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中国漁船船長釈放余波

 -某紙に「世界の恥さらし」とまで書かれた仙谷軍師。どう決着させるつもりだ?-

 24日の中国漁船セン基雄船長(41)釈放により、同事件は急速に事態収束の方向に向かうものと見られていました。しかし事はそう簡単ではなかったようです。中国はこれで矛を収めるかと思いきや、セン船長が25日未明中国チャーター機で福州空港(福建省)に到着するや、「日本側は船長らを違法に拘束し中国の領土と主権と国民の人権を侵犯した」などとし、改めて強い抗議を表明しました。
 同表明では尖閣諸島(中国名:釣魚島)を「中国固有の領土であり、争う余地のない主権を中国は有している」とした上で、「日本側の司法措置はすべて不法であり、無効だ。日本は必ず中国に謝罪と賠償をしなければならない」と主張し始めたのです。

 これに対して、中国の求めに応じて船長の身柄を返せば、収拾の方向に向かうと見ていた日本政府や外務省は大慌てです。ある政府高官は「公務執行妨害の立件で得られる利益と、事態収拾による国益は比べものにならない」「戦争になるよりはいい。このまま行けば駐日大使の引き揚げ、国交断絶もあり得た」と釈放を歓迎していたものの、予期せぬ中国側の要求にすっかり目算が狂った格好です。
 また外務省は、中国の謝罪・賠償要求について「何ら根拠がなく、まったく受け入れられない」とする報道官談話を発表し、毅然とした対応を押し通す構えです。ただ対立がさらに長引けば両国関係に深刻な影響を及ぼすとして、関係修復に向けて「ハイレベルでの会談」の可能性を探る方針ともしています。

 セン船長の釈放を受けて、中国国内は「戦勝ムード」に包まれているといいます。
 「中国での報道は“日本をやっつけた”というものがほとんどです。日本政府を押せば、折れるということが分かった。これからも、尖閣諸島の領有権に始まり、ガス田共同開発や排他的経済水域境界線の画定など、東シナ海をめぐる諸問題で日本を挑発し、揺さぶりをかけるのは間違いありません。日中の力関係は完全にひっくり返ったというのが中国メディアの論調です」(上海在住の日本人ジャーナリスト氏)
 片や「敗戦国」の国内右系の反応は厳しいものばかりです。超タカ派の安倍晋三元総理の「極めて愚かな判断だ。中国の圧力に政治が屈した」をはじめとして、「MSN産経ニュース」の【主張】では、『中国人船長釈放 どこまで国を貶(おとし)めるのか』というタイトルで「主権放棄した政権の責任を問う」など厳しい論調を展開しています。

 さらに過激なのが、菅政権には超激辛の『日刊ゲンダイ』です。同紙9月27日付第1面の見出しはとにかく激越です。まず最上段大見出しは「菅・仙谷バカ丸出し」。次に本文前の縦見出しには、「菅無能政権正体暴露」「中国人船長/脅しに負けて釈放」「日本人拘束フジタ社員/4人は消息不明」「初めから捕まえなければ良かったのに、何の見通しもなくイキがってみせた仙谷の罪は重大」そしてひときわ大きく「菅スッカラカンでは/国は滅びる」と続いています。
 また1面には大勢の人の出迎えを受ける福州空港内のセン船長の画像と共に、ほぼ中央に「世界の恥さらし」の小さな横見出しで苦虫噛み潰しの仙谷官房長官の顔写真が掲載されています。

 そのとおり、事件は代表選の最中に起きたこともあり、前原、岡田新旧外相はほぼノータッチ、今回の衝突事件処理は当初から仙谷官房長官主導だったようです。仙谷は24日の会見で、「(釈放決定は)3、4時間後には(NY滞在中の)菅総理の耳に入るだろう」と語ったように、菅総理の判断すら飛び越えた「仙谷主導」だったことを暗に認めたのです。
 仙谷官房長官は、「軍師」「民主党で一番頭の良い政治家」「菅内閣の実質的総理」などともてはやされ、「オレを通さないと何事も決まらないんだよ」と豪語するほど、権勢並ぶなき勢いです。実際9・14代表選という「稀代の不正選挙」での菅直人再選にあたっては、「稀代の謀略家」仙谷の貢献なしにはあり得なかったと思われます。

