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尖閣諸島問題の早期解決を

 -この問題をこじらせて良いことは何もない。政府は早急に打開策を講ずるべきだ-

 8日に尖閣諸島沖で発生した、我が国海上保安庁巡視艦に対する中国漁船衝突問題。これが案の定深刻な日中対立に発展しています。
 先日日本政府は、船長をさらに10日間拘置延長することを決定しました。これに対して中国政府は態度をさらに硬化させるばかり。影響は経済、民間交流レベルにまで及び、7000人規模の民間旅行者のキャンセル、中国政府による日本への旅行自粛の呼びかけ、10月に予定されていたSMAPの上海公演の延期など、各分野に拡大する一方です。

 そんななか中国の温家宝首相が、船長の即時解放を公式の場で求めました。これによって日本政府は、中国との対立が一層激化するとの懸念を強めています。特に外務省幹部の受け止め方は深刻で、温首相の発言は「中国共産党が本気で開放を求めている表われだ」「両国ともいよいよ着地点が見出せなくなった」と危機感が広がりつつあるのです。

 この問題が長引けば長引くほどマイナスが大きいのはどちらの国なのか?明らかに我が国の方です。かつて小泉元総理の靖国参拝問題の時も日中関係は最悪になりました。以来日本の国際競争力は低下の一途。対する中国は今や米国と肩を並べるほどの経済力をつけつつあります。その頃以上に我が国は中国への貿易依存度を強めている中、政治レベル以上に経済面でのマイナスが今後顕著に出てくることが懸念されます。
 現に米紙ニューヨーク・タイムズ紙は最近、「中国はレアアースの対日輸出を禁止した」と報じました。

 レアアース(希土類)とは、電気自動車(EV)やケータイなど家電製品の生産に不可欠な金属資源で、産出量が少ない上中国が世界需要の9割以上を供給しています。それでなくても中国は最近、輸出を規制したり、加工品の形で付加価値を高めた輸出を奨励したりするなど、レアアースを戦略的に利用する姿勢を強めていた矢先でした。
 そのためその姿勢を緩和させるべくつい先頃、経団連の米倉会長らが訪中して中国側と交渉してきたばかりです。米紙報道に対して中国商務省は「そのような事実はない」と一応否定していますが、中国の税関当局から日本のレアアースの船積みの制止措置を受けているというようなことが、現実問題として起きているようです。

 今回の漁船衝突事件には「領土問題」が根本にあり、それだけに解決をより困難にしています。我が国は今回の尖閣諸島以外にも、韓国とは竹島問題、ロシアとは北方領土問題を抱えていますが、いずれも一朝一夕で解決できるような生やさしい問題ではありません。ここはあまり領土問題にこだわるべきではありません。こだわればこだわるほど事態を長期化、深刻化させてしまいます。

 前原外相は23日、クリントン国務長官とNYで初会談をしました。この席で同国務長官は「尖閣諸島問題は日米安保第5条の適用対象となる」との見解を表明したといいます。しかし中国を挑発するような米国高官の発言に安直に乗ってはいけません。
 また政府はこの問題で「中国脅威論」を煽り、普天間基地の辺野古沖移設をより有利に進めようなどと、姑息な邪念を持つことも許されません。
 前原は席上普天間問題で日米合意を進展させる意向を改めて表明したようです。「対米隷属」と言われるゆえんです。中国には尖がってみせても、米国には「沖縄への基地移設は不可能、国外でどうだ」とは言えないのです。

 かつての72年の日中国交正常化交渉には、高島益雄外務省条約局長というタフ・ネゴシエーターがいたそうです。当時の周恩来首相が、「中国にもああいう外交官が欲しいものだ」と言わしめたといいます。
 今日の不幸は、菅内閣閣僚にも外務省幹部にもそういう「大人の外交」が出来る傑出した交渉力を持った人物がいないことです。

 菅総理はこの問題に関して国連出席前、「日中それぞれの立場で冷静に対応してもらいたい」と記者団にくり返したといいます。そんなのあたり前じゃん。街頭インタビューでの“街の人の声”じゃないんだから、一国の指導者ならもっとましなことを言ってもらわないと。とにかく菅総理が、この重大問題に対する解決策をまったく持っていないことを自ら白状したようなものです。

 また仙谷官房長官は22日の記者会見で、「ハイレベルの話し合いが早急に行われた方がいい」と述べ、菅首相か前原外相がNY滞在中に温首相らと接触すべきだとの考えを示しました。しかしこれに対して中国側からは、「当面ハイレベルの話し合いをするつもりはない」とピシャリとはねつけられてしまいました。
 日頃仙谷は「民主党で一番頭がいいのはオレ様だ」と自負しているそうです。それがこの体たらくです。菅も仙谷も「事態解決のためにオレが中国に乗り込んでやる」というくらいの気概も、中国要人との太いパイプもありはしないのです。

