るのが輸出頼みの我が国です。この先の「景気の二番底」が公然と語られ始めています。なのにひとり日本のみは、有効な打開策が打ち出せていないのです。
 あろうことか新米の菅総理は、“十年早い”軽井沢での避暑だそうです(ただし14日まで)。こんな能天気総理に、この先のこの国の舵取りは任せられないことがますますはっきりしてきました。

 (大場光太郎・記)

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