 そんな仙谷由人の主導なら、事態は見事に収束に向かうかと思いきや。中国からは「謝謝(シェイシェイ)」のお礼の一言でもあるかと思えば、逆に返ってきたのは「謝れ、カネ出せ」ですから。我が国にとっては、「踏んだり蹴ったり」「弱り目に祟り目」もいいところなのではないでしょうか?
 また軍師ならば、かの諸葛孔明のように後顧の憂いのないよう、直前に中国国内で拘束された準大手ゼネコンのフジタ社員4名の釈放を裏で取り決めているかと思いきや。今後どのような処分が待っているのやら、いつ開放されるものやらまったく目途が立っていないというのですから。“仙谷”現政権は、たった一人の釈放に奔走した中国と同じく「日本人4人の拘束は不当であり、即時釈放を要求する」と、なぜ中国、国内外に発信できないのでしょう?

 とんだヘボ軍師もいたものです。仙谷の事件発生当初の読みでは、『どうせ船長一人くらい拘置しても中国はそんなに騒がないだろう。それに次期総理確定のオレ様の力を国内外に見せつけるいい機会だ』くらいの甘い読みだったのではないでしょうか?
 その後のドタバタぶりを見せられた今となっては、仙谷には結末までのシナリオなどまったく描けておらず、行き当たりばったり、出たとこ勝負もいいところだったことが明らかです。だったら最初から、意気がって船長逮捕などしない方がよかったようなものです。一応警告だけ発してさっさと領海外へ追い返しておけば、全世界に恥をさらすことはなかったのです。図らずも仙谷官房長官の底が割れてしまった格好です。

 収束どころか尾を引いて長期化する勢いの今回の事件。それでなくても難題山積の菅政権は、来月1日から始まる臨時国会にまた新たな大問題を抱えてしまいました。
 ところでこの問題に気を取られるあまり、もう一つの超弩級スキャンダルである「大阪地検FD改ざん事件」を忘れてしまってはなりません。尖閣諸島問題や他の出来事が「同事件隠し」に利用されたのではたまりません。こちらも「真の検察改革」を見届けるまで、厳しく監視の目を向けていくべきです。

 (大場光太郎・記)

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コメント

難題山積の状況なのに、TV流された総理の言動は如何なものか? 政権の実権は官房長官が握っているとは言え、・・・。言葉にもなりません。

投稿: KAD | 2010年9月26日 (日) 20時23分

 私は本日TVあまり見ていませんが、菅総理は東村山市あたりで、改めて「中国の謝罪・賠償要求には応じられない」旨発言したようですね。
 自民党の谷垣総裁は、まもなく始まる臨時国会で、政府がしらを切り「あくまでも那覇地検独自の判断」で逃げていることに対して徹底的に追及し、最高検幹部の国会喚問を要求するとのこと。またみんなの党は、漁船衝突時のビデオの公開を迫り、またどこかの党は「これは政府による指揮権の発動だ」と騒いでいるようです。始まる前から大荒れ必至の様相です。
 いよいよとなったら同問題を主導した仙谷「陰険」官房長官を更迭して、局面打開を図るしかないのではないでしょうか?もしそうなったら、菅政権は崩壊まっしぐらです。

投稿: 時遊人 | 2010年9月26日 (日) 21時54分

自民党やマスゴミは民主党を笑いものにしてるようですが、いざ軍事衝突となったらこの高齢化大国は戦えるでしょうか(笑)

投稿: masa | 2010年9月26日 (日) 23時21分

 軍事衝突を避けるのが、国家外交の至上命題の一つだと思います。ですから軍事衝突は極力回避すべきです。
 それを大前提として、もし仮にそのような事態が起きた場合、まず兵役拒否する適齢期の若者が続出するのではないでしょうか?彼らの多くは「命あっての物ダネ」中心思考ですし、「命がけで国を守る」というようには教育されていませんし。自衛隊だって怪しいものです。何せ彼らは、「自己保身第一」の公務員に過ぎないのですから。
 その場合40代、50代、場合によっては60代までもの国民に、兵役義務が課せられる可能性があると思います。「老兵はただ去り行くのみ」などと悠長なこと言ってられませんね。

投稿: 時遊人 | 2010年9月27日 (月) 00時40分

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