 民主党内で唯一それが可能なのは小沢一郎だけです。何しろ幹事長時代の昨年末、大訪中団を引き連れて北京に乗り込み、胡錦濤国家主席と差しで話をしたのですから。こういう時に小沢氏の力を借りない手はないはずですが、「脱小沢」で突っ走る菅、仙谷の狭量コンビでは…。
 この難問どう決着させるのか。早くも第2次菅内閣の手腕が問われる局面です。

 (大場光太郎・記)

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コメント

今回の件、先ず、尖閣諸島は我国固有の領土であることを国内外に改めて明示・説明し、その上で中国大使を外務省に呼びつけ改めて通告すべきと考えます。閣僚までが、後で訂正したとしても、領土として確定していないが如き発言をするので、中国に付け込まれるのだと感じています。
マスコミは、産経新聞までもが中国の主張が正当かの如き論調で情けなくなります。
レアアース禁輸は、中国に進出している自動車・電子機器工場の閉鎖に繋がることは必至で、中国はそこまで出来ないと思います。
我国は司法手続きを速やかに完了させ、その後、特赦など政治的決着を図るのが得策と考えます。
今、政治的に不問とすれば、(言葉は悪いのですが適当な言葉が思いつかずそのまま言うと)、付け上がります!
特捜のFD改竄報道が速やかに行なわれていれば、小沢政権が実現していたのに、・・・。
小沢を支援する会主催の緊急シンポジウム第2弾「鈴木宗男・検察を語る」が来週水曜日(9/29)に開催されます。HP〔http://minshushugi.net〕を参照下さい。

投稿: KAD | 2010年9月24日 (金) 11時34分

 国際法的には、明治時代いち早く尖閣諸島の領有権を主張した我が国に帰属すべきものです。ただ二国間対立では、現在の両国のパワーバランスを測ることも必要です。解決が長引いて、結果各方面のダメージをより多くこうむるのはどちらか?国同士の関係では、負ける喧嘩はすべきではありません。丹羽大使を真夜中に呼びつけた中国は、日本が同じことをした場合、決して応じはしないことでしょう。領土問題に絡めて不毛の対立が続くことのマイナス面を十分に考慮すべきです。仕方ないではないですか、日本外交は中国のみならず、アメリカ、ロシアなど各国から「付け上がられ」「なめられっ放し」なのですから。
 その根っこにあるのが、私は「対米隷属」だと考えます。米国に対して何一つモノが言えない、アメリカ様々のニッポン。口には言わずとも、その実情を中国、北朝鮮をはじめ世界各国はよく見ていると思います。『日本なんて独立国の誇りを捨てた、アメリカの属国じゃないか』。かくて対米隷属は、国益を損ねている面が多分にあるはずです。
 この問題がこじれて何年紛争にでもなったら、小沢、鳩山両氏が提唱している東アジア共同体など永久に無理です。(その点司法手続きをさっさと済ませよ、とのお説には賛成です。)「想像してごらん。国境のない世界を…」(ジョン・レノン『イマジン』より)おそらく「国境だ」「領土だ」と叫ぶ私たち現人類は、進化未発達なのです。東アジアに恒久平和を !
 FD問題はお説のとおりです。

投稿: 時遊人 | 2010年9月24日 (金) 13時45分

尖閣諸島問題はある意味、覇権国家アメリカ・中国共々に依存しえざるをえない日本の立場を思いしめられます。
この問題は国際社会にも向けて国内法で粛々と行う事がやはり正論と思いますが、なぜか日本人としてやるせない気持ちにおそわれるのは自分だけでしょうか?
友達が面白い事いっていました。関係は血液型といっしょだと。
O型の多いアメリカ、B型の多い中国、A型の多い日本人。
そういえば、A型の男はB型の男と合わないからな〜(笑)
そう思ってくる今日この頃です。

投稿: okachine | 2010年9月24日 (金) 13時58分

okachine様 日米中3か国を血液型で考えるのは、なかなか面白いアイディアですね。日本人にA型が多いのは知っていましたが、米国にはO型、中国にはB型が多いというのは知りませんでした。確かにA型はO型とは相性がよく、B型は苦手のようです。AB型とともに、何をやってくるか分からない予測不能なところがありますからね。

投稿: 時遊人 | 2010年9月24日 (金) 17時48分

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